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【スポーツ文化論】「メダル期待」報道に踊らされず、冷静に北京五輪を楽しむオトナのテクニック

北京オリンピック始まりました。

これから連日、日本人選手の動向がテレビで流れ、「メダルが期待されます」「メダル獲得を目指します」というフレーズが1000回くらい流れるでしょう。見どころは日本選手の活躍に限らないのですよね、本当は。さらにメダル重視報道もいい加減にしてほしいところです(と、元報道側の人間は思います)。

当たり前ですが出場選手全員が表彰台に上がれるわけではありません。本来、各メディアは競技ごとや選手の力量を把握し、煽ることなくアナウンスすべきなのです。そのために何年も前から莫大な経費かけて取材するわけですから。

でも展望記事は「表彰台独占も」っていうものばかり。見ている私は過度な期待ではなく、オトナの応援をしたいと思うのです。同じ考えを持つアナタに、簡単(とは言い切れませんが💦)なテクニックをお伝えしましょう。

「ガチでメダル」か「入賞万歳」か「参加に意義」か


これを考えることです。というより調べてみるというべきでしょうか。

大半の選手は、聞かれれば「メダル目指します」と言います。アスリートですから高みを目指すのは当然です。
でも本当はそれを聞いたメディアが客観的な視点とあわせて解釈し「本気で狙えるのか」「入賞できればすごい」のか「参加できたことが立派」なのかを報じるべきなのです。そこが弱いところですね。全然ありませんから。

では、今回の五輪に当てはめるとどうなるでしょうか。すべての競技ではありませんけど、思いつくものを挙げてみましょう。

①本気で表彰台を狙える(狙って当然)部門

スキーやスピードスケートは毎シーズン、各国を転戦するワールドカップ(W杯)が行われ、各国代表クラスの選手はほぼ参加します。五輪に出る選手同士の戦いも普通なので、今シーズンのその成績がまずバロメーター。これに前回五輪の成績を加味します(4年前ですから考え方が難しい点はあります)。

スピードスケート女子の高木美保選手、小平奈緒選手は実力、実績十分なのでメダル以外の目標はありえません。連覇がかかる団体追い抜きもそうでしょう。スキージャンプは今季のW杯で6勝を挙げている小林陵侑選手もガチで狙えるところです。スノーボードやモーグルも日本勢は各国の選手を見渡してもトップレベルの選手が多いので、複数メダルを期待したくなるのもわかります。

②入賞あるいは予選突破が目標部門

メディアの注目度の高いアイスホッケー女子「スマイルジャパン」。先日のスウェーデンとの1次リーグ初戦に勝利し「メダルへ前進」と煽ったメディアもあるようですが、今大会最大の目標は「1次リーグ突破」です。
過去の五輪の成績は開催国枠だった1998年長野大会は6チーム中6位。その後は2014年のソチ大会が8チーム中7位、2018年平昌大会が8チーム中6位です。
日本が属する1次リーグB組5チームの中で、日本は世界ランキング最上位の6位。これまでの五輪を通じて初めて初戦を勝利し、目標突破が近づいたということは間違いなさそうです。

ショートトラックでも新種目の混合2000メートルリレーで「メダル獲得を目指す」報道が散見されますが、今季のW杯4試合で表彰台はなし。前回メダルを取ったのは長野大会ですから、頑張ってほしいと冷静に応援しましょう。

ノルディックスキー距離も出場選手の中で、トップクラスでも目標は8位入賞。というか正直、他国とのレベル差がかなり大きいので現実的には厳しい。本当に入賞なら拍手喝采です。

③参加することに意義がある部門

出場権を獲得して参加できたこと自体、価値がある場合もあります。今大会これに該当する競技・種目はないと思いますが(昨年の東京オリンピックの水球など)。選手レベルでは初出場組で、若手ですと、一度五輪を経験して飛躍するというケースは少なくありません。

個人的に注目しているのは……

米国の大手データ会社グレースノート社は、日本のメダルは前回大会を上回る19個と予想。そのうち金メダルは高木美保選手、小林陵侑選手、スキージャンプ女子の高梨沙羅選手だそう。ちなみに日本のメディアでは32個という予想もありました(読売新聞)……。

でもメダルより個人的に注目しているのは、モーグルで使われている国産のスキー板「ID one」。2月4日のテレビ東京「ガイアの夜明け」でも特集されていました。国産の板で、かつビッグブランドではないところがすごいですね。あちこちに情報が出回っていると思いますので、興味あれば調べてみましょう。

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