俯瞰する視点で本業をがんばる働き方
「労働集約型の副業はやめた方がよいのか」という記事をTwitterでmotoさんにシェアしていただき、おかげさまで沢山の人に読んでいただきました。
そこでまとめとして、「副業を本業にどう活かすかという視点での副業選びが大切で、目先の利益ではなくキャリア全体での利益になるか考えることが良い」と書きましたが、活かし方がわからないって方もいるかと思います。
まず大前提として、本業と副業をバランス良くこなすには、必ず本業を頑張って下さい。
本業を頑張ると自ずと副業も伸びてきて、相乗効果でキャリア全体が伸びていきます。
相乗効果を生むためのきっかけの一つとして、副業経験を本業に活かすための機会創出が必要となってきます。
機会創出は誰かがするのを待つのではなく、自ら創り出す方が良いと思います。
副業を本業に活かすために考えたこと、実行したことの体験談を書き綴ってみます。
1.依頼された仕事と自ら生み出す仕事
みなさん、会社でどのようにして仕事に取り組み始めますか。
上司や同僚からの指示、お客さんの依頼という誰かからのお願いで仕事に取り組むことが多いのではないでしょうか。
依頼された仕事をクレーム無く完璧にこなし、適切な利益を上げることで会社が潤い、毎月の給料が支払われたり、ボーナスが支給されたりします。
そのため依頼された仕事はやらなければいけない仕事です。
誰かから依頼されるということは、受け身の形になり、仕事量は依頼者に依存します。
極端に忙しくて残業が続いたり、急に仕事に余裕が生まれて定時になるまで時計とにらめっこなんて日があるのは、依頼者依存が理由です。
ここで私は余裕があるなと感じた時どのように過ごすかによって、キャリアアップに近づけるかどうかの分岐点があると考えています。
仕事に余裕がある時、時計が定時をさすのを眺めて待つのか、会社や業務全般を眺めて思考を巡らせるのか、ここが分岐点です。
そしてこの機会こそ、やりたい仕事を自ら生み出すチャンスであり、副業での経験を本業に掛け合わせるチャンスとなります。
2.仕事を生み出す俯瞰的な視点
「やりたい仕事=会社にとって意味のある仕事」と考えられる人は、かなり優秀だと思います。
もしくはよっぽど会社の意向と、自身の意向が合致している人です。
それ以外の人は、どのようにしたら自分がやりたくて、会社にも意味がある仕事を生み出せるのか。
それは自分のやりたいこと発進ではなく、会社にとって必要だけどできていないことを洗い出し、その中から自分のやりたいこと、できることを選ぶという形を取るのがスムーズです。
洗い出し作業で必要な意識が、俯瞰的な視点で会社を眺めることです。
俯瞰的な視点と聞くと難しく聞こえますが、立場を替えて眺めるイメージです。
例えばお客さんの気持ちになってサービスのことについて考えたり、経営者の気持ちになって職場環境について考えたり、ある意味妄想です。
妄想を実行に移すためには、周囲の共感が必要です。
共感を得られるコツとしては、目標が数値化できそうなものや、可視化できるものを探すと良いと思います。
数値化できることは、客観的な根拠として説明しやすく、成果が計りやすいのが理由です。
可視化できるものは、あるべきものやあったら便利というものなので、これも説明しやすいからです。
そこまで準備ができたら通常業務以外の能力、つまり副業の経験値を掛け合わせて、高いパフォーマンスを示すタイミングです。
最初から副業の能力ありきでその力をただ単にさらけ出すのではなく、会社の潜在的なニーズや課題を分析する過程がとても大切です。
思考の手順が整理できていれば、分析段階から自身の副業経験を活かせることという指標を頭に描きながら考えると効率が良いかもしれません。
通常業務の多くを占める誰かに依頼された仕事は、目標設定された状態であり、自分で生み出す仕事というのは、現状分析から目標を設定することも自らやる仕事と言えます。
そして上手い目標設定こそが、副業を本業に活かす機会創出になります。
3.設計担当の私が広報活動に取り組んで生んだ成果
ここからが私の具体的な経験談になります。
私は一級建築士の資格を保持し、新卒からずっと設計の業務に携わっています。
もちろん現在も主たる業務は設計です。
そんな私の業務に余裕があった時、会社にとって不足しているものが何か考え、その結果広報業務に取り組みました。
状況や自分の能力を整理すると以下の通りです。
<会社の状況>
A:HPの情報が現状と異なっている
B:初期営業資料の不足(施工事例がまとめられていない)
