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埼玉県和光市 税務大学校 税務情報センター 租税史料室

今日は埼玉県へ。東武東上線の和光市駅から徒歩20分。税務大学校内にある租税史料室に行ってきました。

(目次かわりに今回学んだことをさきに書いておきます。)
・税務署員さんは長期間の研修でたくさんの知識を得てから業務をおこなっているんだ!
・お酒って飲むだけでなく税収源なんだ!
・日本の税制はGHQによってその枠組みがつくられていたんだ!

さてさて。まず税務大学校って初耳です。国税庁のホームページを見ますと、以下の説明がありました。
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税務大学校は、国税庁の研修機関です。
税務大学校は、国家公務員として採用された税務職員に対して必要な研修を行う機関で、本校のほか、全国12か所に地方研修所を置いています。
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なるほど、税務署員の研修機関か。勝手に小さな研修所をイメージして行ってみたらびっくり!。普通の大学と同じような大きなキャンパスがありました。

キャンパスには、管理棟・研修棟・階段教室棟・厚生棟・体育館・グラウンド・テニスコート・学寮棟(霞寮、若松寮、船橋寮、和光寮)・租税史料室があります。寮まであるんだ!どんだけ研修するんだ??。国税庁ホームページをさらに探ってみると研修体系の記載がありました。
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高卒の場合:普通科(1年)→<実務経験(3年)>→中等科(3か月)→<試験(部内経験5年以上)>→本科(1年)
大卒の場合:専門官基礎研修(3か月)→専攻税法研修(2か月)→<実務経験(3年)>→専科(7か月)
経験者の場合:社会人基礎研修(3か月)→<試験(部内経験3年以上)>→本科(1年)
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なんと!少なくても1年は研修をするのか!!税務署員さんてすごい勉強されていたんですね!!

さて、いよいよ租税史料室へ。1階には「日本の税の歴史」のパネルがありました。

日本のことだけでなく、いくつか外国の税の歴史についての記載があり、勉強になります。
◇マグナ・カルタ(大憲章)
1215年、イギリスで発布。税金をかけるには議会の協賛が条件となった。
◇植民地住民の権利と不満に関する宣言
1764年、アメリカで採択。税はこれを負担する植民地代表を含む国会で決めるべきものとして「代表なくして課税なし」の考えをうちだした。
◇フランス人権宣言
1789年。納税の義務、能力に応じた租税負担の平等、国民の代表による租税の決定、国民による税の使途の追及、という民主的な考え方が打ち出された。
自分たちで自分たちの税を決める。何にどれだけ必要かを自分たちで考える。税って”よくわからんけどもっていかれる”ってイメージですが、ほんとは自分たちで考えて決めなきゃいけない。そんでその権利は自分たちで勝ち取らなければいけない、ってことだと感じました。

2階では江戸時代からの税の歴史が貴重な史料とともに解説されています。現在では税といえば、所得税とか法人税とかが一般的ですが、明治時代は地租(土地に対する税)と酒税が主な税収源でした。展示室には酒に関する史料が多くあり、税務署が酒税を重要視していたことがよくわかります。江戸時代の酒造りの工程を描いた酒造絵図とか、清酒製造器具一式とか、焼酎を入れる甕とか、がありました。脱税されないように酒造りについて勉強していたんですね。

そして、展示室内の解説でなんどもでてくるのが「シャウプ勧告」という言葉。現在の税制に大きな影響を与えたものとして重要だそうです。

以下ふたたび国税庁HPより。
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 日本における長期的かつ安定的な税制と税務行政の確立を図るため、昭和24(1949)年にシャウプ使節団が来日しました。使節団は全国を精力的に視察し、シャウプ勧告書をまとめました。この勧告書の基本原則は、昭和25(1950)年の税制改正に反映され、より現状に即した調整が加えられ、国税と地方税にわたる税制の合理化と負担の適正化が図られました。
所得税を税制の根幹に据え、基礎控除額を引き上げて負担の軽減を図ると同時に、その減収分は高額所得者へ富裕税として課税されました。また、申告納税制度の水準の向上を図るための青色申告制度、容易で確実な納付のための納税貯蓄組合制度も導入されました。
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富裕税は、未実現のキャピタルゲインへ課税する機能を持っており、キャピタルゲインに対する課税を軽くすると富の集中化を招いてしまう、という認識にもとづいて創設されました。キャピタルゲインとは、株式や債券、不動産、貴金属などの資産を売却して得られる利益のことです。不労所得で儲けた人に富を集中させないということですね!

ちなみにwikipediaで「シャウプ勧告」を調べてみると、シャウプ使節団はGHQの要請によって結成され、シャウプさんは、「世界で最もすぐれた税制を日本に構築する」という理想に燃えてやってきた、とありました。イギリス・アメリカ・フランスのように、自分たちで自分たちの税を決めるための権利を自力で勝ち取った、というのではないところのが情けない。。権利を勝ち取ること、そしてその権利を能動的に行使し続けることが大切なんだと思います。
今回も勉強になりました!ありがとうございました。(おわり)








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