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落ち葉の舞う季節を語る

吹奏楽コンクールもほぼ終わり、多くのところではアンサンブルコンテストの準備が進んでいることと思います。
ありがたいことに、今年も拙作【落ち葉の舞う季節】を多くの皆さんに取り組んでいただける様で、作曲者として嬉しい限りです。
今日は、この作品について少しお話してみようかと思います。
(有料設定にしていますが、最後までお読みいただけます)



作曲のきっかけ

この作品は、2004年に浜松市の浜北西高校さんからの依頼で作曲しました。(今年作曲から20周年です!)
フルート、オーボエ、クラリネットという木管三重奏でアンコンに取り組みたい…ということで相談をされたのですが、そのまま曲を書き下ろす流れとなったのがきっかけです。

依頼主からは「綺麗な部分(歌える)があれば、あとはお任せで」というオーダーでしたので、この曲は中間部から作り始めました。
何を持って「綺麗」とするのかは人によって違うので、書いては消し、書いては消し…の繰り返しでしたが、私自身が好きな調や拍子、音の流れなどを用いることで、とりあえず私自身が綺麗だと感じられる様に構築していきました。その後冒頭部分、後半部分を書き上げ、ひとつの作品として完成しました。

完成したこの曲は、この頃積極的に同世代の作曲家とコミュニケーションをとっていたひとりで、今では世界を代表する作曲家になった八木澤教司さんが【落ち葉の舞う季節】という素敵なタイトルを提案してくれました。

その時初演をしてくれた生徒さんたちは県大会で終わってしまいましたが、演奏をしてくれた高校生3名の充実した笑顔は今でも印象深く記憶に残っています。


楽譜出版、そして全国の演奏者へ

その後この作品はビムス・エディションズで出版されましたが、同社の廃業後フォスターミュージックさんで出版。
2008年度には日立製作所ソフトウェア事業部音楽隊がアンコン職場の部で全国大会金賞を受賞したことを機に、演奏を聞いた人がたくさんこの木管三重奏に取り組み、その後は依頼でサクソフォン三重奏四重奏クラリネット三重奏四重奏八重奏木管四重奏五重奏八重奏フルート三重奏、現在ネクサスで発売されている版の他、現在までに出版されていない編成などを入れると十数編成の版が誕生しています。

これまでにこの曲(木管三重奏版)は何度もアンコン全国大会で演奏され、職場の部、一般の部、中学の部でいずれも金賞を受賞したことで、他の作曲家さんからも木管三重奏という編成の作品が多く発表されることになりました。この編成のラインナップが増えるきっかけになったのかな…と勝手に思ったりしています。笑


「幸せの彩葉」の誕生

そして2020年、この曲の中間部だけを独立させた別の曲を作る機会を得ました。
クラリネット、バスクラリネット奏者の井上幸子さんのデビュー20周年を記念して書き下ろしたこの曲は【幸せの彩葉】という別のタイトルを付け彼女に献呈し、アルバムに収録される事になりました。
この曲は、後に行われたバスクラリネットコンクールの課題曲にも選定され、バスクラリネット奏者のちょっとしたレパートリーとなってくれています。

井上幸子デビュー20周年記念アルバム
【秘められた世界】
(「幸せの彩葉」が収録されています)
【幸せの彩葉】
バスクラリネットとピアノ伴奏版

そして2023年、チェロとピアノ伴奏版を作り現在に至っています。
https://youtu.be/rWux3F3ueF8?si=zD61pxxU3Xg2Wzqa

【幸せの彩葉】
チェロとピアノ伴奏版

Q&A

Q. 編成によって音量記号の有無や変更がされていますが、違っていていいのですか?
A. その編成や制作した時による感情の変化などが影響していると思います。クラシック作品などでよくある「◯◯年版」的な感じで捉えていただければと思います。

Q. 吹奏楽版は作る予定はないのですか?
A. 今のところありません。元々吹奏楽を想定していないのでイメージできません。
木管合奏なら今後機会があれば作るかもしれませんし、小さな編成のオーケストラ編成などはいい雰囲気が出るかも知れませんね。

Q. ソロとピアノ伴奏版の制作予定はありませんか?
A. その編成は【幸せの彩葉】という別タイトルの作品があるので、ぜひそちらに取り組んで欲しいですが、今後【落ち葉〜】をこのソロ楽器で…という機会があれば検討してみてもいいかなと思っています。

Q. フレキシブル版は作りませんか?
A. ごめんなさい。作る予定はありません。フレキシブル版は作家の想いをそのまま楽譜には載せられないと思うからです。

Q. レッスンして欲しいです。
A. 喜んで!日程さえ合えば全国どこへでも出向きます。

Q. 音源を送ってアドバイスをいただけませんか?
A. もちろん協力させていただきますが、有償となりますので、詳しくは私の各種SNSへのDM若しくは、メールでご連絡いただければと思います。

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終わりに

今年もありがたいことに全国各地でこの曲に取り組む団体が多いようで、作家として心から感謝申し上げます。
なぜこの曲が支持されるのかは正直解りません(笑)が、作曲から20年経ってもこうして演奏していただけるということは、もしかしたらスタンダードナンバーとして捉えてくれているのかな…と、大変嬉しく光栄な気持ちでいっぱいです。

最後に…

落ち葉は「茶色」のイメージが強いと思いますが、銀杏の葉は「黄色」ですし、紅葉は「赤や朱色」、そして青々とした「緑色」の葉も時には落ちます。正に落ち葉は「彩葉」なのです。

色彩豊かなの落ち葉たち

「落ち葉」という言葉が先行してひとつのイメージや先入観だけで音楽を作るのではなく、もっと多角的にイメージを膨らませて、サウンドや表現の幅を広げた演奏をしていただければと思います。

全国各地でこの曲を奏でられる全ての人と団体へ感謝とエールを送ります!

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