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高山本線おじさん4人の旅(第1日目)
発足「鉄道と温泉と酒の会」
2023年、夏。仕事仲間の4人のおじさんが行きつけの居酒屋でビールのジョッキを片手に話すうち、成り行きから「鉄道と温泉と酒の会」を発作的に結成! その記念すべき第1回目の旅の目的地は飛騨高山、平湯、そして下呂、期日は11月下旬の日曜日からの一泊二日と決定した。
以下は、列車の車窓からの眺めが少々、あとはおじさんたちの飲み食いの記録が中心となります。
草津から『ひだ25号』で出発
ということで、いよいよ出発日。朝8:30、JR琵琶湖線の草津駅に着くと、コンコースにはM氏、W氏、K氏の3名がすでに到着し待ってくれていた。幹事のM氏は準備万端、コロコロケースにビールやおつまみ、そして南洋軒のすき焼き弁当を買い込んでくれている。
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早速ホームへ降り、特急『ひだ25号』高山行きの到着を待つ。特急『ひだ』は基本的には名古屋発着であるが、一日1往復のみ大阪発着の列車が運行されており、今回は行き帰りにこれを使う。8:50定刻に列車が草津に到着。素早く乗り込み、指定席に4人が向かい合って座る。いよいよ旅の出発である。
列車は4両編成の最新のディーゼルカーで、ハイブリッド仕様である。通路の上の電光掲示板には、エンジンの制動時に電気を起こし、その電力を動力の補助として使っている様子が示されている。エンジン音は静かで振動も少なく、とにかく乗り心地は快適である。各座席の手すりにはコンセントがついており、トイレや洗面所の設備も申し分なくまるで新幹線に乗っているような気分になる。
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車内は7割くらいの乗客といったところ。親子連れの家族や一人旅ふうの女性の姿なども見られる。当方は着席後すぐにビールが出て、おしゃべりが進む。幹事のM氏のみ、このあと車の運転が控えていることからノンアルコールである。楽しい時間が過ぎる。ちなみに、途中、隣の車両のトイレに行ったK氏が語ったところによると、隣の車両は外国人ばかりでかなりの喧噪状態…とのこと。静かな号車にあたったことに感謝する。
いよいよ高山本線へ
列車は米原、大垣と停車し、9:56岐阜着。ここで、名古屋から来た『ひだ5号』飛騨古川行きの6両と連結し、計10両編成となる。
10:10岐阜発。線路は東海道本線から分かれて高山本線に入る。いよいよ飛騨路である。やがて右岸に木曽川の流れが見えてきて、10:30美濃太田着。快適な旅は続く。
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しばらくすると車窓には飛騨川が見え隠れするようになる。飛騨川は木曽川に注ぐ支流であるが、中部山岳地帯を水源とする本格的な大河の様相である。ごつごつとした岩が河原に転がっている。列車は飛騨川に沿うように曲がりくねりながら進む。たぶん勾配を登っているものと思われるが、最新のハイブリッドカーはそれを感じさせないスムーズな走りで、すいすいと振動もなく進んでいく。
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11:00を目安に、早めの昼食をとることにする。南洋軒のすき焼き弁当をビールとともにおいしくいただく。線路には国道41号線が併走している。W氏やM氏は、以前車でこの道を走ったことなどを弁当をほおばりながら話している。両岸には山が迫り、川と山に挟まれるように集落が続く。
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高山に到着
やがて家々の屋根や軒下に積雪が見えるようになる。昨日日本列島をおそった寒波の影響と思われるが、11月の半ば過ぎの風景とは思えない。昨今のきょくたんな気象現象には驚かされるばかりであるが、いずれにしても一日違いで今日が旅行日となったことを喜ぶ。今日の天気は晴れ時々曇といった感じか。
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11:30下呂着。明日はこの町の温泉に入る予定である。
そうこうしているうちに、列車は高山に近づく。車内アナウンスは岐阜で合流した前6両は飛騨古川行き、大阪から来た後4両が高山止まりであることを告げている。ゴミを片付け荷物を網棚から下ろしたところで、定刻12:14高山着。3時間と少しの鉄旅は快適な時間だった。
