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セッ○スミュージック
前に住んでた家を引っ越して、
今は6畳くらいの少し小さい部屋に住んでいる。
引っ越した当初は、そのミニマムさも、不動産一推しの壁の厚さも気に入っていた。
しかし住み始めて2日目の朝、異変に気がつく。
日曜、6時半。
アラームが鳴っている。
スマホを確認するけど自分のものではない。
眠い目を擦りながら、壁に耳を当てるとそれが隣の部屋のものだと気がついた。
ピロロピロロ、ウォーンウォーン、ブンブンブンブン。
アラームは5分毎に音を変えて鳴ったり止まったりを繰り返した。
1時間くらい続いただろうか。
やっと音は止まり、隣人が家から出たであろうドアの閉まった音が聞こえた。
この出来事で俺は気がついてしまう
「この家、壁が厚いだけで防音はクソだ」
翌日からも隣人の話し声やカーテンを閉める音、ドアの開け閉め、歩く時に軋む床の音。
ありとあらゆる生活音が耳に入り、
落ち着かない日々が続いた。
それからしばらくして、
この部屋の生活にだんだんと慣れてきたある日。
深夜2時頃、眠っていた俺は
部屋の揺れと衝撃音で目を覚ました。
地震だと思い、急いでスマホで「京都 地震」と検索するが何もヒットせず、いつの間にか揺れはおさまっていた。
しか数秒後また、衝撃音と今度は女の叫び声が聞こえた。
キャー、キャ、キャ、キャー、キャーー!!
ガンっ!ゴン、ゴッ
声は隣の部屋からだ。
たしか、住んでいるのは男だ。
叫び声は恐怖に満ちた女の声。
隣人の男は快楽殺人鬼か何かで、女を襲っている?
とんでもないDV男で、喧嘩をしている?
突拍子もない考えが頭の中で駆け巡る。
恐る恐る壁に耳を当ててみる。
ガン!ゴッ、ゴン
キャ、ギャキャーーー!!
ギシギシ、ガン、ドンッ!
あぁ、あう、あ、あ、いい、いぐ、、
あぁあ!!!!
俺はとりあえず壁から離れて、息を整えた。
セックスだ。
とんでもなく喘ぎ声の大きい女と
とんでもなく激しく動く男の、
スポーツみたいなセックスだ。
俺は連日のこともあり、隣人の小さな物音ひとつに敏感になっていたが、今夜は何故か落ち着いていた。
一度深呼吸して、隣の部屋の音を誤魔化すために、RADWIMPSを流してみた、
違う気がする。バラードでは隣の音が聞こえるし、なんか生々しく感じる。
次に「喫茶店に蔓延る」という自分の曲をかけてみる。
そうすると女の喘ぎ声が、熱狂に変わり
ハイテンポなドラムに衝撃音が加わって、隣人の音を誤魔化すつもりだったのに、それは見事な調和を見せた。
俺の部屋は今、隣の部屋と繋がって一つになっている。
女の叫び声と衝撃音、俺の音楽が混じり合い、それは見事なセックスミュージックになった。
俺の歌は2分で終わった。
結局隣人のセックス音だけが残り、その後もスポーツセックスは続く
こんなことならもう少し長い曲にしておくべきだった。
今度激しい曲を作るときは遅漏な彼らに合わせてせめて10分以上のハイテンポなセックスミュージックを作りたい。
そう思う夜であった。
(本当のこと言うとマジで眠れなくて、普通に壁ドンしたかったよ!)