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自己紹介

大学教員をしています.専門は観光行動論,観光心理学です.2023年4月には22年目に入ります.


大学教員としてのキャリア

1つ目の本務校

最初は,出身地の千葉市にある敬愛大学に2002年4月から8年間お世話になりました(たまたま公募があって,採用していただけことには今でも感謝しております).経済学部において「観光事業論」「ホスピタリティ経営論」を担当しておりました.そのほか「インターンシップ」をはじめ,同大学におけるキャリア教育の立ち上げに少しだけ関わらせてもらいました.

非常勤講師としての経験

もともとの専門は観光行動論,観光心理学です.それに関連する科目を初めて担当したのは2005年でした.川村学園女子大学人間文化学部観光文化学科で「観光心理学」を1年間講義しました.その後,2007年に琉球大学法文学部観光科学科での集中講義「観光行動論」を担当する機会に恵まれました.川村での講義をベースに琉大の集中講義の準備をする過程で,現在の「観光行動論」「観光心理学」の講義の骨格ができました.2009年には立教大学で「観光心理学」,そして玉川大学で「観光行動論」を担当することになりました.

2つ目の本務校

2010年4月より玉川大学に移りました.最初の3年間は経営学部観光経営学科,2013年4月からは観光学部観光学科に移り,現在に至っております.担当持ちコマ数調整の関連で「観光マーケティング」「サービス・マーケティング」「観光社会学」「文化遺産」など隣接する領域の科目,「リサーチ・メソッド」など基礎となる科目も担当しましたが,とても勉強になりました.

大学の専任教員には,大学の運営に関わる業務があります.現在の本務校では,学生主任を1年,教務主任を6年務めました.前任校でもカリキュラム検討,教務を担当していたので,キャリアの多くを教務畑で歩んできました.2023年4月より,玉川大学・玉川学園の国際教育センター長に就任しました.海外渡航が本格した時期にこの役目にアサインされましたが,新たな領域としてチャレンジしております.

観光行動論・観光心理学について

さて,私が専門としております,観光行動論,観光心理学について説明します.一言でまとめると「観光をする人の行動や心理に関する一般的な法則」を明らかにしようとする学問領域です.そのためには,観光者の行動に関するデータを収集し(アンケート,インタビュー,観察などさまざまな方法があります),それを分析して一定の傾向・パターンを見出していきます.
旅行前から旅行中・旅行後に至るまでが研究対象となっており,モチベーション,情報探索,イメージ形成,選択,現地での経験,旅行後の評価,阻害要因,リピーター,知覚リスクなどさまざまな領域があります.

以下の文献に,少ないページ数のチャプターですが観光心理学の概要を私が書いております.

この研究領域を選んだきっかけですが,大学学部生のころに舞浜のあるテーマパークにてアルバイトをしていたことです(3年8ヶ月,大学時代のほぼ全ての期間にわたって在籍.記憶では通算3000時間超える勤務をした時点で卒業にともない退職).キャストとして現場に立ちながら,ゲストの行動を見ているなかで,観光をする人の行動の特性をつい分析してしまうことがありました.それが,観光心理学のゼミを選択することにつながり,現在に至っています.30年前はアナログに把握していた観光者の行動が,現在ではデジタルなデータで把握できるようになり,時代の変化を感じます.

このゲートは30年前から変わらないです(筆者撮影,2009年12月)

研究テーマについて

海外旅行行動

2008年から現在に至るまで研究対象としておりますのが,日本人の海外旅行行動,です.高井典子先生(文教大学→神奈川大学),西村幸子先生(同志社大学)との共同研究でスタートしました.2008年ごろ,日本のメディア等では「若者の海外旅行離れ」が指摘されていました.まずはその実態を把握することからスタートしました.「なぜ,海外旅行をしないのか?」「どうすれば海外旅行を実施するようになるか?」という問いのもと,旅行の阻害要因(constraints)の理論に基づいた検証,自己効力感(self efficacy)とすり合わせ(negotiation)を援用した海外旅行実施に至るプロセスをモデル化する,という着地点に至りました.科研費をいただくこともでき,大変ありがたかったです.その成果は『若者の海外旅行離れを読み解く:観光行動論からのアプローチ』(法律文化社,2014年)として発表し,2016年には観光学術学会から著作賞をいただくことができました.

