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なぜ、今の時代にカテゴリーブランディングが必要なのか?
こんにちは、塩口です。
株式会社EXIDEAという会社で9年間マーケティング・ブランディングの仕事をしています。
前回のnoteでは、売上をもたらす市場創造手法としてカテゴリーブランディングという考え方を提唱しました。
ブランディングが企業にとって本当に意味があるかは、実際に売上に繋がるかどうかで決まる。そして、顧客に選ばれることで売上をもたらす手法こそ、カテゴリーブランディングだという話をしました。
これは企業にとってカテゴリーブランディングが有用な理由の説明でしたが、今回は社会的視点から見ても、今、カテゴリーブランディングが重要だという話をしようと思います。
⒈ なぜ今までのブランディングは問題か?
カテゴリーブランディングの重要性について考える前に、一般的に世の中で行われているブランディングがなぜ問題なのかについて考えたいと思います。
① 企業目線での問題
前のnoteでも触れましたが、現代はものがあふれている時代です。
特に先進国では基本的な衣食住は満たされ、生活の利便性についてもある程度は保障されています。言ってしまえば、生活への根源的不満がありません。
だからこそ、便利な家電製品や生活用品など、次々と新しいニーズを満たす商品が登場していた昔とは違って、現代においては生活の不満に刺す商品を開発することは簡単ではありません。
このような競争の激しい状況で、表面的なロゴ制作やコピーづくりをしても、売上につながらない。焼け石に水になってしまう。
これが企業目線での、世の中に広まっているブランディングの問題点です。
② 社会目線での問題
ブランディングは社会目線でみても、大きな問題を抱えています。
たとえ企業目線の問題をクリアし、差別化できて企業の売上につながったとしても、社会にとって良いとは限りません。
なぜならば、市場(=カテゴリ)の中で優劣を争っているだけで、市場を生み出さず、顧客にとって新しい課題解決や価値提供をしていない商品も多いからです。市場内での順位が入れ替わったところで、新しいニーズが満たされることはないので、その商品によって社会はまったく幸福になりません。
飽食の時代においては、企業がブランディングによって売上をあげることが、必ずしも社会的幸福の増大につながらなくなってしまった。これが社会の視点からみた問題です。
⒉ なぜカテゴリーブランディングなのか?
では企業の営利活動が、顧客の幸せにつながることはもうないのでしょうか。
過去の焼き直し商品と、それを飾り付ける表面的ブランディングばかりがあふれる社会に向かっていくしかないのでしょうか。
私はそうは思いません。
確かに人々の衣食住の不安は減っています。モノがあふれているのは当たり前で、「人より多く」を求める時代でもなくなってきています。
ですがニーズが世の中からなくなったわけではありません。
常に人間は欲求を抱えている生き物です。
前のnoteでは、グランピングの例を取り上げました。グランピングとは、リゾート感覚で快適に楽しむキャンプのことを言います。星野リゾートは「自然を楽しむキャンプはしたいけど、汚いのは嫌」という一見矛盾した顧客のインサイトを汲み取り、グランピングという新しい市場(=カテゴリ)を創出しました。
これは「自社の強みや独自性をもとに、新たなカテゴリ(=市場)を創造することで、売上をあげる」というカテゴリーブランディングの手法そのものです。
限られたパイの奪い合いではなく市場の創造を行っています。それによって、売上と社会的幸福の増大を同時に実現しているのです。
詳しい説明は前のnoteに譲りますが、従来の商品と似ているのに、人々の新しいニーズを刺激しているのがカテゴリーブランディングのポイントです。
グランピングも「キャンプ」の一種であるという点では、従来のものと変わりません。
ですが「自分では何も用意しなくていい快適空間でキャンプをするのはどうですか?」という、まったく新しい行動様式・文化の提案を顧客にしているのです。
現代では商品のモノとしての価値がなくなる代わりに、その商品を選んで購入することが自分のライフスタイルや個性の表明になります。その欲望の変化を捉え、新しい行動様式や文化の提案という形で市場創造を行うのがカテゴリーブランディングの考え方です。
これが、現代でも企業に利潤をもたらし、かつ社会的幸福も増大させる方法だと今の私は考えています。