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山陽本線の旅 ~広島から尾道・そして岡山まで~

 8月初旬の休日。今日は、山陽本線の普通電車で、広島から岡山まで乗車したいと思う。途中、尾道で下車して観光予定…。
    普段は新幹線であっという間に通り過ぎる区間だが、今日はゆっくりと車窓の景色を楽しみたい。そして尾道は以前から行ってみたい町だったので、とても楽しみ!


出発は広島駅 

 出発は広島駅。8:48広島発糸崎行きの電車に乗車する。休日の朝、6両編成の車内は空いている。
 広島を出た後、天神川、向洋と停車し、8:56海田市(かいたいち)に到着。海田市は呉線との分岐駅で、少し大きめの駅である。その後も電車は市街地の中を進んでいく。駅間は短い。

 安芸中野、中野東と停まって、瀬野を過ぎたころから車窓には山が迫るようになる。いくつかトンネルを抜けながら山中に分け入っていく。
 9:18八本松着。市街地が開け、駅前の看板には「広島大学」の文字が。ネットで調べて、広島大学の本部が東広島市にあることを知る。少し意外な印象…。
 9:21寺家に続いて、9:24西条着。賑やかそうな街並みが見える。“加茂鶴”と大きな文字が書かれた酒蔵が線路のすぐわきに立っている。広島を代表する銘柄か…。西条出発後は、田畑と民家が混じったのどかな風景となる。天気は良く、今日も気温は38℃予想である。

内陸を走る山陽本線

 西高屋、白市、入野、河内と、電車は快調に進んでいく。窓外は山間の農村地帯といった感じの景色である。山陽本線というのは瀬戸内海に浮かぶ島々を眺めながら海沿いの線路を走るものとの先入観があったのだが、ここまで海の気配は全くない。スマホの地図で確かめてみると、確かに山陽本線の線路は内陸を通っており、海沿いを走るのはさきほど海田市から分かれていった呉線である(事前に地図を見ておけば簡単にわかる話だけれど、乗ってみて改めて実感!)。ちなみに呉線と山陽本線は三原で合流する。そこから先、尾道辺りにかけてしっかりと海が見えそうである。

貨物列車が走る物流の大動脈

 ところで、先ほどから何度か貨物列車とすれ違っている。わが地元ではこれほどの頻度で貨物列車を見ることはなく、山陽本線が物流の大動脈であることを改めて感じる次第。
 少し長い駅間の後、9:53本郷着。その後しばらく走って、やがて車窓には大きな市街地が見えてくる。そして10:02三原着。広島出発以来の大きな都市である。車内アナウンスは新幹線の乗り換えなども案内している。

 多くの乗客が下車し、代わって乗車してくる人は多くはない。少し時間調整して出発。車窓には市街地と工場地帯が広がっている。その向こうに瀬戸内海が迫っている雰囲気はあるのだが、いまだ見えない。代わりに、また貨物列車とすれ違う。
 そうこうしているうちに、あっという間に10:06、終点糸崎に到着した。

糸崎を出て海を見る

 糸崎駅では、降りたホームのすぐ目の前に岡山行きの普通電車が待っている。2分の待ち合わせで、10:08出発。出発後、右側車窓に念願の瀬戸内海がいっきに広がるのが見えた。青空に海面が映えて、とてもきれいである。遠くにしまなみ海道のつり橋も見えている。絶景。

 駅間長く、次の停車駅はもう尾道である。
 10:15尾道着。多くの乗客とともに下車し、観光に向かう。

尾道観光

尾道駅に降り立つ。午前10時過ぎで、すでに日差しが刺すように痛い。
尾道本通りにある林芙美子記念館。アーケード街には味わい深い店が多い。
ロープウェイで千光寺公園に向かう。徐々に眺望が開けていきワクワク感が増す。
頂上展望台から尾道水道と街を見下ろす。どこを切り取っても絵になる風景。
千光寺境内の絵馬。奥の販売所で「健康(福老)守」の御守購入。
天寧寺三重塔。尾道観光のパンフレットでよく見る風景である。
坂を下って街へ戻る。太陽が容赦なく照り付け、汗が噴き出る。
こうした趣のある坂がいっぱい。だけど毎日住むにはちょっと不便かも。
尾道水道を隔てた向島とを結ぶ渡船。赤いバイクの郵便配達のお兄さんも乗って行った。
千光寺山のふもとを走る山陽本線。青空に黄色い車体が映える。
そしてやっぱり、なんと言っても山陽本線は貨物列車の宝庫!

