【読書記録】リーダーシップ 6つの試練
ディーン・ウィリアムズ著、「リーダーシップ 6つの試練」(原題:Real Leadership)を読んだ。
世の中一般に言われている「信念を持つ」「道筋を指し示す」といったリーダーシップの"あるべき論"を「偽のリーダーシップ」と喝破し、真のリーダーシップ(Real Leadership)について論じている。
著者は、一般に流通している、◆信念を持つ、◆ビジョンを明確に説明する、◆道筋を指し示す、◆忠実なフォロワーを生み出す、、、といったリーダーシップの概念は、リーダーの取りうる選択肢ではあるものの、これらの要素が必要以上に強調された結果として「偽のリーダーシップ」が生まれていると指摘する。
具体的には、◆支配に執着する、◆人々を真の作業に関与させない、◆安全地帯を超えて解決策を見つけようとしない、◆自分だけが心理を理解していると確信する、、、というもので、確かにオーナーシップが強すぎる、いわゆる「文鎮型」組織やミドルばかりが働きすぎる職場では、こういった事例をよく見る。
著者の指摘で特に共感するのは、これらの一般的なリーダーシップの概念は、現代社会が取り組むべき課題を十分にカバーできていない、というもの。
確かに、「リーダーはビジョンを示すことが大事だ」というが、強力にビジョンを示すことがかえって反発を呼んでしまう場合もあるし、逆にリーダーへの過度な依存につながり、組織の活性を下げる場合もある。確かに総論としては賛成できるが、個別の組織の置かれた状況によっては鵜呑みにできないことが多い。
このような事態に対し、著者はリーダーシップが直面する試練を6つに類型化している。それぞれの試練に対して、求められるリーダーシップの在り様は少しずつ異なることを説明する。
リーダーとはどうあるべきか?という問いはどんな組織でも出てくると思うが、組織にはいろんなステージがあり、直面している課題の内容・質は全く異なる。その一方、巷の”あるべき論”は画一的になりがちだ。
企業でも、創業期、成長期、成熟期、衰退期でやるべきことが異なる以上、求められるリーダーシップも異なるべきだ。製品のライフサイクルだけでなく、消費者のニーズの変化、社内の技術水準、人事政策・・・様々な要素が絡み合って企業の"試練"が生まれる。
この本は「リーダーシップといってもケースバイケースだ」という身も蓋もないことを言っているに過ぎないのだが、その"ケースバイケース"を類型化し、それぞれのケースに求められるリーダーシップを考える補助線を引いてくれる。
自分の会社、あるいは部署が今どういう試練にあるのか。また、それを乗り越えるにはどういうリーダーシップが求められるのか。じっくり考えてみると面白い。
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