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列車からは多くの外国人も下車。途中K氏が言ったとおりである。彼らに混ざりながらコンコースに向かう上りエスカレーターに並ぶ。みんな大きな荷物を持っている。
高山駅はきれいに改装されており、ずいぶん以前に来たときのイメージとは異なっていた。ただし改札はすべて有人で、自動改札の設備はない。改札の駅員さんに使った切符をほしいとお願いする。駅員さん、とても親切に対応してくれる。
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改札を出た後も、通路は明るく清潔で中央にはベンチが設えられている。両側の壁には高山祭りの山車のレプリカなども展示されており、それらを眺めながらM氏に続いて駅前のレンタカー店へ向かう。M氏、何かと手際よく準備を進めてくれている。
レンタカーで平湯温泉へ
手続きを済ませ、白いレンタカーに4人が乗り込み駅前を出発する。時刻は12:40。目指すは平湯温泉である。当初は、平湯からさらに奥に分け入り、新穂高ロープウェイにて西穂高口までの行程が計画されていたが、下界から見上げる山々には厚い雲がかかっていること、そして何より昨日の降雪により途中の山道が心配であることなどから、行きの列車の中で4人の意見が素早く一致し断念することに決定。平湯温泉街の入浴施設「ひらゆの森」を目的地とする。
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運転手のM氏は何度も来たことがあるとのことで、慣れたハンドルさばきで目的地を目指す。ただし予想通りというか、市街地を抜け山が迫ってくると、道の両側には積雪が現れ、その量は進めば進むほど深くなっていく。幸い路面は除雪されており車の走行には支障はないものの、途中からは全くの銀世界でまるで真冬の景色である。
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今回の旅の目的の一つは美しい紅葉を堪能することであったが、山々は紅葉どころか真白で、スキー場のゲレンデとリフトが見えていたりする。ヘアピンカーブを繰り返し目的地近くまで来たところには、路肩に神戸ナンバーの黒いワンボックスカーが放置されているのを発見。昨日の降雪で走行をあきらめたものと思われる。さて運転手はいずこに。改めて旅行日が昨日でなかったことを喜ぶ。
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硫黄の香り漂う「ひらゆの森」
1時間ほどのドライブで、無事「ひらゆの森」に到着。車から降りると、たちまちひんやりとした空気とともに強い硫黄の匂いに包まれる。いよいよ温泉。楽しみが募る。
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受付でM氏が手続きをしてくれる。入浴料700円。安い。バスタオルを500円で購入して浴室へ。硫黄の匂いは益々強くなっている。
湯船になみなみとした白濁したお湯は肌にぬるっとまとわりついてくる感じである。時間的にも良かったのか、入浴客はまばらで大きな湯船につかっているのはわれわれ4名だけである。露天風呂へ行ってみると、そこには数名の先客あり。外国人の姿もある。ゆっくり温まって、大満足。
ロビーの大きなスペースは畳敷きとなっており、ここでしばし休憩。横の売店で“さるぼぼ”のお守りを購入…。
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「ひらゆの森」を出た後、温泉街を少し見物して、他にすることもないので高山へ戻ることにする。来た道を引き返し、16:00頃、高山駅帰着。レンタカー店で手続きをすると、予定より早く帰ってきたのでいくらか返金するとのこと。親切な良い店である。
そのまますぐ近くにあるホテルにぞろぞろ歩いて向かう。駅前のビジネスホテルである。経費節減のためM氏が選んでくれたホテルであるが、建物は新しく便利な立地である。部屋割りはM氏とK氏、W氏と私ということになる。部屋に荷物を置いて、早速市内ぶらぶら歩きに出かけることにする。
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人にやさしい高山の町
といっても夕食場所の予約はしてあるものの、それ以外はあてもなく、適当に通りを歩いていく。だんだんと辺りは暗くなり、風も冷たく寒い。日曜の夜ということもあって人通りは多くない。しばらくして古い町並みと商店が並ぶ通りに入ると、そこはなかなかの風情があって、観光客で賑わっている。
