あいだてつお(作家・神社仏閣ソムリエ)
優しい世界の作り方
優しい世界の作り方の小説です
災害後の滅亡寸前寸前の人類が新たな世界を作っていきます
世界的な大災害により、世界の経済活動は終わり優しい世界は作られた
地球は優しい世界へと変わった。創造主の気まぐれで、いつ人類が欲まみれになるかは分からないけど、そうしたらまた優しい世界を目指せばいいんだ。 僕は前世で欲まみれの世界を体験し、今世では優しい世界を体験した。また地球が欲まみれになった時は、僕がその体験をみんなに教えてあげるんだ。 優しい世界になるまでが面白くて、なってしまうと退屈なもんだ。地球みたいな欲まみれの星がどこかにあれば、優しい世界の作り方を教えに行くんだけどな。 そう考えた瞬間、僕は今の世界から離れて人類滅亡寸前の違う
どうやら前世で優しい世界を目指し、欲を捨てられた人だけが今世に生まれているみたいだ。世界というのはその世界に生きている人間の思考によって作られている。その世界の人々の思考が変われば世界は変わるということだ。 人間の欲は戦争を起こし、環境破壊を起こし地球は温暖化していく。そして人類滅亡へと進むんだ。それを体験して理解した人が、その時の記憶を持ったまま生まれ変われば優しい世界は作られる。 前世ではネガティブになるようにコントロールされている世界だった。支配者は被支配者がネガティブ
前世の意識を持ったまま生まれ変わった人が多いからか、科学技術は前世よりもさらに進んでいた。何が違うのかというと、環境破壊をしない地球に優しいことを最優先にしている。前世のような大量生産大量消費の経済では、何を作ってもどこに移動しても環境破壊をしてしまう。そして環境破壊をしていることに気が付いていない、もしくは気が付かないふりをしていたんだ。 欲まみれの世界では、環境破壊による温暖化や戦争によって人類は滅亡してしまうだろう。 前世の前にも人類は何度か滅亡していたといわれている。
生まれ変わったら、優しい世界を作りたいと思っていたけど、生まれた瞬間にその世界はできていた。僕がやったことといえば、優しい世界をイメージしただけだった。 しかし、実際は僕の考えていた優しい世界を超えていたんだ。思考により世界は作られているというけれど、それは本当だった。この世界に住んでいる人はみんな優しく、動物を食べることも無かった。最初から動物を食べ物として認識していないんだ。地球に住む生き物としか思っていない。 そして、農業すらしていない。趣味で植物を育てている人はいるけ
この世界には経済というものがないようだ。また、政府というのも存在しないから日本国というのではなく、日本地方という感じだ。車や電車が存在しないため、道路工事をする必要がない。政府がないため、庁舎なども必要ないし、自然が豊かなので公園なんかも存在しない。そして他国との貿易や交流もないため船や飛行機すらないから飛行場と港もない。 そういえば、僕は何か仕事しているのかな?記憶をたどってみても仕事をしていないような気がする。そうだ、お母さんに聞いてみるか。あれ、お母さんも働いているよう
もしかして、生まれ変わったこの世界には犯罪や戦争がないのかもしれない。いくら頭に思い浮かべ検索しようとしても戦争の過去が出てこない。前世ではテレビのニュースをつけると犯罪や家事や事故や災害のニュースばかり、いったい誰がそんな暗いニュースを知りたいって思うんだ。そして遠い国での戦争のニュースを見て、人類は争いばかりだと思い、それが現実となる。 災害や犯罪のニュースを見ることで、それ自体を引き寄せてしまう、そして戦争すら引き寄せてしまっていたんだ。 この世界ではネガティブなニュー
街を一通り見渡すと、記憶をたどりながら家に帰ることにした。それにしても不思議だ、今生まれた感覚があるのに頭の中には子供のころの記憶があるんだ。まるで、ゲームを途中から始めたような感覚。 「ただいま、おかあさん元気?」 「何言ってんの?今朝も元気だったでしょ。今も元気よ」 「そうだね、元気そうで良かった」 「ところで僕は子供のころからお母さんに育てられたんだよね」 「何、記憶喪失みたいなこと言って、夢でも見たんじゃないの?」 「ごめんごめん、夢とごっちゃになっちゃって」 「変な
街を見渡すと、前世と違ってコンクリートの高い建物はなかった。家は石か木材で作られていて、1階か2階建てだ。そして電信柱はなく、家ごとに必要な電気を発電しているようだった。水道もなく生活に必要な水は川から引いている。そして使用した水は綺麗に浄化したうえで川に戻している。家にガスはなく、省エネが極限まで進んだオール電化だ。 みんなが着ている服は自然由来の麻で作られていて、石油製品は見当たらない。プラスチック製品もこの世界にはない。 たとえるならば、科学技術の進んだ縄文時代だ。政府
