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自分たちでゼロから結婚式を創った夫婦の話し。~Ep14.一難去ってまた一難~

Ep14.一難去ってまた一難

 まず、解決するべきはアクセスの問題だった。実際、駅から会場までは徒歩でも40分近くかかる。車で送迎しなければ絶対に無理な立地だった。大型2種を持っていた長谷川にアクセスの大部分を任せていたがマイクロバスを手配するのは至難の業だった。

 何しろ千葉の山の中。道が狭く運転技術が相当いる状況だった。そして、何よりもバス業者から断られまくった。ネットで掲載していても実際電話してみると貸していないところがあったり、そもそも金額がとんでもなく髙かったりした。長谷川は焦る顔を見せなかったが、おそらく相当苦労したと思う。

 その他にも福岡から来るみはるの親族・友人が泊まる宿泊施設が確保出来なかった。

 更には150名近い参列者の規模だと屋内のキャパシティでは不可能だったため野外スペースを選んだが、野外でプロジェクターの映像を映し出すのはかなり骨が折れた。そもそもプロジェクターを明るい場所でも使えると考えていた自分の知識不足が情けない。

 レンタルのテントも1基あたり10万円の見積を取れば、実際にはテントのレンタル料以外にも施工費と運送費で70万円に跳ね上がり頭を悩ませた。

 そして、リーダーを任せていた木内が昼間の仕事で新店舗立上げの責任者に就任してしまったため全く時間を取ることが出来なくなってしまった。木内から一時離脱を告げられた時は本当に完成が遠い未来のように感じた。

 他にもフードチームとのコミュニケーションが上手くいかず怒らせてしまったり、装飾が思ったように進まなかったりと問題が次から次へと表面化していった。

 僕は噴出し続ける問題にぶち当たり、何度もみはるに「もう疲れた。結婚式、辞めよう。」と嘆いていた。しかし、みはるは「辞める」という言葉を決して否定せず、色白で透き通るような手で僕のゴツゴツとした手を握りながら「テツが頑張っているの、私は知っているよ。」とだけ言ってくれた。その言葉に何度も救われながら結婚式の期日は刻一刻と進んでいった。


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