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自分たちでゼロから結婚式を創った夫婦の話し。~Ep9.別れ。~

Ep9.別れ。

 2次会が終わって1ヶ月後のことだった。深夜、それは突然の連絡だった。特に成長を期待していた宮岡からだった。僕は眠い目をこすりながらiPhoneのロックを解除してLINEのトーク画面を開いた。

「テツリさん、ごめんなさい。私、チームを抜けさせて頂きます。」

 宮岡への怒りは無かった。あるのは力不足が招いた自分への怒りだった。宮岡とは以前から2人でプライベートのことや今の仕事のこと、これからのキャリアプランについて語っていた。僕は彼女の話を聞くときはこうだと決めつけずに「あなたの人生は他の誰かの人生じゃない。自分の人生なのだから、自分で決めていこう。」と伝えていた。

 今となっては自分の感情に正直に従った結果で彼女にとっては良かったのかもしれない。それでも当時は順調にいっていたチームを抜けるというのは自分の力不足という気持ちが強かった。期待していた分の反動が大きかったのかもしれない。

 1週間後、宮岡とは品川のカフェで話した。「わたし、クリエイターの仕事を極めたいです。AtelierWeddingに割ける時間がありません。ごめんなさい。」とだけ言われた。僕はその言葉に反論もせず肯定もせず、ただただ頷くことしか出来なかった。自分の結婚式のために作ったチームに引き留める気持ちにはなれなかったのである。

 僕は宮岡に「仕事が落ち着いたら飲みにでも行こう。」と言った。彼女は少し寂しそうに、ただ決意のこもった言葉で「成長した姿で会えるようにします。」とだけ言って去っていった。

 その後、暫くして普段から仲が良かった会計コンサルタントをしている笠井(現CFO)と長谷川の彼女である武井がチームに参加した。

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