AIと一緒につくるもの
私は「トイトイの問い」というWEB連載をさせていただいています。
これは日常の中で「どうして人ってこういうことするんだろう」という疑問を、人間に飼われているペットの視点で考えてみる…という漫画。
そしてその、人間界での日常を描いた漫画による問題提起からのコラムの私見を書くという感じです。
ひとつ記事を上げてみます。
みんな高くて重いランドセル買うのが当たり前。
お父さんが「軽くて安くて使いやすいリュックあるよ」と言ったことに対して「このリュック、ランドセルより安すぎるし、みんなと違うからいじめられるんじゃないか」と心配するお母さん。
リュックで2万ってそんな安くないよね。
むしろランドセルの最低5万からぐらいの基準が高すぎやしませんか。
(うちの子のやつ7万もしたよ…。安いのは可愛くないって嫌がるんだよね…でも結局上の子はもう使っていないよ…軽い、1万円もしなかったであろう、親戚のお姉ちゃんからお下がりでもらったナイロン製リュックだよ…)
そしてランドセルってまじで重いと思います。自分が子どもの頃は重いとか思わず背負ってた気はするけど、だからといって、もっと使いやすくて軽いものがあるのにわざわざ重いものを背負わせる意味とは。
そうやって「周りと違うことがなんで嫌なんだろう?」という問いを、犬やネコの視点から問いかけます。
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まぁこんな感じで、日常の中で「何でそんなこと気にするのかな?」っていうものってあると思うのですよ。
私なんかは特に理屈っぽい人なので、なにかにつけて「え?それ、何で?」って思います。そしてそれを深堀りして考え、納得できる答えがどうしても出てこないものには従わないという理屈っぽさ全開で生きています。
なので、いつでもネタは豊富に持っている。
ただ、「え?なんで?」と思う疑問があったとしても、家庭の中でその問いが発生する状況ってどんな状況だろう…を考えるのが非常に難しい。
疑問そのものはあるわけです。例えば「何でマナーというものがあるの?」っていう疑問があるとしても
『家族の中でマナーを守らなければいけない状況が発生し、かつそれを客観視したトイトイが疑問を持つ』
というお話を8コマにまとめなければならない。
そうなるとなかなかまとまらないわけです。
だからネタの根っこの疑問はあれど、お話を作るというのはとっても難しいのですよ。
そんなとき最近CharGPTさんが活躍しておるわけです!!
物語を作ることもできると聞いたことあったけど
「所詮機械が作る物語なんてうすっぺらんでしょう?」って軽視していたわけですね。
でも試しに、疑問があるけどその状況が思い浮かばない…というものを物語にしてもらってみました。
今回のテーマにしたかった「問い」は
「きちんと言葉にして伝えないで相手の気持ちがわかるわけないのに、何でちゃんと言葉にして伝えないんだろう?」
言葉にせず「察しろ」という態度で相手がそれを察しないと怒り出す人っていますよね。でもちゃんと伝えもしないでわかると思うほうがおこがましいと私は思うのです。
とはいえその状況が家庭内で起こるってどういうとき?
