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当たり前なんて無い!

※この記事は僕たち夫婦が経験した流産について記録したものです。不快に思われる方は閉じていただくことをおすすめします。
※この辛い経験もその時の感情も自分らの言葉で残したいと夫婦で話し合った末に、ここに残すことを決めました。長くなるので複数回に分けて投稿しています。


続いていた出血も
その量を減らし
やっぱりこれは生理だったのか?
生理にしては長かった気がするな。

受診予定日よりも
かなり前倒しで病院へ行くことに。
その前夜でした。

なぜか強烈にカキフライを食べたがっていた
コモちゃん(嫁。仮名。)をなだめて
床に就く僕たち。

日頃の育児、そして今年の大雪による除雪に
疲れ切っていた僕らは、
P子(娘、11ヶ月)が目を覚ます事以外で
夜中に起きる事はまずなかった。

この日、一人別室で寝かせてもらっていた僕は
夜中に目を覚まします。
ほどなくして、別室でP子と寝ていたコモちゃんが
僕が寝ている寝室へ来ます。

「え?!起きてるの?」
お互いに驚いて、こんなこともあるんだねと。
午前3時から色んな話をした。
気が付けば外は薄っすら明るくなり、
話し始めてから
2時間も経過していたことに気が付き、
短時間だけど、改めて眠ることに。


朝、意外とシャキッと起き、いよいよ受診です。

車内の空気は重苦しいということはなく
「心拍が確認できたらいいな~。」
という期待を持ちつつも覚悟はできていました。

病院に着くと、コモちゃんだけを下ろし
いつも通りであれば車の中で待つのだが
僕は気を紛らわすように
ハンバーガーのドライブスルーへ。

そうこうする内にコモちゃんからLINEが入る。

「出てってた。」

分かりずらい表現をするもんだ。
でも、その事実を突きつけられた直後に
「流産」という言葉を使うには
酷だったのだと思っている。

急いで病院へ戻る僕。

エコー中の先生のお話を、
毎回許可を取って動画に残してくれるコモちゃん。
「前回の倍くらいに成長してるよ。」
「ここが赤ちゃんを守る袋。」
「この辺りから手や足が出てきてね。」等という、
幸せいっぱいのお話を普段はしてくださる。

しかし今回の動画では、先生は冒頭から
「話を聞くと、あまりいい感じじゃないね。」で始まり
「でも、(エコーで)診てみようね。」
「うーん、こないだあった袋が見えなくなっているね。」と続けた。


コモちゃんが単刀直入に問う。
「流れちゃったってことでしょうか。」
このタイミングで自分から聞けるコモちゃんは本当に強い。

「そうですねぇ。この場合は流産ということになります。そして…」
先生が優しい言葉を使いながら流産の説明を続ける。
時間にすると3分30秒程の動画を見終わるころ駐車場で待つ僕にコモちゃんからLINEが入る。

「窓見てみて、正面の窓」

そこには病院の待合室から手を振って、おどけるコモちゃんがいた。

その健気さに僕は思わず笑ってしまう。
悲しみに暮れ、かける言葉を考えていた僕は少し安心した。
というより、助けられた気がしました。


ほどなくして、別な検査を終えて車に戻ってきたコモちゃん。
ママの姿を見て泣き出すP子。
「頑張ったねぇ。」
確か、これくらいの言葉しか
かけられなかった僕に対し
「大丈夫。覚悟は出来てたから。それでね、」
と今回の受診で終わりなのではなく、
今後の身体の経過を確認しに来る日程などを
スラスラと説明してくれるコモちゃん。

お互い、覚悟は出来てたとはいえ、
心配でいっぱいの日々を過ごしていた。
診断を受けて、そのことを自覚した僕たちは、
唯一、カキフライフェアをやっていた定食屋さんに向かい、
昼から腹いっぱい食べるのでした。

「流産」という診断。
とっても残念だった。

それでも、妊娠が分かった時はすごい嬉しかったし、幸せだった。
数週間でも色んな夢を見せてくれたお腹の子には感謝したいし、
この一件で感じた事や考えた事、調べた知識は今後の財産となり、
自分たちも大きく成長できたと実感している。

そして、今日も騒ぎ散らすP子がそこにいてくれることへの尊さも身に染みて感じたのでした。

当たり前なんて無い!

追伸
コモちゃんが病院から車へ戻ってきた時に大泣きしたP子。
あれは、流産という診断に対して悲しくて泣いていたのかな?
それとも、頑張ったママに同調して泣いていたのかな?
いつも通り、ママが帰ってきて嬉しくて泣いてただけか。笑

前夜、夜中に夫婦で同じタイミングに目が覚めた事。
これはお腹の子が「ありがとう」を伝えに来たのではないか?

そんな事をコモちゃんの友人が言うもんだから、喉の奥が熱くなるのでした。

流産の記録 終


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