「リスニングには文法と語彙が必須」という勘違い
この見出しを見て、本当かな?と疑う人は多いと思います。
しかし、6年間英会話を教えてきた僕が、自信を持って言える事実です。
リスニングに文法や語彙は必須ではありません。
もちろん、全く不要かといえばそうではありません。
ただ、大まかな理解をするための「読み取る力」を 鍛えれば、
リスニング処理を大幅に省エネでき、
結果として最小限の文法知識と語彙で、十分な理解ができる、
というのがこの見出しで伝えたかった事です。
ちょっとたとえてみます。
下の画像は、プラモデルの箱の中身です。
これ、なんのプラモデルかわかりますよね。
誰がどうみたって、車のプラモデルですね。 多分セダンでしょうね。
でも別に「車」や「セダン」とどこかに書いてあるわけでもない。 説明書を読んだわけでもない。
それなのに、車だと知覚できています。
全てのパーツの正確な名称や役割(語彙)を知らなくても、 説明書(文法)なんて読まなくても、何が完成するのか大体検討がつく。
この、小さなヒントをかき集めて大まかな答えを出す作業が 「読み取る力」です。
そんなの出来て当然じゃない?と思うかもしれません。
でも、その当然な事がリスニングでは出来ていなかったりします。
聞こえてくる音、文法、単語の意味に気をとられ過ぎると、話し手が何を伝えたいのかを「読み取る力」がオフになります。
結果、文法・語彙だけを手がかりに内容を理解しようとしてしまうので、 それだけで頭いっぱいになり、結局何もつかめないまま終わる。
これは本当にもったいない事だなと思います。
せっかくインプットした文法や語彙をうまく活かせていません。
買った自転車を手で担いで帰るくらい、エネルギーの無駄遣いです。
「それ自分の事だ...」と思う人がいたら、ぜひ今日からこの「読み取る力」の意識を持ってリスニングに取り組んでみてください。
この「読み取る力」でリスニングができるようになると、こんないい事があります。
・瞬時に理解できるようになる
・リスニングがラクになる(脳のワーキングメモリの省エネ)
・リスニングが74倍楽しくなる(倍数には個人差があります)
読み取る力を鍛えると、まず脳が勝手に大体の答えを瞬時に出してくれます(プラモデルのパーツを見て瞬時に「車だ!」と分かる感覚)
そして、文法分析や単語の意味を引っ張り出す作業でフルに稼働していた脳のワーキングメモリが大幅にカットされます。
そしてその分余裕を持って俯瞰して会話をのんびり聞く事ができるようになるので、内容自体を楽しめるようになります。
例えば、先日僕のチャンネルで上げたビリーアイリッシュのインタビュー動画で、ビリーが恥ずかしそうな顔をしている場面があります。
この場面を見て、
「司会がジャスティンと口にした時にビリーが恥ずかしそうな顔をしてる...fanって単語も聞き取れた。って事はビリーはジャスティンのファンで、会いたがってるのかな?」
といった感じに推察をして、話し手の感情の動きが急に読み取れるようになります。
すると次はもっと詳しい事が知りたい!と思うようになるはずです。
そして、こんな風に好奇心が芽生えた状態で初めて
文法と語彙のアプローチが活きてくるんですね。
ですから、最初から文法と語彙を理解する意識でリスニングに望むのではなく、
「読み取る力」で大まかな理解をして、その理解で足りない穴を埋めるために文法と語彙を使っていくというのがリスニングの理想的なプロセス
なのだと僕は思います。
それでは、次回の記事で残り2つのリスニングにおける勘違いの話をしていきたいと思います。
今回はだいぶ力を入れて書いたので、次回からはもう少し「省エネ」でラクにライティングしたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
Tetsu