MRIで思考を盗聴できるか

 テキサス大など複数の研究機関で、MRIを用いて写し取った人間のニューロン活動を「翻訳」することで、人間の思考を読み取る研究が行われているという。
 例えばこういう実験だ。
 
 20人の被験者に、最初に「共和制」について次いで「君主制」について想起してもらう。採取したデータを比較対象することで、「共和制」「君主制」それぞれに対応する脳活動パターンを拾い出すことができる。

 これは架空のシチュエーションで、実際にはもっと具体的な身体活動などのイメージを対象としているのだが、この実験方法ならば「共和制」のような抽象概念も解読可能だろう。
 実験室内でなら。

 意識的無意識的を問わず、雑多な思考が入り乱れる日常行動の中で、特定の信号を読み取ることは、まだできまい。情報量が多すぎて現実的ではない。
 そもそも、対象はMRIに入っていることが前提である。
 インターネット化が進んで雑多な電磁波が飛び交う現代社会で、対象に気づかれずに脳波を精密に観測する手段があるとは信じられない。
 
 外部から、通勤中の市民の「思考を盗聴する」というようなレベルにはないし、当分それは実現しそうにない。

 中国や北朝鮮のような国情で、全国民に簡易脳波解析器を装着して日常を過ごすよう、国民に命令できたとする。
 市街の国家主席の肖像画の前を通ったとき、どんな感情を発するか、それを検出することは可能かもしれない。
「ビッグブラザーは見ている」というやつだ。
 だがそれは、実際のテクノロジーやインフラが存在しなくても可能なことだ。
 国民に、常に監視されていると信じさせるだけで、効果は発生する。
 多大な予算と労力を投じて、そのようなインフラを創り出す意味は薄いように思う。

 追記。
 調べたところ、マイクロ開口波レーダーで生体情報の監視は可能ということなのだが、これはそういう技術ではないように見える。地上の物理的状態を詳細に観測することはできるが、どうやって生体情報を拾うのだろうか。

 また、幻聴兵器なるものの研究は確かに存在したようだが、生体を破壊する危険性があるとのことで、ならば副作用を主目的にしてしまったほうが兵器としては理にかなっているように思える。コストとリスクをかけて幻聴を発生させる利点はなんだろう。
 
 その他、よくわからないことだらけなので、詳しい方がいたらぜひご教示いただきたい。
 
 
 

 
 

 

 
 

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