魂が身体に入ると、急に窮屈になった。久しぶりの身体の感覚、入っているだけで苦しい感じだ。 「あきら、久しぶりだな」 そこにいたのは隼人だった。 「久しぶりだな隼人、でも僕は今生まれたばかりだ」 「そんな訳ないだろ?だってそんなに成長しているじゃないか、どう見ても僕と同じ20歳だぜ」 隼人は驚いていた。 こんなことがあるんだな、生まれたら赤ちゃんから始まると思っていたんだけど、急に大人から始まったんだ。しかし子供のころの記憶はある。生まれたというより、大人になって体に急に入った
僕は魂の世界に帰ると、すぐに次の人生の計画をたてた。あまり細かい計画ではなく地球と人類が愛を与え合う優しい世界にするというゴールだけ設定する。 生まれるタイミングは人類が経済活動を始める頃の日本にした。縄文時代のような平和な時代もいいけど、退屈なんだ。あと今回の人生は、過去の記憶がある設定にした。前世の地球でいうレインボーチルドレンというやつだ。今度こそ優しい世界を作るぞ。 名前は、はじめ・おさむ・隼人・シェフと再会しても分かるようにあきらにしよう。子供のころに苦労するのは嫌
とうとう僕たちの山まで水が迫ってきた。最後にみんなで集まって思い出話をした。 「最後にみんなと出会えて生活ができて良かったよ、人間らしさを取り戻せた感じがする」 僕は本当にそう思っていた。働くのが嫌いだから、来世もこんな生活がしたい。 「来世も一緒に生きようね」 誰が言い出したのか同時だったか分からないけど、みんなの心は同じだった。 人類は最後に地球の大切さに気が付いたんだ。きっと次の人類は優しい世界を作れるだろう。 「次こそ優しい世界になるといいなというか、僕たちの思考で作
温暖化による海面上昇は急激に進み、僕たちのいる山以外は全て海となってしまった。遠くに富士山が見えるが、もし富士山に逃げたとしても助からないだろう。もう地球は人間の住める状態ではないんだ。しかし、僕は悲しいなんて思わないし人生に悔いはない。やりたいことは全てやったという訳ではなく、現在の人類が滅亡することさえ優しい世界に向かうまでの過程だと分かっているからだ。 今回の人類は優しい世界を作る手前までいったんだ。地球環境を破壊しないために経済活動をやめた。しかしその判断が少し遅かっ
科学技術がどれだけ発達しても、地球の環境破壊だけは止められなかった。それどころか、自分たちが破壊した地球を捨てて、火星に移住しようとしていた。 人間の欲はどうしても経済活動を優先してしまい、地球が住めない状態になりつつあるのに気が付くことができなかったんだ。科学者たちは気が付いていたかもしれないが、経済活動優先の社会では利益の少ない研究はなかったことにされてしまう。かつてニコラ・テスラが発明したフリーエネルギーが消されてしまったように。 自分が生きている間に人類が滅亡しなけれ
核戦争の影響か、地球温暖化の影響かわからないけれど、海で魚が捕れなくなったようだ。まだ僕たちの住む場所では川魚はとれているけど、この先どうなるか分からない。 山の上で住んでいるからまだ涼しいけど、平地に行ったら暑くて過ごせないかもしれない。地球温暖化の影響で2100年には暑くて住めない場所がでてくると聞いたことがあるけど、その中にここが入っていたのかは分からない。 魚が捕れないのが海流の影響だとすれば、地球の温暖化は最終段階に入っただろう。海流が止まり海水温が上昇すると、海水
確かな情報ではないけど、外国で核戦争が起こり汚染で住める場所はほぼないらしい。そのうち日本にも影響があるかもしれない。僕たちの生活みたいに助け合えれば争いは起きないというのに、人間というのは欲により奪い合ってしまうんだ。 僕たちだけが平和で優しい世界を作っても、世界では戦争だらけでは地球は変わらないだろう。もし、戦争で強い国だけが生き残り、UFOが作れるくらい科学技術が進んだら、今度は他の星と宇宙戦争をするだろう。 争いのために科学技術を使うのではなく、地球を守るために使うよ
災害により会社も学校もなくなった。働くこともないし勉強することもない。災害後に生まれた子供たちは、テレビもラジオもないから簡単な言葉しか話せない。文字を書くこともない。しかし共感性が高く、声に出さなくても言いたいことが分かるようだ。いわゆるテレパシーというやつだろう。 そして、物のない時代に生まれたから、物欲がない。本もないしおもちゃもないから欲しいとも思わない。また、共感性が高いから地球のこと。。生き物としてみているようだ。まるでおじいさんと話しているかのように、地球に感謝