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自分たちでゼロから結婚式を創った夫婦の話し。~Ep8.2次会の依頼~

Ep8.2次会の依頼

 いよいよAtelierWeddingが発足して走りだそうとした直後に依頼が来る。ある友人から「友達が結婚するから2次会をAtelier Weddingにやって欲しい。」との話しだった。まだ、方向性も何も決まってはいなかったが経験できるチャンスがあるならと二つ返事で承諾した。依頼をしてくれた夫婦は人の良さそうな旦那さんに、しっかり者のお嫁さん。2人ともコンセプトへの拘りはなかったが好きなものをふんだんに詰め込んだ2次会にしようということに決まった。

 その後はまさに手探り。五里霧中というべきか。正直、結婚式に比べたら比較的簡単そうな2次会の依頼ですらゼロから作るのはかなりの労力がいった。会場探しから始め、金額の交渉や見積の作成。料理やプロフィールムービー、装飾、写真撮影、誘導、スタッフの服装に至るまで相応の時間を有した。

 良かったのは誰一人として弱音を吐かず、楽しそうに仕事をしていたことだった。スタッフ全員の姿を見て、僕は仲間に恵まれていたことを再認識することが出来た。

 そして2次会当日を迎え寒空の中、会は順調に進んでいた。宮岡には装飾と共に音響も頼んでいた。彼女は緊張のあまり今にも口から心臓が出てきそうな勢いだった。ただ、あまり口出しせず彼女の成長を見守っていた僕は「大丈夫、お前なら出来る。」と背中をポンと叩きその場を任せた。他のスタッフも自分の出来る全てを出し尽くしてやりきっていた。

 唯一の心残りは会場の手違いがあり、上の階は新郎新婦の着替えルームにしていたが別のお客さんがズカズカと入ってきて気まずい空気になってしまった。そして、普通に会場に入ってきて冷蔵庫の氷を持って行ってしまったため買いに行くハメになってしまった。本当にあれは何だったのだろうかと今でも疑問が消えない。

 新郎新婦からの挨拶を終えて、会計を終わらせAtelierWeddingから初依頼記念品の置き時計を渡し、夜の11時にすべての片付けが終わった。疲れ切ってはいたがやりきった達成感でみな表情は明るかった。終電を逃すまいと足早に会場を後にしたが、その足取りは軽く次への期待感で溢れていた。

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