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《ルチェッライの聖母》ドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャ

《Madonna Rucellai》Duccio di Buoninsegna

この玉座の聖母子は、フィレンツェのドメニコ会のサンタ・マリア・ノヴェッラ教会の祭壇のために、ラウデージ同信会がドゥッチョに注文したものです。ほどなくサン・グレゴリオ礼拝堂に移され、最後にルチェッライ家の礼拝堂に置かれたことからこの名で呼ばれています。

画像1Madonna col Bambino in trono e angeli (detta 'Madonna Rucellai’), Duccio di Buoninsegna, 1285, Tempera e oro su tavola, 450×290 cm, Galleria degli Uffizi (Sala 2), Firenze

有力な同信会がフィレンツェでもっとも重要な聖堂の一つに設置する板絵をシエナの画家に依頼したという事実は、ドゥッチョの評判の高さをよく示してます。すでに有名であったチマブーエの下で修行したとも推測されていますが、このことも彼の評価を高めたのかもしれません。

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この像全体が金で織りなされているかのようで、金色が背景から現れ出て、天使の髪から羽にかけて、玉座の洗練された繰型や象嵌細工に、また布地の襞や光輪などが光り輝いています。あふれる光によって、このマエスタが天国の情景であることを示そうとしています。玉座は6人の天使によって支えられて宙に浮いているかのように見えて、実はしっかり地面に置かれています。

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聖母は濃青色のマントをまとっていますが、そこには金の縁飾りが施され、額と肩のところに2つの星が付けられています。星はマリアのシンボルであり、『ヨハネの黙示録』で「明け方の輝く星」と呼ばれる神の子キリストにも関連づけられます。

幼子イエスは祝福の仕草をし、十字架の三方の腕をかたどる宝石が散りばめられた光輪をつけています。また豪華に金の織り込まれたベール状のトゥニカを着ており、古代の皇帝図像から受け継いだ王の権威を表す赤いバリウムを掛けています。

五角形の板絵の額縁には、30の円形画が規則正しく並べられています。そこにはキリストと12使徒、預言者、そして幾人かの聖人たちが位階に従って配置されています。下の縁には、ラウデージ同信会の創立者であるドメニコ会の聖人、殉教者ペトルスの姿が見られます。


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ウッフィーツィ美術館/Gallerie degli Uffizi

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