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何軒かある酒屋の一つに入る。ここではお酒の販売と店内での試飲も提供している様子で、声をかけてくれたおばさんに地酒を瓶から一杯柄杓ですくってもらい、プラスチックのコップに入れてもらって200円也。脇には囲炉裏を囲んで座るスペースもあって、そこでゆっくりと味わうことにする。横では外国人のカップルと若い女性2人、そしてどういう訳か年配のおじいさんが1人いて計5人で話が盛り上がっている。なかなかいい光景。
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店を出ても、夕食の予約時間にはまだ少し余裕があるため、夕食までの前哨戦として軽く飲む店を探すことにする。何軒か候補をめぐった後、一軒の居酒屋に決定して入店。店内は意外と混んでいて、各テーブルから賑やかな声が聞こえている。瓶ビールと簡単な料理を注文。乾杯の後、気の利いた料理をおいしくいただいた。
1時間ほどで席を立つことにするが、お会計はびっくりするほど良心的。レンタカー店といいこのお店といい、高山の町は観光客にやさしいことを痛感。適度な賑わいもあってとても気に入りました。
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飛騨牛の炭火焼きで満足
そしていよいよ本日の夕食会場へ。M氏が力をこめて予約しておいてくれたおすすめの店である。看板料理は“飛騨牛の炭火焼き”。K氏のスマホナビゲーションを頼りに、冷たい風の中、ようやく目指す店に到着する。川沿いに立つその店の前は紅葉した木々が暖かいオレンジ色の街灯に照らされ、雰囲気が一気に盛り上がる。
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店内に入ると中はたいへんな賑わい。一目で外国人が多い、いやほとんどが外国人ではなかろうかという感じである。入り口近くの席に通され、飛騨牛の炭火焼コースと地ビールを注文。料理が出てくるのを待つ間、ちらちらと店内の他の席(外国人)に目をやるが、皆じょうずに箸を使いこなしておいしそうに料理をほおばっている。感心したのは、エプロンを掛けた中年とおぼしき女性店員さん(女将さん?)。きびきびと動きながら外国人グループからの注文を聞いたり、質問に答えたりするのに臆することなく流ちょうな英語を操っている。そのにこやかで堂々とした態度に、思わず見とれてしまう。ネットで紹介されるなどして海外からの旅行客おすすめの店となっているものと思われるが、それも分かる気がした。
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待つことしばらくしてわれわれの料理が出てくる。テーブル一杯に並べられた品々を前に、まずは地ビールで乾杯。各自の鉄板で飛騨牛を焼き、いただく。予想通りの柔らかさと味わいで満足。
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世話に来てくれたアルバイトの青年に、「賑わってるね。いつもこんな感じ?」と聞くと「はい」とうれしそうに答えてくれる。「大学生?」と聞いたら「高校生です」とのこと。明日は月曜日なのだけれど大丈夫なのかと、少し心配…。
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締めは高山ラーメン
腹を一杯に満たして心地よい気分で店を出る。川沿いのオレンジ色にライトアップされた紅葉がますますきれいに見える。ただし風は冷たい。
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このままホテルに帰るのか。しかし時間はまだ早い、ということで、締めにラーメンを食べることにする。といってもさすがに日曜の夜、通りの店はすでにほとんどが閉まっており人通りも少ない。K氏が得意のナビゲーションで高山ラーメンの店を検索してくれて、ようやく一軒の店を見つけ入店。細麺醤油味の高山ラーメンをいただく。ついでにビールも。
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こうして高山の夜を満喫。良い一日だった。4人のおじさんそれぞれが満腹の2乗になった腹を抱え歩いてホテルへ戻る。歩きながら明日は朝市へ行こうかという話しになったが、部屋へ戻ったとたんW氏と話し、やはり朝市は遠いのでやめようと意見が一致。その旨M氏チームに電話連絡。テレビをしばらく見て、その後就寝。すぐに眠りについた。
高山本線おじさん4人の旅(第2日目)に続く