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終末の麻雀譚17

荒廃した世界で麻雀と出会った少年少女。
麻雀は希望の光となれるか───

第20話

3回戦についにトップを取ることができたムサシ。

役満もアガった勢いでこれからポイントを積み重ねる…かと思われたがそううまくはいかなかった。

4回戦はトムがトップ。
2着コジロー。3着にシェリー。

ムサシはまたしてもノーホーラのラスとなった。

トムとシェリーはムサシに対して掛ける言葉を探していた。

コジロー「もしかしたら大三元しかアガれないかもしんないから、狙い続ければいいんじゃね?」

コジローはこれでフォローのつもりだ。

トム「まぁまだあと6回あるから、うん、まだまだわかんないよ。」

現状はこうだった。
トム  8点
シェリー  7点
コジロー  6点
ムサシ  3点

「え?いや、もちろん諦めてないさ。はは。」
ムサシが乾いた笑いを浮かべた。

そして続く5回戦。

トムが鳴いて2000点をあがった時だった。

トム「ムサシちょっと手牌見せて。」

そう言ってムサシの手牌をパタパタと開いた。

ムサシの手牌はタンヤオ三色ドラ3の一向聴だった。

トム「これさ、なんでこの牌とかこの牌鳴いてないの?」

上家のシェリーの捨て牌を指差した。

ムサシ「え、いや、倍満アガれればさすがにトップになれるし…」

トム「この手はここのカンチャンを引いてリーチして、高めをツモって倍満でしょ!?せっかく欲しい牌が姉さんから出てるんだから、鳴くべきだよ!満貫で充分じゃない!しかも僕がもう鳴いてテンパイしてるんだから、そりゃあそんなんじゃアガれないよ!」

2000点をアガったトムが怒っている。

コジロー「トムお前さ、鳴こうがどうしようがそれは自由だろ?しかもお前はアガれてるんだし。文句言うの違くね?」

トム「コジローだったらどうする?」

コジロー「俺は鳴かねぇよ。ツモは気合いでなんとかなるからな。」

トム「そうだね。コジローに聞いたのが間違いだったし、コジローはそれで良いさ。」

トムがムサシの方を真っ直ぐに見た。

トム「でもムサシのバランスは違うでしょ?ましてやトータルポイントでも差がついてるんだから。もっと集中して、その局でどうするのが一番良いのか見極めてよ!」

そう言ってトムは立ち上がった。

立ち上がっただけだが。

シェリー「トムは普段のムサシを認めてるから、ちゃんと全力のムサシと戦って勝ちたいのね。」

ムサシは自分の手牌に目を落とした。

「確かに…。トムの言うとおりだ。せっかくのドラ3の手牌を、倍満狙ってムダにするなんてどうかしてた。考えてみたら前の回も似たようなことしてた気がする…。役満アガったせいで、高い手にしか魅力を感じなくなってたみたいだ。」

コジロー「いやぁ良いんじゃない?高い手は決め手になるよぉ?」

そう言ったコジローのセリフは無視された。

ムサシ「よし!仕切り直しだ!まだあと6回あるからな!トータルのことは一旦忘れて、その局どうすれば一番良いかを考えるぜ!」

トム「うん!」

結局その半荘はそのままトムがトップ。

ムサシは一回アガって3着だった。

「まだまだこれから!」

3着で1点しか取れなかったムサシだが、ふっ切れたように表情は晴れやかだった。

その日はその後2回打って解散。
次の日に3回打って第1回目のポイント戦が終わった。

ムサシ「優勝はトム!!!」

パチパチパチパチ…

ムサシ「悔しいが安定した成績で強かったよ。」

トム「でもムサシの後半の追い上げがすごかったから、次はあぶないよ。」


最終的な成績はこうだった。
トム
2231134222  計18点
ムサシ
4414321311  計16点
シェリー
3123213434  計14点
コジロー
1342442143  計12点


コジロー「すぐ第2回を始めようぜ!」

シェリー「そう言えばあんた、30点取るとか言ってなかった?半分も取れてないけど。」

コジロー「うるせー!キエー女!次は取る!20点は取る!」

シェリー「なによ!キエー女って!しかも20点って控えめに言ってるけど、それって平均2着だってことわかってんの!?」

トム「あのさ!その順位点の話だけど、今度から+3,+1,△1,△3にしない?第1回をやってる時に思ったんだけど。」

ムサシ「なんでだ?そんなに意味があるとは思えないけど。今のままの方が分かりやすいんじゃないか?」

トム「プラスマイナスの方が合計が合ってるか分かりやすいし、実は同点の時に順位点を一緒にすることが出来るんだ。やっぱりじゃんけんなんかで決めたくないでしょ?」

実は第1回では3回もじゃんけん決着があった。
それもそのはず、一飜1000点でやってるから持ち点は一緒になりやすいのだ。

ムサシは計算してみた。

ムサシ「なるほど。もし1位と2位が同点だったら2点ずつってわけだ。123位が一緒だったら1点ずつか。よく出来てる。」

トム「3位と4位が一緒の時もそうだね。△2ずつ。」

ムサシ「よし。じゃあそれでいこう!第2回は…明日だな!」

コジロー「ええ!!?まだ明るいから始めようぜー!」

ムサシ「こういうのは仕切り直しがいいでしょうよ。今日は練習試合だな!」

コジロー「まぁいいか!久しぶりに気楽に打てるしな!」

シェリー「あんたあれでも真剣だったのね…。」


明らかに成長している4人。

明日からはまた激しい戦いが繰り広げられることだろう…。

〈次回予告!〉
モーさん登場!?
予定よりも早く戻ってきたその理由とは!?
そしてサンシティーへの切符は誰の手に!?

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