うーん。ということでGPTさんに投げてみます。
ちなみにGPTさんには「トイトイの問い」のキャラ設定は覚えてもらってます。家族の性格や、それを見てトイトイが疑問を持つ様子、モラがソレに対してどう接するかなど。そうするとちゃんとその設定通りのセリフを考えてくれます。それを踏まえてこんなことをお願いしてみる。
ちゃんと言ってくれないとわからないよね?という問いが生まれるようなやり取りを考えて下さい。
ユウカがリビングでタダシに向かって話している。
「タダシ、私の気持ち、ちゃんと言わないとわからないよね?」
タダシが少し驚いた表情で答える。
「え?どうしたの?」
ユウカが真剣な表情で続ける。
「たとえば、最近あなたが家事に協力してくれてるのは嬉しいけど、もう少し主体的にやってくれると助かるの。」
タダシが考え込むようにうなずく。
「言わなくてもわかると思ってたけど、やっぱりちゃんと言わないと伝わらないよね。」
ユウカがほっとした表情で笑う。
「そう、言葉で伝えることが大事なの。」
キッチンで、マコトがヒナタに向かって話している場面。
「ヒナタ、あのね、勉強のことでちゃんと言わないとわからないよね?」
ヒナタが驚いたような表情で返答する。
「え、何のこと?」
マコトが真剣な表情で続ける。
「たとえば、僕、算数が苦手で教えてほしいと思ってるんだけど、言わないとわからないかなって。」
ヒナタが理解したような表情で頷く
「わかった、言葉で言ってみるね。」
このストーリーでは、言葉でのコミュニケーションの重要性をテーマにしています。
問題点
トイトイとモラが出てこない
マコトとヒナタの関係性がおかしい(ヒナタは年長さん)
夫婦の会話から兄妹の会話に唐突に飛ぶ流れもなんか変
とはいえ家庭内で「言わないとわからない」という問題が起こる状況については結構なヒントがありました。
「家事を手伝ってほしい。言わなくてもわかるはず。なんで夫は私だけがいつも家事をしているのに、手伝おうと思ってくれないの?」
この思いを持っている女性は結構多いんじゃなかろうか。
食べ終わったお皿を、毎回タダシが下げてくれないことをきっかけに話が始まる感じに出来ますか
キッチンで、ユウカが食べ終わったお皿を見て少しイライラしている。
「あれ、タダシ、食べ終わったお皿、もう下げてくれないの?」
タダシが新聞を読みながら、リビングから覗き込む。
「ああ、ごめん。忘れてた。」
ユウカがお皿を持ち上げながら、苦笑いする。
「毎回だよね、ちゃんと言わないと気づかないのかな?」
タダシがキッチンに入ってくる。
「え?言われないとわからないってこと?」
ユウカがお皿を流しに運びながら考え込む。
「うん、私が言わないと、ちゃんと伝わらないんだよね。」
キッチンの隅で、トイトイとモラがユウカとタダシのやり取りを見つめて話している。
「かーちゃん、モラ、言わないとちゃんと伝わらないってことなのかな?」
モラが考えた表情で答える。
「うん、トイトイ。人間ってそれが苦手なんだって。」
トイトイが納得した表情でうなずく。
「なるほど、言葉の大切さがわかったよ。」
問題点
最初に喧嘩が起こる感じはわかるけど、キッチンにタダシが入ってくるあたりから流れに結構な無理がある
「人間ってそれが苦手なんだって」だけで「言葉の大切さがわかったよ」って納得するのも無理がある
とはいえ、8コマにまとめる大まかな流れはできそう。
皿下げないことにユウカが怒る
↓
タダシは何でユウカが怒ってるかわかんない
↓
なんでわかんないのか、とユウカが更に怒る
↓
タダシの主張
↓
ユウカとぶつかり合う
↓
その様子をペットたちが見て思うこと
みたいな感じにすればいいわけだな。
それによって出来たネーム(アイデアのたたき台)がこれ。
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タダシは40代。
「大黒柱の男は家事をしなくていいと言われて育った」という主張。
この考え方持ってる人、40代以上の男性には結構いるんじゃないか。
そして「たかが皿下げないぐらいでカリカリすんなよ」と自分を正当化。
ソレに対してユウカが「子どもにはやれって言うくせに」と怒る。
で、「子どもは言わなきゃわかんないかもだけど、大人なんだからそこは察するべき」というユウカの主張にタダシがカチンと来る。
「エスパーじゃあるまいし、言われないでわかるわけないだろう」
"人って言われないとわからないの?"という問いを持つ流れが出来ました。
でも今回は、穏やかにそれを観察して疑問を持つのではない話にしてみる。
