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大規模プロジェクトの失敗からヒントを得た研究計画

大学院受験の中でも、研究計画書の作成というのは、経験のない人にとってはある意味難題なのかも知れない。
少なくともボクはそんなに簡単に書けた訳ではないし、研究計画書を完成させること自体、1つの大きなチャレンジだった。
今回は、研究計画書の着想から完成するまでの軌跡を振り返りたいと思う。

失敗経験からヒントを得る

ボクが受験のための研究計画書に着手し始めたのは、自分自身のこれまでのキャリアと未来に対して、深く考えを巡らせた後だった。
20年以上にわたりIT業界で働いてきたボクは、大規模プロジェクトにおけるマネージメントの失敗を経験し、人材開発や組織開発の重要性を痛感していた。
そんな中、企業組織における人材転換の可能性を探ることは、自分自身のキャリアと組織に対する理解を深める良い機会になるのではないかと感じていた。
そういった過去の経験と現在携わっている組織における課題を鑑みて、企業組織内の「活躍人材」と「非活躍人材」との間の境界がどこにあるのか?そして、非活躍人材が活躍人材へと変貌する過程を明確にして、その変貌を促進する要因を突き止める、といった内容の研究計画を立てた。
ちなみに「非活躍人材」という言葉はあまりよくないかも知れないので、実際に研究に入る際には言葉自体を変更する予定だ。

スクラムの影響

この研究テーマを選んだのは、アジャイルのスクラムという開発手法が大きく影響しているかも知れない。

ボクはスクラムに出会って、大きくエンジニアとしてのスタイルが変わったと思っている。
それまでのウォーターフォール型の開発スタイルに疑問を持ち続けながらプロダクト作りをしていたというのもあるが、このスクラムはまさに「人と組織」を中心に考えた開発手法だと捉えている。

スクラムに関するイベント運営に携わりながら、同世代のエンジニア達と課題を共有していくようになり、さまざまな取り組みに挑戦してきた経験が、より「人と組織」に目を向けることになったのだろう。
ただ、この経験は、自身の中でのノウハウの蓄積と自分が携わるプロジェクトをラクに進めるための道具、という使い方にしか利用できていなかったことが大きな反省点だ。つまり、自分のことしか考えていなかったのだ。
この反省から、プロジェクトに携わる全員で成長が目指せるようになるために「非活躍人材が活躍人材へと変貌する過程とその促進要因」に焦点を当てようと考えた。

研究計画書作成から得られたもの

研究計画書の作成を進めるにあたって、人材開発と組織変革に関する書籍を読み漁り、Pythonを使用してサーベイのシステム開発に取り組むなど、多岐にわたる試行錯誤を重ねていた。

また、研究計画書の作成過程でもっとも面白みを感じたのは、自社の抱える課題について多角的に考察し、それに対する解決策を社長と話し合ったときだった。
若手社員が多く、経験豊富な中間管理職の不足が顕著なこの企業は、新しいアイデアの創出は得意でも、戦略的な意思決定や危機管理能力の面では課題を抱えていた。この課題に対し、どのように取り組むべきかを考える過程は、ボクにとって多くの学びになった。

5年後、そして10年後の自分がどのような人材として成長していきたいかについて考える時、この研究計画書の作成過程で得た知見は、ボクの指針に影響を与えると思う。非活躍人材を活躍人材へと転換させるためのプログラムや組織開発の支援を行って、IT業界における新たな人材開発モデルを提案すること。これがボクが目指したいと思う理想像になっている。

研究計画書を作成する途中で、遠回りしたり方向性がブレたりしたけど、それらすべてが今のボクにとっては貴重な経験となったと思うし、4月からは、この研究計画書で描いたビジョンに向かって、歩みを進めていきたいと考えている。

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