成田空港第1ターミナル(筆者撮影,2020年2月)
私の人生初の海外旅行先は大学2年の時のシンガポール(筆者撮影,2019年12月)

その後,海外旅行(国際旅行)に関して各方面からコメントを求められたり,講演や執筆ののご依頼をいただくことが多くあり,現在も研究を継続しております.中でも,以下の記事は多くの方に読んでいただけたようです.

2020年のCOVID-19の影響が出て以降は,「どのような人が海外旅行の再開が早いのか?」という問いをもとに研究をしております.学会報告のほか,インフィニトラベルインフォメーションさんの媒体でもコメントの機会をいただいております.

観光地のイメージ

大学院時代からかなり長い期間テーマにしてきたのが,観光地のイメージ(destination image)の研究です.観光者,これから観光に行こうとする人(潜在観光者)がある地域や観光地のイメージを形成するプロセスはどうなっているのか,を明らかにしようとするものであります.海外では山のように先行研究があります.理論的には新しいものはなかなか出てこない印象がありますが,数多くのケーススタディがある研究領域です(既存の枠組みをもとに多くの検証がされている,とも言える).こちらの内容の一端は,『観光行動論』(原書房,2013年)に「観光行動に影響を及ぼすイメージと情報」というチャプターに掲載していただきました(→印刷版は絶版,現在はオンデマンドのみ).

沖縄のイメージといえば「海」(筆者撮影,2008年9月)

観光とメディア

大学院時代から研究テーマとしておりましたが,2010年代以降はあまり手をつけていません.大学院にいた2000年前後はインターネット黎明期であり,依然としてマスメディアの影響が大きい時代でありました.テレビドラマや映画によって観光者行動にどのような影響があるのか,というのが大きな問いでありました.Film Induced Tourism に関する海外の文献を色々と漁っていました.その成果の一端を『21世紀の観光学』(学文社,2003年)という文献に「観光におけるマスメディアの影響」というチャプターとして発表しております.その後の時間の経過を経て,コンテンツ・ツーリズムの研究が2010年前後に盛んになって以降,多くの方に引用していただけました(私の業績の中でいちばん引用が多いらしい?).

LondonのKings Cross Station.ある映画に関連する場所(筆者撮影,2014年8月)

その他

前任校時代に単発で色々と手を出しました.
前任校(敬愛大学)が経済学部であり,そのことから地域振興がらみの研究を大きく2つしておりました.1つは,観光による商店街の維持でした.沖縄県那覇市でフィールド調査をしました.観光客しか商店街を訪れていないという状況がどうつくられたのか,そのことでどのような問題があるのか,について検討しておりました.もう1つは,千葉県の観光振興でした.インバウンド以前の千葉県の観光政策をひととおり整理してまとめました.

グレードアップする前の那覇市の国際通り(筆者撮影,2007年8月)
グレードアップした後の那覇市の国際通り(筆者撮影,2013年8月)

そのほか,前任校でキャリア教育の立ち上げに関わったこともあり,キャリア教育の授業実践,インターンシップなどで論文を書いたこともあります.コロナ禍でオンライン授業が行われたときは,それに関して若干の発表をしておりました.

今後の展望

1つ目は,日本人の海外旅行行動研究は継続していきます.当面は,コロナ禍が落ち着くまでは「海外旅行の再開」に焦点をあてて追いかけるとともに,この状況を記録として残したいと考えております.
2つ目に,留学に焦点を当てたいと考えております.留学を通して何を身につけることができるのか,短期の海外旅行と身につけることの違いは何か,について検証したいと構想中です.
その他,色々構想しておりますが,校務といかに両立するのか,です.

学会での活動

日本観光研究学会観光学術学会日本観光ホスピタリティ教育学会日本マーケティング学会日本消費者行動研究学会の会員であります.
日本観光研究学会では学術委員,観光学術学会では評議員と編集委員,日本観光ホスピタリティ教育学会では理事と編集委員を拝命しております.学会誌や研究発表会に関連するところで貢献する場面をいただくことができ,ありがたいことです.

社会的な活動

大学教員の仕事の1つとして,社会的な活動があります.
行政関係の委員はゼロではありませんが,あまり経験がないです.メディアからの取材や原稿執筆の依頼ですが,海外旅行に関するコメントが多いです.講演会や講座講師についてもご依頼をいただきます.可能な限り対応しておりますが,大学の授業期間の平日の昼間はなかなか難しいです……

以上,2023年1月時点での自己紹介とします.一部,2023年9月に加筆しました.
詳細はResearchmapにもあります.
https://researchmap.jp/tetsuna.1106

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