日本語の指示代名詞はツングース系である
ツングース系言語には多種あるが、ここでは満州語で考える。
満州語で、「これ」という近称はereという。
二人称はsiという。
si +ereで東日本語の中称の「それ」が派生したのではないか。
また、満州語の三人称はi という。
i +ereで日本語の遠称の「あれ」が派生したのではないか。
あれ、これという日本語は東日本言語のようであり、西日本では「れ」がつかなかったかもしれない。
この観点からは東日本言語の方がツングース系の性質をもっているようにみえる。
朝鮮語では一人称の謙った言い方が저であり、これは遠称でもある。日本語の自分を謙って称するときの「それがし」の「ソ」に近いかもしれない。また朝鮮語の一人称の나がbi ,miというツングース系とどれほどの言語距離があるのかは判断が難しい。
満州語の一人称単数(自分をさすことば)はbiであり他のツングース系も大体biという。ナーナイ語ではmiである。日本語の「身」をミというのは、元は一人称単数だったのかもしれない。「自ら」というのもその名残かもしれない。
満州語のutという接辞は「このような」という現状の有り様をさすが、これと東日本語の自分をさすオレ、オノレ、オノ、或いは西日本語の一人称の「ウチ」が繋がるのか興味深い。
朝鮮語の어は疑問調のようである。西日本の「いずれ」の「イwi」と満州語の疑問調のai,we,yaなどがどう関連するのかも興味深い。