「テレビは大画面・高精細」が引き起こす、新しいバリア
我が家の「しょぼいテレビ」
ラグビーワールドカップ、バレーボールワールドカップ、どちらも楽しく観ている。
そもそも、うちはそれほどテレビは見ない。
ほぼ毎回観るのは「THE!鉄腕!DASH!!」「プレバト!!」「炎の体育会TV」「ごはんジャパン」「ブラタモリ」「クラシック音楽館」くらいなもの。ただ、ニュースとスポーツ中継はどんなものでもかなり観る。
あとは、食事のときになんとなく、テレビをつけて、適当に無害な番組にチャンネルを合わせておく程度。
BD/DVDプレイヤーやゲーム機も持ってはいるが、メディアがほとんどないので、これもたまに使う程度。
なので、10年以上前に買ったSHARP亀山モデルの14型液晶テレビをそのまま使っている。まあ、ひとことで言えば、「しょぼいテレビ」だ。
情報が読み取りにくいという「バリア」
その「しょぼいテレビ」を使っていればこそ、気がつくこともある。
テレビの大画面化が続いていくことによって、我が家のしょぼいテレビでは、画面を観るにあたって不都合が出始めた。
とくに顕著なのは文字情報。画面に出てくる文字が、以前に比べて、明らかに小さすぎる。
たとえば、今のラグビーワールドカップなら、ゲームの現況概要、選手情報、スコア、反則解説、スタッツなど、さまざまな文字情報が入ってくる。これを2,3メートル離れた場所から観ると、小さすぎて読めないことがときどきある。
スポーツならまだしも、災害情報はどうか。NHKは背景やフォントなどに見やすい工夫を施してあるが、それでも読みにくいときがある。
テレビ局の都合のせいで自分がテレビに多少近づかなければいけないのは、はっきり言って業腹である。
当然、dボタンなど押そうものなら、放映画面上の情報など、悲惨きわまりない大きさになってしまう。そしてdボタン情報も、開始当初から比べて、どんどん小さく、読みにくくなってしまっている。
各放送局においては、もはや「14型テレビを2メートル離れて観るような使用」など、想定されていないのだろう。
誰にとってバリアとなるのか
わかりやすい例を、ひとつだけ挙げる。
老人ホームの居室は、テレビの持込みが可能である。
持ち込みに便利な大きさのテレビを持ってくるので、せいぜい大きくても17型くらいまでで、それ以上に大きいテレビはあまりない。当然、ベッドの側に置いてテレビが倒れることがあっては大変なので、離して設置することとなる。
つまり、離れた場所から観ることになる。果たして、文字情報は読むことができているのだろうか。
こういう方々に、テレビ局は配慮が行き届いているのだろうか。
そしてますますテレビを観なくなる
そんなわけで、テレビを観ていればストレスがたまる状況があり、ますますテレビへの興味は失せていく。
結局、PCかスマホでの動画視聴が中心である。ゲームも携帯機かスマホでやるようになった。PCだと距離は近いし、あるいはスマホの小さい画面で、手もとで観れば、用は足りる。小型の据え置きテレビは中途半端だ。
取りこぼしている客の存在、あるいはこぼれていく人々の存在を、テレビ放送局は気づいているのだろうか。