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開発者松本さんに教わった生ごみde「キエーロ」は ふところが深かった
「キエーロ」ーその音から、何かが消えるのかな~という印象を持たれるでしょうか。
「キエーロ」で消えるモノ、それは、「生ごみ」です。「生ごみ」が消えちゃう?!ってにわかには信じがたい。魔法ではないけれど魔法のような、きちんとタネのある仕掛け。
そんな「キエーロ」のことを詳しく知りたくて、開発者の松本さんにお願いして、お話し会をしていただきました。
キエーロって何だろう
キエーロは土の中にいる微生物の力で生ごみを分解する生ごみ処理機です。
構造はいたってシンプルで、大きめの枠に土を入れ、
透明な板で屋根を風が通るようにつけるだけです。
とってもシンプルですね。これは土の上に直置きするタイプ。ベランダなどに置く、脚付きのタイプもあります。さらに自分で作ってしまえば形は自由自在!
中に入れる土は買うのであれば安い黒土で十分ですし、古くなったプランターの土を、再生を兼ねて使うこともおすすめです。砂や粘土は向かないそうです。ちなみに、我が家の近くのJAで調べてみたところ、黒土18リットルの袋が380円でした。
どうやって使うの?
1 20cmくらいの穴を掘り、生ごみを入れる
穴が浅いと、生ごみの臭いがしたり、虫が寄ってくる原因となります。
2 生ごみと土をよく混ぜる。
土と触れ合うことで生ごみの分解が進みます。
また、ごみが細かいほど分解がすすみます。
3 乾いた土をかぶせる
表面の土が乾いていることで、臭いを防止し、虫の発生を防ぎます。
このとき、前回埋めた場所も空気を入れるようにして混ぜると分解が 早くなります。
環境によりますが、夏場は5日、冬場は2週間ほどかけて分解していきます。埋める場所を順番に変えて使います。生ゴミは3~4日貯めて埋めるようにすると、場所をうまく使うことができます。ステンレス製のフタ付き容器がお薦めです。
*魚など臭いが気になるものはすぐに埋めてもOK!
太い骨、貝殻、大きな種(桃など)意外の食べ物はすべて埋めることができます。生ゴミの種類によって分解にかかる時間に差があります。一般に残飯などは早く、新鮮な野菜はゆっくり。玉ねぎの皮、とうもろこしや枝豆など固い皮は遅くなります。
向いている人、向いていない人
キエーロがむいているひとは、ずぼらな人!
はい、私のことです(笑)キエーロが懐が深い、と書きましたが、台所ででるちょっと嫌なものたち ~すぐ生臭くなってしまう肉や魚のあまり、消費期限が過ぎてしまったけれど、そのまま捨てるには罪悪感を感じる調味料(古いドレッシング、冷蔵庫にありませんか?!)、食べ残した汁物・・・
主婦としては、汁物の行き場所としてとても魅力的だな、と感じました。うどんや野菜のゆで汁、米のとぎ汁。そういった栄養たっぷりの水分は、排水すると海に栄養が流れていってしまうのが心配ですが、土の微生物にとってはごちそうです。
そういうものを、まるっと受け入れて、分解してしまうのがキエーロなのです。そして、土の量が増えない。つまり、生ごみを入れる→微生物が分解する→分解したごみはほとんどが、水と空気になって消えていきます。後に残るのは元からあった土だけ。
一方、一般的なコンポストでは、その分解の過程で発生する肥料分を栽培に活かすことを前提としています。そのため、分解する→分解した肥料分を植物に与える、というステップがもう一つ加わります。
この、「プラス1ステップ」というのが、時として、コンポスト初心者を苦しめることがあります。
普段から野菜とか育てて無いし・・増えた土の置き場所も無いし・・花を飾るのだって、何かのお祝いで切り花をもらうときくらいだし・・なんて生活を送る、都市型のライフスタイルに優しく寄り添ってくれるのがキエーロかもしれません。
更にもう一つ、懐が深いなあと感じたのは、「いつでも入れられて、いつでも止められる」ところ。ここで言っているのは、「時間やタイミング」のことです。朝でも昼でも夜でも深夜でも、ごみを家に置いておきたくない、と感じたその瞬間に入れることができます。数日分まとめて入れても大丈夫。掘る穴の場所を考えると、まとめて埋めたほうが効率はよいようです。
反対に「いつでも止められる」というのはどういうことか?
キエーロは「土」ですので、生ごみを入れるのを止めたからといって、突然腐ったり枯れたりするわけではありません。もしかすると、草くらいは、かき混ぜていなければ生えてくるかもしれませんが、基本的には、次に自分がごみを投入する日まで、土のままで待っていてくれるはずです。
そんなキエーロが向いていない人は、引っ越しが多い人です。一度設置して使用し続ける分にはそれほどメンテナンスの手間はかかりませんが、引っ越しとなると話は別。黒土を処分して、キエーロの本体を分解して、といった作業が必要となりますし、黒土を引っ越し先に運ぶのはあまり現実的ではないかもしれません。
メリットとデメリット
改めまして、キエーロのいいところ、悩ましいところは・・・メリットは「臭わない」「虫がわきにくい」「水切りの必要が無い」「ランニングコストがかからない」「土が増えない」ということ。
デメリットは「スペースを確保する必要がある」「冬場は分解スピードが落ちる」ということ。
まとめ
キエーロにもメリットやデメリットがあり、使い方のコツもあります。ですが、都会のライフスタイルの中であっても、簡単に家庭の生ごみを限りなくゼロに近づけることが出来てしまうというのはとても魅力的だと思いました。ぜひ身近に取り入れていただけると嬉しいです!
松本さんにお願いしたお話会では、使い方のコツや疑問にとても丁寧に答えてくださいました。後日YouTubeでも公開予定でので、ぜひご覧になってみてくださいね。