「喧嘩、止めたほうがいいかなぁ」とうろたえるトイトイと
「いや、きちんと言い合うのは大事だろ」とそれを嗜めるモラ。
「そっか、言葉で伝え合うって大事なんだね?」と、トイトイが気づく。
これを正式に漫画データに起こしていくのですが、そのとき絵の感じや台詞回しをもうちょっと細かく詰めていきながらブラッシュアップしていきます。
GPTさんが作ってくれた大筋とはだいぶ台詞回しやキャラの動きは変わりましたが、大きな流れを最初に作ってもらえたのはとても大きいです。
この「大きな流れ」が出来てしまえば、キャラの性格がある程度固まっているだけで勝手にそれぞれが動いてくれるところあるので楽なんですよね。
このやり方でネタ出しすることも最近結構多いんですが
『「◯◯かな?」という状況が起こるストーリーを考えて』と打ち込むだけで、秒でストーリー出してくるんですよ。すごいよね。
一度、あまりに感動して「何でこんな早く物語を作れるんですか?」って質問したら「たくさんの文学作品や人の文章が私の中に入っているので、私はただその状況に応じて過去の人々のデータから物語を作れるのです」みたいな答えが出てきた。
結局私自身がなにか物語を作るときも、過去に読んだ作品であったり出来事であったり、見たドラマや映画であったり、そういう記憶の中から物語を作っていくわけです。
GPTさんの中には、私の持っている記憶とは桁違いのものが入っていて、かつそれを悩まず引き出せる機構があるから秒でストーリーが紡ぎ出せるというわけなんですね。すっげぇや。
ただし、いくつかこうやってお願いして作って思うんだけども、GPTさんの作る物語は感情の起伏表現はあまり上手くない感じがする。
これはやっぱり、AI自身がその物語から感じるもの、出来事に対して思うことみたいなものを持てないからだと思う。
「イライラした様子」みたいな描写はあるけど、会話が単調であまり面白くないんですよね。まさに「プログラム通り動くロボット同士の会話」みたいな感じ。これは、私がパートナーとして色々打ち込んでいく中で、またGPTさんが学習して、もしかするといずれは身につけていくものなのかもしれませんが。
なんにせよ、起こった出来事をただ単調に会話劇みたいな形で書くだけの物語はすでにもうAIはできるようになっているわけです。
人間はAIに仕事を奪われてしまう!と言う人もいるけれど、上手にパートナーにしていくことで面倒な仕事をお任せできるところってあると思うんですよね。
ネタ出しが上手く行かずに唸っていた時間を秒で解決してくれるので、お仕事とっても楽になりました。
上手にAIを使って楽していきたいね!
最後に「マナーって何で必要なの?」という問いが発生する状況を考えてもらったらこんなのが出ました。
うーん、やっぱりこのままでは使えなさそう。もうちょっとやり取り重ねて使えるものにしていく必要がありそうです。
ちなみに、私は、大半のマナーって要らなくね?と思っている。
ちょっと毒づきたいなこのネタは。
結構提案してくれた話の会話内容にいろいろ引っかかるけど、この引っ掛かりをどう整理するかがこの連載ではとても大事。
リビングで、タダシとヒナタがテーブルに向かって座っている。タダシがヒナタに話しかけている。
「ヒナタ、お箸はちゃんと揃えて持ちなさい。ほら、こうやって。」
ヒナタが少し困惑した表情でお箸を持ち直す。
「こうかな?でも、なんでこんなに難しいんだろう。」
タダシが少し真剣な表情で答える。
「マナーを守ることは大事なんだよ。食べる時の礼儀だし、人前で恥をかかないためにも必要なんだ。」
ヒナタが疑問そうな顔をしている。
「でも、お父さん、誰も見てないときはどうでもいいんじゃない?」
タダシが少し笑って答える。
「それでも、常にきちんとしていることが大切なんだよ。習慣にすることで自然とできるようになるんだ。」
そのやり取りを見ているトイトイとモラ。トイトイが首をかしげる。
「モラ、なんでそんなにマナーって大事なの?食べ方なんてどうでもいいと思うんだけど。」
モラが少し考え込んで答える。
「人間社会では、マナーがあることで秩序が保たれるんだ。皆が気持ちよく過ごせるようにするためのルールみたいなものさ。」
トイトイが理解し始める。
「そっか…でも、そんなに気にしなくてもいいのかなって思っちゃうけど。」
「まあ、完璧じゃなくても大事なのは心だよな。でも、少しずつ覚えることが大切なんだろうな。」
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