朝食でよく食べていた「アイツ」に再会した【モーニングサーブ】
過去の朝食の記憶
皆さんはどんな朝食を食べていらっしゃるだろうか。
ご飯?パン?麺類?
私はご飯派であり、目玉焼きとソーセージ・ウインナーがいつものメニューだ。
しかし、このメニュー。いつも同じだと飽きが来る。
特にソーセージ・ウインナー。
ソーセージ・ウインナー枠は「パリッと朝食ウインナー」で固定。比較的に他の商品よりも安く、量が多い(ような気がする)のでいつも購入している。
しかし、毎日毎日だと、これ以外の商品にもチャレンジしたい。と思うことがある。
一度、趣向を変えてシャウエッセンを起用したこともあった。ソーセージ・
ウインナー界の大御所だ。
ただ、朝食から高級品を食すなんて贅沢極まりないぞ!と頭の中の野党と財務省が騒ぎまくって、正規の起用には至らなかった。
他にも色んな商品を試してみたが、これだ!というものがない。
どうしたものかと考えていると、ふと中学生頃の記憶を思い出した。
中学生頃までにあった「アイツ」
中学生の頃も今と同じように目玉焼きにソーセージ・ウインナーが中心の朝食だった。
しかし、時たまソーセージ・ウインナー枠に違う商品が入り込んだことがあった。
その商品は肉類で棒状でソーセージともウインナーとも言えない、ハンバーグのような感じもするという中間の食べ物。
そんな食べ物を最近になって、ふと思い出したのだ。
そういえば、そんなものもあったねと、ならそれを買いに行こうじゃないかと思ったが、商品名を思い出せない。
中学生から仕事に忙殺される毎日を送るつまらない社会人になってしまった自分はすっかり食べ盛りの中学生を演じていた当時にあった「アイツ」の商品名を忘れてしまった。
あの食べ物は一体なんだったのか。
あの商品名は一体何なのか。
モヤモヤした状態が続いた。
スーパーマーケットでの邂逅
思い出せずに、モヤモヤしていることすら忘れてしまった7月下旬。
平日の夜にスーパーへ買い出しに出ていた。
昼間の暑さを吸い込んだコンクリートは夜になると暑さを吐き出していて、逃げるように店の中へ入った。
涼しい店内を野菜、魚、肉、惣菜とそれぞれのコーナーを回っていった。そして、加工食品コーナーに差し掛かった。
いつもの「パリッと朝食ウインナー」を手に持ち、カゴに入れようかという時に、ふと隣にある商品に目が行った。
商品名は「グリルブラウン」。
見たことがない商品だ。
パウチされていて、商品の写真には「ジョンソンヴィル」と印字されている。
私は気になって手に持った。そして、その中身を見て、衝撃を受けた。
そう。私がモヤモヤしていた、肉類で棒状で、肉類で棒状でソーセージともウインナーとも言えない、ハンバーグのような感じもするという中間の食べ物が12本パウチされていたのだ。
メーカーはジョンソンヴィル。
全米ナンバーワンソーセージを謳い文句とするこのメーカーが製造していたとは・・・。
「お前だよな」
私はグリルブラウンに言った。
「あの時の、肉類で棒状で、ソーセージなのかハンバーグなのかわからないあれ。お前だよな」
小さく微笑んだ。思わぬ再会に顔が綻ぶ。
しかし、グリルブラウンは無言のままに、冷え切ったスーパーの中を行き交う人の流れだけを見つめている。
「今までどこに行ってたんだよ。みんな、心配してたんだぜ」
過去のことは詮索されたくはないのだろう。まだ、グリルブラウンは閉口する。
「まあ、人生いろいろあるよな。お前にも大変なこと、あったんだな」
私は再会したことを喜ぶためにも、これ以上の詮索をすることをやめた。
「なあ、近くに住んでるんだけど遊びに来ないか?」
グリルブラウンはそれにも応えることはなかった。しかし、私はグリルブラウンを手に取ってカゴに入れた。
黒いパッケージ、12本入り。商品は大切そうにパウチされている。
私はグリルブラウンと過去の話で夜を過ごせると思うと、足が軽くなったような気がした。
「アイツ」じゃない
グリルブラウンのパウチをゆっくりと剥がしていく。外の空気に触れないようにと密着されている。
優しくグリルブラウンを一本一本、丁寧に取り出す。
折角の再会だ。電子レンジ調理可能ではあったが、フライパンでじっくりと温めることにした。
白皿に乗せたグリルブラウンは眩しかった。当時は何とも思わなかったが、豚ひき肉100%の姿、肉肉しい姿を直視しづらい。
意を決して、グリルブラウンに箸で持ち上げ、口に含んだ。
口の中に香辛料と肉汁が広がった。そして、食べ応えを感じる。
なんて、上品。率直に思った。中学生の頃に食べていた時と全く違う。
