聞く技術 聞いてもらう技術【キャリアコンサルタントの本棚】#2
【聞く技術 聞いてもらう技術/東畑 開人 】
「聴かれることで、人は変わる。聞くための小手先の技術から、聞いてもらうことに備わる深い力まで、20年近い臨床経験から学んだことをすべて書く。コミュニケーションが変わる、革新的な一冊。」
コミュニケーション、特に「聞く(聴く)力」に関しての書籍を、最近続けざまに、何冊か、読んでいます。本書も、その一冊。
冒頭に、作者からのこんな「問いかけ」がなされています。「「聞く」は声が耳に入ってくることで、「聴く」は声に耳を傾けることー。「聴く」ほうがむずかしそうに見えて、実は「聞く」ほうがむずかしい。」
このフレーズで、一気に本書に興味を持ちました。
その後も章を読み進んで行くと、「なぜ僕らの社会は話を聞けないのだろうか」「聞く側も聞かれる側も孤独なのです」「孤独には安心感が、孤立には不安感がある」といった言葉に出くわし、その度に、ムムムムとなりました。
また、キャリアコンサルタントとして、深く考えされられる一文もありました。「ただね、居酒屋でやっている人生相談とカウンセリングの境界線は根本的にあいまいです。結局のところ「誰かと話をすることで心が楽なる」って人類の基本的機能ですから。それを専門家の専有物として閉じ込めることはできません」
本のタイトルには「技術」とあるものの、ノウハウ本や、スキル本とは、大きく趣きの異なった内容。「聞く・聞かれる」を深く考えるための本と言えましょうか。分かりやすく、平易な言葉で語られ、ちょっとした小話的な話題を取っ掛かりに、現代社会・政治・宗教・心理・病理など、深く・専門的な話題へと繋がっていきます。
「聞く・聞いてもらう」が循環する社会へ、そんな作者のメッセージが込められた一冊でした。
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