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光とモノクロ
SIGMA dp2merrillに貰い物のNikonのストロボを取り付けてのFoveonスナップ。
Foveonセンサー特有のカリカリな描写に、強烈な光で浮かび上がらせた『平坦な世界』を乱暴に撮影する。
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強すぎる光とカメラの機構の組み合わせで撮られた一瞬の景色は、人間には見えそうで見えない世界だ。
日々写真を撮っていると、ふとこうした人間の目では見えない写真特有の景色というのを無理矢理撮影したくなる。
衝動的に欲するこのお遊戯の時間は、実験的でいて表現方法の模索、そう、慣れへの抵抗である。
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慣れは(一部の人間の)精神を蝕む。
社会は人間を慣れに慣れるよう矯正し、そして一部の人間はそれに反発し続ける。
この無限に続く不毛な争いは、結局個人の敗北に終わるのだが、それでも抵抗の証は欲しいものである。
僕が世界を撮るのはこうした反抗期の痛い思い出作りでもあるということは言うまでもない。
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国や法律や家族や会社・・・いろんな柵というフィルターを通した滅菌された世界に生きることはたしかに安全で豊かではあるが、そこに自分が存在する意味はあるのかとふと思ってしまう。
そのふとした瞬間にどう過ごすのかが、その人らしさであると思うのだ。
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このストロボで平坦化した世界を白黒で切り取った写真たちは、そのふとした瞬間の一瞬間の世界のアリバイである。
その瞬間、たしかに僕の目の前にこの景色があったわけで、その瞬間を生きた僕の指はたしかにシャッターボタンを押していたのである。
カラーVer.
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