今年行った漫画とアニメの展覧会
僕の中で好きな漫画を挙げるとするなら欠かせない、「乙嫁語り」。
そして、2022年の漫画の代表作といえば「ゴールデンカムイ」、その影響力はものすごかった。
最後、今年僕が「沼に落ちてよろこんでハマリはじめた」アニメ界の名作「ガールズアンドパンツァー」。
以上の展覧会の記録を残します。
乙嫁語り展
3月10日、武蔵野線東所沢駅を降り、ところざわサクラタウン。角川武蔵野ミュージアムのとなりにあるジャパンパビリオンホールにて、大乙嫁語り展が開催してました。
かねてより大ファンであり、作画がもはや芸術作品だと思っているため、この原画展は絶対見に行こうと思ってました。
中央アジアの歴史の教科書でもある、乙嫁語り。
シルクロード周辺のアジア(ウズベクスタンなど)の「結婚」を通じて、様々な人々の人生や、民族の文化、背景などを描いていく名作です。
それは、私たち日本人にとり新鮮であり、共通しており。
全キャラ愛おしく、感情移入しやすいです。
作者の森薫先生は、外務省のHPにて中東の民族紹介も描いています。
魅力はこの、緻密な書き込み。こんな柄のスクリーントーンなんてありません。すべて森先生の書き込みです。これぞ、芸術作品…。
最近はYouTubeでも、森先生の作画動画を見ることもできますが…
まさに彫刻刀で1つ1つを刻むかのように、ていねいに線を入れていきますが、めっちゃ速いっ!!
何気ない風景に、ものすごい作画カロリー。
下の画像は、僕がこの作品を紹介するときに以前も使ったものですが、子供が家の壁や柱などの家具をつくる木彫師の仕事を無言で見ているだけのシーンです。ただの木に多様な模様が刻まれていく経過に魅入っています。
そして同時に。森先生が描いていくこの「木を彫っていく絵」の質感に、コマを目で追いながらページをめくりながら、この少年とともに読者が魅入ってしまうのです。
10巻の表紙絵も展示されてました。
月刊誌の「ハルタ」から「青騎士」に移籍。1年に1回くらいのペースでコミックが刊行されますが、コミックは高級感があり、そしてこの表紙絵ですから、普通のコミックと比べ重量感があります。
手に持つだけで、宝物をゲットしたぜ!という幸福感というか。
漫画の設計図であるネームが見れるのが原画展の魅力です。
ただ絵が緻密だけじゃなく、表情芝居もグッとくる。
物語、構図、心情描写、キャラ、いろんな点で最高な作品だと思います。
下の絵。どんな気持ちでアミルはカルルクを見ているのか、その心情を読者は言葉にします。で、いろんな言葉をめぐらせて、この顔をまた見て感動するのです。
羊、馬、鷹、キツネ、鹿、いろんな動物や小道具、布に装飾品に、とにかく描写がすごい作品。森先生はいろんなところでフェチズムを感じる(たとえば、各巻末にある森先生のエッセイ的な日常談話漫画にもありましたが、森先生はイギリスのダンスのdvdとかで足の運びを延々と見て「尊い…」と思える感性)人で。
あと、この作品の発表前からこれらアジアの人々の布の刺繍や装飾品を美術館などで見ては絵に描くのが好きだったようで。
これらの情念を全面にこの作品にぶつけているようです。
「エマ」「シャーリー」などのメイドを描いた作品も代表作ですが、多作というわけでなく、1つ1つの作品に込めていくものが強いというか。
いろんな漫画家がいますが、天性の人だと思っています。
ゴールデンカムイ展
6月16日、東京ドームシティにてゴールデンカムイ展に行ってきました。
話題作となりアニメも現在4期をむかえています。人々のアイヌ文化への関心を高め、関係あるかどうかはわからないけど国政も動いてアイヌ新法も成立しましたが、今年有終の美を飾り、近いうちに実写映画化の予定も。
多くの人が行列をつくり1時間以上待つことに。
展示物は、絵と解説と、資料なのか復元したかの、作中にある道具も展示されており。リアリティあふれ、作品の世界に没入できるしかけ。
まるで、アイヌ文化の博物館にも行ったかのよう。
紛うことなき日本漫画史上の名作の1つですから、いたるところの演出やしかけにビックリします。
樺太編の展示。個人的に、樺太の歴史や地理を学べる展示に、歴史好きとしてもテンションあがる、勉強になる。
ガールズアンドパンツァー展
以前の聖地巡礼記事にも書いたが、もともとガールズアンドパンツァー(以下「ガルパン」)にはさほど興味なく、聖地巡礼の代表的なテストケースである茨城県大洗町の様子を探りに行ったくらいだった。
やがて1通り履修してみて、意外にも戦車でのバトルがリアルに描かれており、けっこうおもしろいと思った。
だが、それくらいで熱狂的ファンてわけでもなく。
しかし、現在映画でシリーズ化している「最終章」。ここでのBC自由学園戦でなぜか僕は沼にハマった。もう自ら、いわゆる「ガルパンおじさん」となるのによろこびを覚えた。「ボカージュで戦車戦していいのかよっ!!」
そんなガルパン、2012年(東日本大震災から1年後、被災地の大洗にも大きな経済効果をもたらした)から10周年。
ガルパンをむさぼってきた僕は、当日にガルパン展(10周年記念は何らかあることは予め聞いていたが)が池袋に開催されていることを知り、当日に休みがとれるのを知り、たまたま池袋近くにいることを知り。
そして、もうすぐ10周年が終わる12月の終わりであるのを知り。
神が与えしタイミングだと、急ぎかけつけた。
池袋のサンシャイン。もとは太平洋戦争の政治家・東条英機などを東京裁判で捕らえ、収容し処刑した巣鴨プリズンのあと。脇にある池袋中央公園にそのあとをわずかに感じることができます。
さあ、突入! パンツァー・フォー!
女子高生たちが華道や茶道や「戦車道」で道を究めていくという架空の設定。荒唐無稽さがアニメや漫画の醍醐味、いや意外と戦車戦は迫力や謀略や頭脳戦を描いている。製作者側の戦車への造詣の豊かさよ。
ガルパンはいいぞ!!
撮影不可能はアニメの原画の展示。原画が描いたものに作監(作画監督)修正が入ったものも展示。
このようなパネルはok。戦車のパネルはハリボテ感はあれど、実際の大きさに接すると迫力があります。
僕が感動したのは、ガルパンによるアニメ制作の展示。
巨匠・水島努さんの頭のイメージ「絵コンテ」、その「1場面」をラフ原が数枚の絵に変えていく。そして原画の清書の第二原画(二原)。
その後の動画では、ちゃんとした動きを足していく。そのため、たった4秒の場面(みほが頷き首元の声帯マイクを触る)だが、枚数が25カット。
そして仕上げがパソコンで色付けて、撮影(動画にする)へ。
ここが一番勉強になった。気づけばこの1角で20~30分くらい見学。