正しい判断は、正しい情報と正しい分析の上に初めて成立する
顧客にとって「嬉しいサービス」「ありがたいサービス」ってなんでしょう?
サービスを提供する立場としては、これは常に考えていかなければならない命題です。
「良いサービス」とはなにか
お客さまの期待を超える「プラスアルファのサービス」を──
なんて言われることがよくありますよね。確かにある意味ではとても正しい。だけど、これを鵜呑みにしてしまうのはとても危険なことです。
良かれと思って提供したプラスアルファ。果たしてそれは、ずっと継続できるものですか?
それが属人的なサービスだった場合──担当者が変わると終わり。
そもそもかなり無理をしていた場合──無理は続かないでしょう。
こちらとしては「プラスアルファ」だったんだから、やめても文句を言われる筋合いはないよね、と提供を止めてしまうとしましょう。すると、顧客はこう思い始めるのです。
「前の○○さんならやってくれたのに」
「最近サービスが低下しましたよね?」
残念なことですが、良かれと思ってやったことが結果的には「正しい判断」ではなかったということですね。
プラスアルファの常態化は危険
提供側が「特別」と思っていることでも、それが何度も繰り返されることで、徐々に享受側の認識はそれが「通常」になってしまうことはよくあります。人間とは良くも悪くも「慣れる」生き物なんだということがよく表れていると思います。
ですから「プラスアルファ」の提供頻度やその程度は、それが常態化してしまう一歩手前にとどめておく必要があります。(だが、それが難しい!)
このような「常態化」による認識齟齬を未然に防ぐ方法としては、提供するサービスレベルを定義して、サービス提供開始前に共有し意識合わせをしておくことが一般的ですね。
もちろん、あとで言った言わないの水掛け論にならないように、「業務定義書」などのドキュメントに落とし込んだうえで共有しておくことは必須です。
整理すると
<正しい情報>
・顧客と共有しているサービスレベル
・過去に提供したプラスアルファの頻度
・提供しようとしているプラスアルファの程度
<正しい分析>
・顧客はサービスレベルの握りを正しく理解しているか
・顧客は自分の都合のよい方向に解釈する傾向はないか
などがあって初めて
<正しい判断>
・プラスアルファでサービス提供することで良い関係を築いておくべき!
・常態化しないように、今回は厳密な線引きに沿った対応に留めるべき!
という判断ができるということですね。
さいごに
タイトルのセリフは、長大なスペースオペラ『銀河英雄伝説』に登場する主人公のひとり「ヤン・ウェンリー」の言葉です。冷静沈着な性格がよく表れていますよね。
僕たちが仕事を円滑に進めるうえで、ヤン提督のこの金言が、ひとつの道しるべになり得るのではないでしょうか(╹╹)