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国語便覧から未読の小説家を探してみる。

※※ヘッド画像は 稲垣純也 さまより

 未読の作家・未読の小説を探すには国語便覧が頼りになる。未知の作家、特に日本文学の作家を沢山紹介してくれるからだ。便覧に載っている小説家の中で、あまり読んだことのない作家を列挙してみたい。全く読んだことはないか、せいぜい一作しか読んでいない作家の一覧である。

島木健作/伊藤整/葛西善三/久保田万次郎/宇野浩二/大佛次郎
丹羽文雄/田宮虎彦/林京子/清岡卓行/山川方夫/黒井千次
阿部昭/石川達三/火野葦平/高見順/椎名麟三/武田泰淳
野間宏/小島信夫/島尾敏雄/中村真一郎/堀田善衛/庄野潤三
辻邦生/河野多恵子/小川国夫/加賀乙彦/日野啓三/大庭みな子
有吉佐和子/石原慎太郎/倉橋由美子

 未読の作家はまだ挙げられる。が、一旦止めておく。記事が長くなるからだ。それこそ、このリストの一行分も語り尽せない程度には。

1.島木健作

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 島木健作を含め、プロレタリア文学・転向文学の作家の小説はあまり読んでこなかった。特に転向文学(マルクス主義から思想を変えた作家の文学)に関しては、徳永直と中野重治を読んだ程度だ。それ位には、プロレタリア文学・転向文学が地味に見える。
 そもそも、私が読んできたプロレタリア文学・転向文学はどの程度あるのだろう? パッと思いついたものを挙げてみた。

小林多喜二『蟹工船』『党生活者』/徳永直『太陽のない街』
中野重治『村の家』『歌のわかれ』/葉山嘉樹『セメント樽の中の手紙』

……両手で数えきれてしまう。こんにちでは、労働者文学を読んでいく意義が薄れてしまったためであろうか。とはいえ、先人が遺した財産である。読み継いでいくべき作品群なのであろう。

2.伊藤整

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 伊藤整も実は読んでいない。翻訳の『チャタレイ夫人の恋人』含め。ただ噂を聞く限り、文芸評論の方が面白そうだと感じる。とはいえ『日本文壇史』を読んでいく気力は無い。『失われた時を求めて』よりも長いシリーズを読んでいける気がしないためである。
 伊藤整の著作を読んだことはないが、川端康成がノーベル文学賞を獲った直後の鼎談映像は観たことがある。メンバーは川端康成、伊藤整、三島由紀夫の3人。日本人では初めて、アジア人ではタゴール(インド人)に次いでの受賞であったことが触れられていた。また、川端は足利義久のことを書くつもりであったらしい。3人のその後を思うと、どうにもあの映像に遺る陰影が色濃く見える。

3.葛西善三

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 葛西善三も未読の作家である。この他に、牧野信一や島田清次郎も読んでいない。破滅型の小説家と言えば、やはり太宰治が浮かぶ。そのせいか、葛西善三や牧野信一、島田清次郎の影が相対的に薄くなる。3人とも青空文庫に収録されているので、読みたいときにいつでも読めるのが救いか。
 だが旧人類たる私は、紙媒体で小説を楽しみたくなってしまう。そうすると、どうしても岩波文庫や講談社文芸文庫で代表作を手に入れるほかない。これが悩ましいところだ。

4.久保田万次郎

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 久保田万次郎は戯曲で有名らしい。日本文学における近代劇の作家もやはり知らない。それが私の情けなさである。三島由紀夫と親交のあった劇作家がパッと出てこない、というのは特に。小説家の書いた戯曲は読んでも、劇作家の書いた戯曲は読んでいない。そういう風に読んでいくというのはバランスを欠いている気がして、よろしくない。

ひとまず休憩

 記事が長くなりそうだ。ここで休憩。ともあれ日本の作家を探すのに、国語便覧ほど適しているものはない。続編はネタに困ったときに出すことになるだろう。

 さて、学生時代に使っていた国語便覧を再び開いてみるのも趣深いが、現在の高校生が用いているような便覧を書店で買ってみるのも面白い。現代の作家も載っている分、新鮮に感じられるからだ。

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画像は全てwikipedia commonsより。
1)島木健作
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Kensaku_Shimaki_1940.jpg
2)伊藤整
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Ito_Sei.JPG
3)葛西善三
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Kasai_Zenzo.jpg
4)久保田万次郎
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Kubota_Mantaro.JPG

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