今日再開するまでに成長をしていたんだ。
成長した姿を見て、食べて、私自身との差を痛感した。
私はすり減っていく体力と仕事に対する集中力の無さを感じている。
それに比べて、グリルブラウンは美味しい商品のままだったのだ。
グリルブラウンとの楽しい時間を終えて、私はベッドに逃げ込んだ。
次の週、グリルブラウンと再会を果たしたスーパーマーケットへ向かった。
いつものように、商品をカゴに入れていく。そして、加工食品コーナーへ。
この日、グリルブラウンの姿はなかった。売り切れだった。
寂しさを仄かに感じながら、また会うことがあったら、アイツに成長したなと思われるような人間にならなくては。と心に誓い、その場を離れようとした。
その時、背中に視線を感じ、振り返った。
視線の先を辿れば、北海道日本ハムファイターズの新庄剛志監督がフライパンを片手に持ち、赤いジャケットを着て、笑顔をこちらに向けていた。
笑顔に吸い寄せられ、近づいていく。
その笑顔がプリントされている袋には「モーニングサーブ」と書かれていた。近くには「新商品!」とポップが付けられている。
私は「モーニングサーブ」を手に取った。
中身を見て、驚愕した。
グリルブラウンと似た、肉類で棒状で、肉類で棒状でソーセージともウインナーとも言えない、ハンバーグのようなものが袋の中に入っていた。
つまり私が食べていたものって…?
私が中学生の頃に食べていたものは、ジョンソンヴィルの「グリルブラウン」ではなく、日本ハムの「モーニングサーブ」だった。
なぜ、そう思ったのかという理由に値段が挙げられる。
グリルブラウンは570円に対して、モーニングサーブは270円と半額近い値段で発売されていた。
そんな高級品に該当するグリルブラウンを当時の母が出すわけがない。というか、出してくれるわけがない。というのが私の考えである。
つまり、「グリルブラウン」は当時食べていたものだ!と感動していたのは勘違いだった、ということになる。
しかし、モーニングサーブと似たような商品があるなんて初めて知った。
調べると「グリルブラウン」と「モーニングサーブ」の料理名は、「ポークリンクス」「ソーセージリンクス」と呼ばれるものである。皮無しソーセージの1種らしい。
コストコでも同様の商品が発売されているらしい。
二つの違い、そして思わぬ共通点
折角なのでグリルブラウンとモーニングサーブの違いを並べてみよう。
違い
グリルブラウンはモーニングサーブよりも長い。そして、肉感が強く高級感がある。
モーニングサーブはグリルブラウンよりも小ぶりだが、味付けが濃い。
グリルブラウンは100gあたり344kcal
モーニングサーブは100gあたり374kcalとグリルブラウンより少しカロリーが高い。
グリルブラウンは12本入り
モーニングサーブは8本入り
値段はグリルブラウン580円程度
モーニングサーブは270円程度
グリルブラウンのメーカーはジョンソンヴィル・ジャパン
モーニングサーブのメーカーは日本ハム(シャウエッセンのメーカーでもある)
面白い共通点
偶然だと思うが、この2つの商品は「最近になって発売を再開した」という共通点がある。
グリルブラウンは既存商品のミートデリをリニューアルさせたものである。
そのミートデリは発売が中止されていたが、2021年ごろから発売を再開した、という経緯がある。
モーニングサーブは2017年ごろに発売が終了。
その後、新たなジャンルの商品として、2023年初頭から新商品としてスーパーに並び始めた。という経緯がある。
似たような商品が似たような経緯を踏んでいるということは注目すべき点だろう。
ちなみに、モーニングサーブは発売中止前の2004年当時、現役選手だった新庄剛志(当時はSHINJOの選手名登録)をCMに起用していた。
上が現在のCM。下が2004年当時のCM。
また、2004年当時のモーニングサーブは14本入りだった。
消えていったものに出会えたのだから
中学生の時にあったもので、無くなってしまったものは多くある。
マクドナルドのクォーターパウンダーは気づけばメニューから消えて無くなってしまった。
コンビニのサンクスもよく行っていたが、気づけば緑と水色のコンビニに吸収されてしまった。
簡単にモノはなくなり、新たなモノがその上に立つ。
そんな世の中で、モーニングサーブとグリルブラウンの復活は多くの人に支持されてきたことの裏返でもある。
そんな人間に私もなりたいなと、濁流の社会へ飛び込む英気をモーニングサーブで養うのであった。