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スポーツをつかう(Utilize)という視点

「する」「みる」「ささえる」。スポーツに関わる人間であれば一度は耳にしたことがある、スポーツ産業を取り巻く要素を表すフレーズ。今回のnoteは、ここにスポーツを「つかう」という視点をテーマに記したいと思います。

上記画像で示したシステムは、Sports ecoSystem Enabler Framework(以下、SSEF)というものです。これは、KEIO SDM SPORTS X Leaders Program 0期のプログラムを通じて参加者と教員でディスカッションを重ねた末にアウトプットしたフレームワーク。

言葉で表現するとシンプルで当たり前のように捉えられるかもしれませんが、要素を分類し更にその関係性を整理して示すことで、全体俯瞰と構成要素の繋がりを意識した多様な議論を推進することが可能となるのがポイントです。

一つ例をあげてみます。日本サッカー協会時代の私は、マーケティング部門に所属していました。協会職員としての私に対する組織の期待は、マーケティング活動を通じて組織に収入をもたらし、サッカー環境の実現を「ささえる」事でした。これは組織で働く人間として当たり前の事ですね。

ここで先ほどのSSEFをもう一度見てみましょう。協会で働いていた時に感じていた違和感は、コンテンツホルダー(Enable)側に立つと、スポーツを「つかう」側の視点が欠けてしまうことが少なくない、ことでした。

理由としては、スポーツ環境全体を俯瞰すること、構成要素の繋がりを意識することが少ない点があげられます。その結果、支える側の人間の多くは「する」「みる」の環境を最適化することに終始してしまいます。

サッカー協会で言えば、競技力を向上させること・競技環境を最適化することの重要性ばかりが組織内部で強調されます。一方で、いかに効果的に実現するのかという議論については、検討スコープが極めて矮小的になってしまいます。システムを取り巻くステークホルダーと連携しながら実現を目指す方が、成功確率を高められる可能性があるにも関わらず・・・。

私の場合、組織内で「する」「みる」「ささえる」環境を最適化するために「つかう」側である国や自治体、企業・研究機関とのコミュニケーション量・質を向上させることが有効であり、そのために「つかう」側が使いやすいように組織を外に開いていくことが重要であることを訴え続けてきましたが、なかなか理解を得ることができませんでした。(これは、自分自身が組織の人間に、スポーツ環境全体を俯瞰することや構成要素の繋がりを意識することの重要性を理解してもらうまで働きかけることができなかったのだと思っています。)

加えて言えば、「つかう」側の視点が欠けることで、社会における組織の存在意義(WHY)も非常に視野の狭いものになりがちです。前回のnoteにも記しましたが、社会から期待されるスポーツの役割がこれまでになく拡張しているにも関わらず、スポーツ側がそれに気づけないという事態が散見されています。

これらの状況をすぐに改善することは難しいかもしれませんが、スポーツに関わるステークホルダーが、全体俯瞰と構成要素の繋がりをこれまで以上に意識することからまず始めることができれば、一見解決が難しいと片付けられている複雑な課題に対しても、新たなアプローチ・ソリューションが示されるかもしれませんね。

最後に。個人的にはそのキードライバーとなるのが「つかう」側の存在であると考えており、Sportinnovaでは「する」「みる」「ささえる」側と「つかう」側をより効果的に繋ぐシステム・機能を開発していきたいと考えています。


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