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余裕のはずがギリギリに:パーキンソンの法則で読み解く時間管理

今回は、プロジェクトマネジメントにおいて非常に重要な概念である「パーキンソンの法則」について掘り下げてみたいと思います。この法則を理解し、適切に対処することで、プロジェクトの効率を向上させることができます。



プロジェクトの進行中に、こんな経験をしたことはありませんか?

  • 「このタスクは余裕を見て1週間に設定したのに、結局ギリギリまで作業してしまった」

  • 「会議を1時間で設定したら、特に必要もないのに1時間を丸々使ってしまった」

これらの現象、実は多くのプロジェクトで見られる「パーキンソンの法則」が原因かもしれません。


パーキンソンの法則とは?

イギリスの歴史学者シリル・ノースコート・パーキンソンが1957年に提唱した「パーキンソンの法則(Parkinson’s Law)」。
「仕事の量は、与えられた時間を全て使い切るまで膨張する」
これは、特に私たちの日常や職場で頻繁に目にする現象です。時間が十分に与えられると、無意識のうちにその時間を使い切るように行動してしまうことを意味します。

シリル・ノースコット・パーキンソン氏

具体例:会議の時間管理

たとえば、会議を考えてみましょう。1時間の会議を設定した場合、たとえ30分で終わる内容であっても、脱線や繰り返し議論が続き、最終的に1時間全てが使われてしまうことがあります。これこそがパーキンソンの法則が現れる瞬間です。


プロジェクトマネジメントへの影響

パーキンソンの法則がプロジェクトに与える具体的な影響を見ていきましょう。

1. リソースの無駄遣い
タスクに必要以上の時間が割り当てられることで、以下のような問題が発生します:

  • 人的リソースの浪費:チームメンバーが余計な作業に時間を費やし、本来の重要な業務が遅れる。

  • コストの増加:無駄な時間の消費がプロジェクト予算に影響を及ぼす。


2. プロジェクト全体の遅延

  • クリティカルパス/クリティカルチェーンの延長:重要なタスクの遅れが、プロジェクト全体のスケジュールに波及する。

  • バッファーの消失:リスク対応のための余裕時間が失われ、突発的な問題に対処できなくなる。


3. チームのモチベーション低下

  • 無駄な作業感の増加:チームメンバーが「やらなくてもいい作業」に時間を費やしていると感じる。

  • 緊張感の欠如:余裕があると感じることで、生産性が低下する。


4. 意思決定の遅延

  • 迅速な決断の阻害:議論が長引くことで、重要な意思決定が先送りされる。

  • 同じ議題の再議論:時間を使い切ろうとする心理で、不要な再議論が発生する。


5. クオリティの過剰追求(過剰品質)

  • 必要以上の改善:タスク完了後に余計な手直しを加え、スケジュールが遅れる。

  • リリースの遅れ:品質向上を求めるあまり、成果物の納品が遅れる。


パーキンソンの法則に対処する方法

これらの影響を軽減するには、次のような具体的なアプローチが考えられます:

  1. 効率的な時間管理
    時間を有効に使うために、具体的な時間割やスケジュールを作成しましょう。タスクごとに時間制限を設けることで、ダラダラと時間を浪費することを防ぎます。

  2. 会議の時間を短縮
    会議の時間をあらかじめ短く設定し、議題に集中することで効率を上げましょう。例えば、30分の会議を設定し、重要なポイントに絞った議論を行います。

  3. タスクの優先順位をつける
    重要なタスクから優先的に取り組むことで、時間を有効に使えます。優先順位をつけることで、重要な業務に集中しやすくなります。

  4. デッドラインの設定
    明確なデッドラインを設定することで、タスクの完了を促進し、効率的に仕事を進めることができます。デッドラインは、タスクが膨張しないようにするための有効な手段です。

  5. 早期完了の報告を推進:
    タスクが予定よりも早く完了した場合、すぐに報告する仕組みを導入しましょう。これにより、次のタスクやプロセスが早めに開始でき、全体のスケジュールを最適化することができます。また、リソースを効率的に再配分できるため、プロジェクト全体の生産性向上につながります。(以前の記事を参照してください

皆さんはどうやって対処しますか?パーキンソンの法則の存在に気づいて、仕事の進め方を改善したエピソード、または、自分ならこうするというアイディアがあれば、ぜひコメント欄で教えてください。


まとめ

パーキンソンの法則は、一見ネガティブに思えるかもしれませんが、その性質を理解し、活用することでプロジェクトの生産性を大きく向上させるチャンスにもなります。
プロジェクトマネージャーとして、時間の使い方を意識的にコントロールし、タスクや会議を効率的に進めていきましょう。
「仕事は与えられた時間を使い切る」という法則を逆手に取り、締め切りや時間配分を活用することで、より充実したプロジェクト運営が可能になるはずです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。次回もお楽しみに!

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