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VRドキュメンタリー"Daughters of Chibok"

最近は連日、5/29-6/7の期間YouTubeで配信されている、"We Are One: A Global Film Festival"のVR映画を視聴しています。この映画祭の特色なのか、VR映画の配信ラインナップにはドキュメンタリー作品が多く、世界の様々な地域の全く異なる生活を覗き見るような感覚を味わえます。

今回はこの映画祭の配信作品の中から、VRドキュメンタリー"Daughters of Chibok"についてご紹介します。この作品はナイジェリアのチボクで撮影されており、2014年に起こった「ナイジェリア生徒拉致事件」を題材に扱ったドキュメンタリーです。


この事件はイスラーム過激派とテロ組織ボコ・ハラムによって、チボクの公立中高一貫女子学校から276名の女子生徒が誘拐されたという出来事で、今なお沢山の被害者が行方不明のままの状況にあります。

またこの作品は2019年のベネチア国際映画祭VR部門で、最もストーリーの優れた作品に与えられる"The Best VR Story"賞に選出されています。

作品概要

2014年4月14日、静かな農耕地域であるチボク(ナイジェリア北西・ボルノ州)は、急に世界中から注目を浴びる存在へと押し出されました。

その夜、「女性は教育を受けるべきではない」という思想を持つ、とても恐るべきテロ組織、ボコ・ハラムがその街になだれ込み、276人もの女子学生を学生寮から拉致してしまったのです。

少女たちがマシンガンを手にしたテロリストたちに囲まれる映像は、インターネットや衛星放送を通じて世界中を駆け巡り、世界は衝撃と恐怖に包まれながらその映像を目にしました。

このVRドキュメンタリーは、子供をさらわれた後のチボクのこと、また世界的なテーマである女性の権利問題、そして教育を受ける権利のことを題材に扱った作品です。

監督によるコメント

「私は声なき声を広める手段として、没入型のストーリーテリングを用いています。誘拐事件から5年後の2019年1月、私は初めてチボクに旅をしました。そこで出会ったのが、娘のRifkatu Galangを誘拐された被害者であり、また被害者女性のリーダーとして活動しているYanaです。 

他の多くのチボクの方々と同じく、Yanaの時間は事件から止まったままで、今でも娘の洋服を洗濯しては小さなバックにその服をしまい、娘の帰りを待っています。

チボクに住む多くの母親は、「世界は彼女たちの存在を忘れたまま前に進んでしまい、彼女たちの存在、そして彼女たちの痛みや悲しみは忘れられてしまったのだ」と感じています。

私はこの映画を通して、チボクはまだここにあるということ、そして112人もの少女たちがいまだ行方不明であることを、人々に思い出して欲しいと思っています。最大の悲劇は、私たちがそれを忘れてしまうことです。」

感想

私はこの作品を見て、一時世界からニュースで注目を浴びても、それから何年も経つと、日頃思い出すことのない出来事というのは沢山あるなと思いました。

もちろん過去に起こった様々な事件を直視して、その度に心を痛めていては身が持たないと思います。ただその事件の当事者や家族たちにとっては、事件から何年経っても、日々その事件のことを心の真ん中に抱えたまま生きているんだということを改めて感じました。

過去の出来事を人々の記憶から風化させないというのは、速報性の高いニュース以上に、一つの出来事を掘り下げていくドキュメンタリーの大きな役割なのかもしれません。特にVRのドキュメンタリーは、その空間自体を追体験できるため、これからさらに色々な事件や出来事を記録するのに使われていくのだろうなと思いました。

以上、VRドキュメンタリー"Daughters of Chibok"のご紹介をさせていただきました。これ以外にも色々なVR映画が配信されているので、ご興味のある方は5/29-6/7の期間中に、"We Are One: A Global Film Festival"をチェックしてみて頂けたらと思います!

*Twitterもやっていますので、宜しければぜひフォローをお願いします!

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