福山まで

 酷暑の中、尾道の観光名所をひととおり巡り駅に戻る。尾道はどこへ行っても絵になる景色が満載で、十分に堪能した。駅のみやげ物店で少し買い物をした後、ホームに上がって電車を待つ。
 やがて福山行き3両編成の電車が到着し乗り込む。14:05尾道発。
 すぐに、右手に尾道水道が見える。対岸には造船ドック、手前側にも多くのクレーンが林立している。これも絶景。ただし、風景の中を、必ず貨物列車が横切ってくる。今日いったい、何本の貨物列車を見ていることだろう。

 その後、東尾道、松永、備後赤坂と、順調に進んでいく。海はもう見えない。そして、14:27、あっという間に終点・福山に到着した。

 福山は、県内では広島市に次ぐ大都市で、大きな市街地が広がっている。乗り換え時間は短く、次の電車が出発する6番線に急ぐ。階段を下りて、エスカレーターを登ったところで、待っていた3両編成の岡山行き電車に無事乗り込む。
 車内は混んでいるが、何とか4人掛けボックス席の一つを確保したところで14:31、電車は福山を出発した。いつも高速で通過する新幹線の窓からちらりと見えていた福山城が、すぐ左手、目の前に見える。写真を1枚。

岡山県へ

 福山を出て、電車は東福山、大門と市街地の中を進んでいく。乗客は駅ごとに次々と下車していき、車内はだいぶ空いてくる。
 14:45笠岡着。いよいよ岡山県である。ただし、県境を越えても車窓の風景に大きな変化はなく、市街地や田畑が繰り返し現れていく。
 里庄の後、鴨方を出たあたりで田畑の割合が増し、金光付近で窓外はいっきに大田園地帯となる。所どころにため池が見えたりもする。やがて左後方から新幹線の高架が見え出し、徐々に接近、そして、こちらの線路としばし並走した後、15:03新倉敷駅に到着した。見上げる上に新幹線の大きなホームが見えている。
 新倉敷では、新幹線からの乗り換えと思しき大きな荷物を持った人や部活帰りの高校生なども乗り込んできて、車内が賑やかになる。
 出発後、電車は高梁川の大きな橋梁を渡る。貨物列車とは相変わらずよくすれ違う。西阿知に続いて、15:12倉敷に到着。

倉敷から終点・岡山まで

 倉敷市は、県内では岡山市に次ぐ大都市で、いわずと知れた一大観光地でもある。ここで多くの乗客が下車、そしてそれ以上の乗客が乗り込んでくる。観光帰りと思われる人も多く、皆にぎやかに話し込んでいる。車内は満員で、入り口ドア付近に立つ人も多い。
 市街地が続く中、15:17中庄着。左手の丘の上に「川崎医科大学」と書かれた大きな建物が見える。その後も、電車は住宅地と田園地帯が繰り返す中を快調に進んでいく。庭瀬の辺りでは、家々の間にきめ細かく水路が走っているのが見える。隠れた水郷の町か?
 次の北長瀬を過ぎたところで、いっきに線路が枝分かれし、左右に無数の(ちょっと大げさか)引き込み線が走るエリアを通過する。そこにJRの各種車両が無数に(再び大げさか)待機しており、これは壮観。
 見とれているうちに、定刻15:31、終点・岡山に到着。山陽本線の旅が無事終了した。

 山陽本線、広島・岡山間の旅は、これといった特筆すべき車窓の風景があったわけではないが、沿線の街々の活気のある様子を感じることができた。なお、観光地・尾道は期待通りのすばらしさで満足! そして何といっても、今日は、これまでの人生の中で最もたくさんの貨物列車を見た一日となった。


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