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ラランド・サーヤとタイムリープ

これは先日私が体験した怪奇である。

金曜日の夜、サイゼリヤ飲みをしようと店に向かった。

マルゲリータ・辛味チキン・チョリソー
一通り料理を頼み、それらを100円という激安ワインで胃に流し込んだ。
ワインの善し悪しはわからないので、とりあえず安ければ安いほど良いと思っている。
口にそれっぽく空気を吸い込みながら、なんとなく酸化させて飲んでみる。
うむ、多分美味い。

これだけ頼んで1000円くらいだから、「サイゼリヤ」と近くの「500円で定食が食えるが、店員が絶え間なく咳をしている定食屋」だけで外食をすれば、この先なんとかやってけるんじゃないかと、そんなことを思いながら、またワインを飲んでいると、
隣の席の声が聞こえた。

テーブル一つ分くらい離れたところに、30手前くらいの男と、20代半ばくらいの女が対面で座っている。
...
男は「〇〇って、ラランドのサーヤに似てるよね」と女に言う。
...

確かに女はラランドのサーヤに似ていた。
髪型は金に黒が混じっていて、ウルフマッシュみたいな感じで、今というよりは昔のラランドサーヤぽかった。
服装もおしゃれな黒スーツにカラフルなシャツをインナーで着ており、
まさにラランドの昔の宣材写真みたいになっていた。

...
女はそれにこう返した。
「確かによく言われるんだよね、多分髪型とかかだと思うんだけど」
...

喋り方も似ていた。これは、サーヤが好きなんじゃないだろうか。メチャクチャに影響を受けているんじゃないだろうか。
そうじゃないとあまりに昔のサーヤの宣材写真すぎる。
横顔しか見えないが顔も似ている。

ただ、ダンスがどうとかという話も聞こえたので、その界隈の方々は確かにこういう服装をしそうだとも思った。
ヒップホップダンスではなく、おそらく社交ダンスかコンテンポラリーダンスとかその辺だろう。

隣の席ではその後もラランドサーヤの話が続き、僕の意識が逸れかけた頃、男は席を立ちトイレかもしくはドリンクバーに向かった。

数分後男は席に戻ってくるや否や女に向かってこう言った
...

「〇〇って、ラランドのサーヤに似てるよね」

そして女はこう返した。
「確かによく言われるんだよね、多分髪型とかかだと思うんだけど」

...

俺は耳を疑った。
何故かって?さっきと全く同じ会話をしているからだ。
あれ?もしかして男は2人いて、もう1人が喋っている?
いや違う。さっきと同じサングラスをかけたエセプロデューサーみたいな男だ。

そう。つまり僕はここで
人生初めてのタイムリープをしていたことになる。

普通タイムリープ系のアニメや映画だと、
何か変化させるべき目的があり、
その目的に向かって何度も過去に行き、未来を変えようとするのが一般的だが、
僕の場合は、なんとなく行ったサイゼリヤで、ふと聞いた隣の男女の会話をタイムリープして2回聞いただけになる。

しばらくしてから男女は立ち上がりセルフ式の会計を済ませて店を出た。
3回目はなかったが、あの時確かにタイムリープしていた。
確認していないがもしかしたらさっき食べたはずのピザが一つ増えていたかもしれない。

ワインを3杯飲んで体がほてっているが
夜の風は気持ちいいよりかは、まだどちらかというと寒い。
なんか勿体無いところで超能力使っちゃったなと、意味不明な後悔を抱えたまま、家路に着くのであった。

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