採用広報における「メディア寄稿」のススメ
採用広報の施策として、多くの企業はオウンドメディアを活用した記事発信や、イベント開催に力を入れています。これらは確かに有効な手法ですが、一方でWeb上に溢れかえる記事やイベントは他社との差別化が困難になっています。
多くの企業が新たな施策を探る中、なかなか手を出せていない施策があります。それが自社の事例やノウハウを外部メディアで記事として公開する「メディア寄稿」です。
メディアに記事を寄稿することで、自社の知名度や専門性を外部のプラットフォームを通じて広めることができます。
本noteでは、なぜメディア寄稿が採用広報において効果的な施策であるか、そしてどのように取り組むべきかを解説していきます。
メディア寄稿の効果とは?
メディア寄稿は、採用広報において大きな効果を発揮します。その主な理由は2つあります。
第三者の視点による信頼性担保
オウンドメディアは、自社で自由に情報を発信できる利点がありますが、その一方で、自社が伝えたい内容を意図的に強調したりコントロールしたりすることが可能なため、読者にとっては「企業目線で作られた内容」として受け取られ、情報の信頼性が損なわれることがあります。
第三者の視点や信頼を持つ外部メディアを通じた情報発信は、影響力や信頼性の面でオウンドメディアに勝ります。
メディアの読者に広くリーチできる拡散力
一般的に、オウンドメディアに比べて外部メディアの影響力は大きく、読者数やSNSでの拡散力に秀でており、読者の中には自社の存在をまだ知らない潜在的な候補者も含まれています。採用したいポジション・ペルソナと同じ層の読者を抱えるメディアに寄稿することで、自社のオウンドメディアや既存の採用広報活動ではリーチできていない採用候補者にもアプローチすることが可能です。
なぜ「メディア寄稿」に手が出せないのか
メディア寄稿に取り組もうとしても、多くの企業が直面するのは「どのようにメディアにアプローチすればいいのかわからない」という問題です。
適切なメディアの選定や、寄稿の提案方法については、広報・PR領域のノウハウが必要です。どのような企画を立て、メディアの担当者にどうアプローチし、記事の掲載までどのように進めていけばよいのかが不明瞭なため、一歩を踏み出すのに躊躇してしまうケースが少なくありません。
メディア寄稿を行う際のポイントと注意点
メディア寄稿を成功させるためには、まず、寄稿するメディアの選定が大切です。自社が採用したいターゲット層(特に職種やレベル感)に合ったメディアを選ぶことで、効果的な認知向上が可能になります。
また、そのメディアの読者層や過去の掲載記事をリサーチし、どのような内容が求められているかを把握してから企画提案することが成功の鍵です。
忘れてはいけないのは、メディアは自社の宣伝のための媒体ではないということです。
メディアの読者に価値を提供できる内容、例えば業界の最新トレンドや専門知識、市場の洞察など、客観的かつ有益な情報を盛り込む必要があります。「記事の内容が読者にとって有益かどうか」この条件が満たされていなければ、メディア寄稿は成功しません。
具体的なメディア寄稿の実施方法
メディア寄稿を行う際には大きく下記3つのプロセスで実施します。
①メディア選定
まずは、寄稿するメディアの選定が重要です。自社のターゲット層がどのメディアを読んでいるか、どのメディアに信頼性を感じているかを調査しましょう。
具体的には、自社がターゲット層と重なる人々のSNSでの発信を見ることで、どのメディアを閲覧しているかがわかります。
また、採用ポジションと関わりが深いメンバーにヒアリングをすることも有効です。
併せて、そのメディアが寄稿を受け入れているかも確認する必要があります。こちらは、該当メディアの記事を読み進めていけば、他社からの寄稿記事が見つかるため容易に確認できます。
②企画書制作
次に、メディアに提案する企画書を作成します。企画書には、記事のタイトル案、テーマ、対象の読者層、記事がもたらすメリットを記載します。
企画書といっても、キレイに体裁を整えることは重要ではありません。あくまで、メディア側にとって価値があることを示すことが重要です。
<メディアにとっての価値とは>
メディアにとっての価値とは、読者にとっての価値です。
読者の興味を満たすようなテーマか、読者の役に立つノウハウを含んでいる必要があります。
採用ポジションと関わりが深いメンバーにヒアリングするなどして、企画のテーマが上記を含んでいるか確認しましょう。
また、興味を満たすか、役に立つかはファクトを示すと有効です。
例えば、ノウハウをテーマにした企画では、需要があることのファクトや他に説明している記事がないといった事実を示すと良いでしょう。
③アプローチ
最後に、メディアに対して企画書を持ってアプローチを行います。
最も有効なのは、知り合い経由で編集部に直接コンタクトを取ることです。以前に該当メディアから取材を受けたことがある知り合い経由で紹介してもらうのも良いでしょう。
また、メディアによっては情報提供・取材/寄稿提案のフォームを設置していることもあります。つてがない場合はこちらからコンタクトを取りましょう。
おわりに
メディア寄稿は採用広報にとって非常に有効な施策です。一方で気をつけなければいけないのは「メディアは自社の宣伝のための媒体ではない(再掲)」ということです。
如何に自社、メディアの両者にメリットある企画を立てて協力体制を作っていくかが重要です。メディアの立場、読者の立場になって企画制作を行っていきましょう。