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東京都文京区 印刷博物館

こんにちは。今回は、TOPPAN小石川本社ビルにある印刷博物館にやってきました!

まず、日本おける印刷のはじまり、そして東洋と西洋における活版印刷のはじまりを見てみましょう。

印刷の日本史

日本の印刷のはじまりは奈良時代。称徳天皇が藤原仲麻呂の乱を制圧したのち、そのときの戦没者の冥福、国家の守護、安泰を祈り「百万塔陀羅尼(ひゃくまんとうだらに)」を作らせたのが始まりとのことです。

百万塔

「百万塔」(20cmくらいの小さな塔)の中に、

百万塔陀羅尼

「百万塔陀羅尼」を入れたそうです。
印刷には5つの要素(版(木版、銅版etc)、媒体(紙etc)、インキ(墨etc)、圧力(人力、印刷機etc)、原稿)が必要で、「百万塔陀羅尼」にはこの5要素が含まれています。なんと100万基も作られたということです!

印刷の世界史

東洋における活版印刷のはじまりは高麗(918年~1392年)時代の朝鮮半島で誕生した金属活字文化です。朝鮮朝(1392年~1910年)時代には、宮廷が改鋳を繰り返し、活字体の質、量が向上しました。

最初期のハングル活字「月印千江之曲(げついんせんこうのきょく)」組版復元(1447年)

一方ヨーロッパにおける活版印刷は、ドイツのグーテンベルク(1400年頃~1468年)による鉛合金活字の発明がはじまりです。合金活字、モールドとよばれる鋳造道具、油性インキ、印刷機を使っている点が東洋の出版と大きく異なる点であり、活版印刷術は、火薬、羅針盤とともに、ルネサンスの三大発明のひとつとされています。

グーテンベルクは、ぶどうしぼり機をヒントにして、印刷機を作ったといわれています。(中略)この資料は、ドイツにあるグーテンベルクミュージアムで想定復元された印刷機を80%に複製したものです。

さて、印刷の歴史にまつわる様々な資料を見て思ったことがあります。それは、印刷の果たす役割は大きく2つに分かれるのかな、ということです。つまり、ひとつはプロパガンダ(政治的な宣伝)、もうひとつは啓蒙です。例として以下の資料をご紹介します。
<プロパガンダの例>

『キンダーブック』第14週第2編「三ツノオハナシ」

日中戦争から太平洋戦争にかけて、国民の戦意を高めるために多くの印刷物が発行されました。1941年発行の『キンダーブック』第14週第2編に収録された「三ツノオハナシ」では、桃太郎(日本)、ピノキオ(イタリア)、赤ずきん(ドイツ)を登場させることで、日本の同盟国であるドイツ・イタリアを仲良くすることを子供たちに諭しています。

パネル要約

<啓蒙の例>

『百科全書』

『百科全書』はフランス革命の思想的礎になったとも言われ、18世紀を代表する記念碑的出版物。宗教的価値観から離れ個人の理性を重視することで、人間生活の進歩・発展が可能となるとした啓蒙主義的精神をもとに編さんされた。農業、漁業、建築、美術、諸科学、技術、風俗、生活などあらゆる事項を集め、まとめあげるとともに、銅版画による精密な図版を項目ごとに分類、掲載している。

キャプションより

印刷物を読むとき、それがプロパガンダなのか啓蒙なのかを見分けるのは難しいです。両方の場合があることを知り、その内容が本当なのかをまずは疑い、立ち止まってよく考えることが必要なのかなと思います。
それから、啓蒙である印刷物は発行禁止になることもあります。
<発禁の例>

『三国通覧図説』 林子平

『三国通覧図説』(1785年)は朝鮮、琉球、蝦夷という3つの「国」、および小笠原諸島、日本を地図で示し、各地域の地理や風俗を解説した本です。国を守るためには、国のまわりの地理を知ることが重要であると説いています。この書を著した林子平さんはこのほか『海国兵談』(1786年)という書において、ロシア船が蝦夷に現れるようになったことに危機を感じ、海の防衛のために幕府の権力と経済力の強化が必要と記しています。2つの書は幕末には国の危機を唱えた書として評価されるようになりましたが、発行当時は世の中の不安を煽る危険な書として発禁処分となりました。

小学館 HugKum 学び 2021.11.14 の記事を要約

では、正しい情報がなく、知り得る情報だけで判断しなければならないときに、誤った方向に進まないようにするためにはどうすればよいのでしょうか?
私なりの考えですが、まず疑い、よく考え、それでもわからないときは、とりあえず、「こうしなさい!」と書いてあることと逆のことをしてみる。そのときに、周りから批判されること以外何も起こらなければ、そこに書いてあることは大したことないはずです。ただし、ほんとに大したことあってからだと大変ですし、批判によって炎上しても大変なので、少しづつ試して様子見ながらですね。あくまで私なりです。。。

広くてきれいな博物館です。とても勉強になりました!

(おわり)

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