C:Webからの問い合わせが無い(紹介で仕事は成り立っていた)
D:内見会の集客が安定しない
<数値化、可視化できそうな目標>
A:HPの情報を最新の状況に修正する(可視化目標)
B:最初の営業に使える施工事例カタログをつくる(可視化目標)
C:問い合わせ0から1以上に増やす(数値化目標)
D:内見会の集客を毎回10組以上にする(数値化目標)
<自分の能力>
1.設計事務所でのコンペの経験から、説明のテキストを考えるのが得意
(ライティング能力が多少ある)
2.デザインとまでは言えないが、きれいにレイアウトするぐらいの編集能力がある(イベント案内作成能力がある)
3.写真の副業をしていてて、プロ並みの建築写真が撮れる
4.IllustratorやPhotoshopが使える(デザイン系のソフトが使える)
分析し、数値化や可視化目標を立て、それを解決できる自分の能力が揃っていたので、広報業務を担当することに適任でした。
設計担当という主要な業務があるため、広報業務を以下の通り3ヶ年計画で実践しました。
1年目:素材集め
HPにも施工事例集にも掲載できる完成写真が十分に無かったので、副業の力でしっかりとした完成写真を撮影。
2年目:可視化目標をクリアする
情報が古いHP、施工事例集ともに素材となる写真、ライティング、ページ編集能力があれば解決できる。
持続可能な形にするために、簡単に編集可能なフォーマットを作成した。
自分自身でできることは取り組み、適宜外注を利用。
3年目:数値化目標をクリアする
HPや施工事例集といったお客さんに訴求するイメージを刷新できた。
今までも行なっていた内見会等のイベントにおいても、広告のデザイン性を高めて集客に努めた。
写真等の素材が揃っており、会社のイメージも刷新できたので、住宅情報誌や情報サイトへの掲載をし、知名度向上に努めた。
今では毎月のようにwebからの問い合わせがあり、内見会も予約制の形をとった場合でも2日間で10組ぐらいの集客は安定してできるようになった。
ここで重要なのは、全てを自分一人でこなす必要はありません。
自分である程度できる能力があれば、外注に的確な指示を出せるので、経費が許す限り積極的に利用することをおすすめします。
今まで取り組まれていなかったことになるので、予算は見込まれていない場合が多いと思います。
最初は自分一人で負担を強いられて大変かもしれませんが、少しずつ成果が出ると共感が増えて、社内で予算化されていくはずです。
私も1年目は、「写真が好きだから趣味みたいな感じで撮ってるんでしょ?」と目的を理解していない言葉を受けることもありました。
しかし2年目、3年目と成果が出るうちに、そのような言葉を受けることは無くなり、「いつもありがとう」や「君がいないと成り立たない」なんて言葉に変わっていき、他の業務においても年下の私の意見を聞いてくれるようになり、社内でのポジションのようなものが変化していきました。
また主たる業務以外で、今まで会社には無い成果を上げることで満足してはいけません。
それは通常業務と同じく、目標と成果を比較して振り返り作業を行い、次の機会に活かすことが大切です。
せっかくかけた労力なので、やりっ放しにせず成功しても失敗しても何か得られるものがあるはずです。
キングコングの西野亮廣さんが言うように、失敗は学びの期間なので、学んでいくうちに成功すると思います。
4.まとめ
副業も上手くやるために、まずは本業を頑張ることが大前提です。
その中で副業を本業に活かすために、適切な機会創出が必要です。
機会を創り出すために、やらなければいけない仕事をしっかりこなし、その上で余った時間の使い方を考えます。
ただ時計の針が定時を示すのを待つだけではなく、会社にとって役に立ちそうな自分のやりたい仕事を生み出します。
上手くやりたい仕事を生み出すポイントは、俯瞰的な視点を持つこと、数値化や可視化可能な目標を立てることで、周囲の共感を得られるようにすることです。
それらを達成するために、自分一人で頑張らなければならない期間もあるかもしれませんが、徐々に共感が広がっていけば同僚や上司の手助けを得られたり、外注可能な予算が確保できたり、状況はどんどん好転します。
通常業務以上の何かに取り組んでいるという状況に甘んじず、目標と成果を比較して振り返り作業をし、何かしらの学びを得ましょう。
そうすることで、結果的に本業も副業もバランス良く上手くいくと思います。
少なくとも私は、それで上手くいきました。
建築と写真で素敵な生活のサポートをしたい