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食品製造副産物飼料の養豚での使い方や思うこと②

 今回は私がどのように飼料設計しているかを少し紹介させて頂きます。少しでも養豚農家の方に参考にして頂き、飼料コストの削減に貢献することが出来ればと思います。
 現在の飼料設計では、昔のように電卓を叩いて出来るような単純な計算式ではありません。基本的には飼料設計ソフトなどに計算してもらわないと複雑で難しいです。
 では、皆さんどのような飼料設計ソフトを使っていますか?飼料メーカーであれば、飼料メーカー独自の飼料設計ソフトがあると思います。しかし農家の方はどうしていますか?日本飼料標準2013やNRCなど飼料設計ソフトは色々あります。

 私は日本飼養標準の計算式をもとに、もう少し細かい部分まで把握出来るようにして、NRCのエネルギーの計算式を活用した飼料設計ソフトを使っています。といってもで自分でExcelの関数を使い作ったものですが。
 そして、現在では品種や系統によって必須アミノ酸の理想パターンが違います。最近の品種は増体が良い=赤身の生産効率が高いので以前のようなアミノ酸量では追いつきません。そこも理想パターンの数値が分かればフォロー出来るようにしています。これが良いということではなく最低これくらいの理解が出来れば見たことや使ったことのない飼料であっても、正確な飼料の情報があれば大きな失敗はなく微調整程度で使いこなせ、飼料コストの低減に役立てることが出来ると思います。

 どのように飼料コストを低減するのか?ということを簡単に説明させて頂きます。今回はあくまでも飼料コストの低減のみにスポットを当てての話になります。機械や施設などの理由で使えない、労力的なことも考慮されていません。当然、嗜好性に問題なければというのが大前提です。嗜好性だけは数値では全く表せません。
 価格に関しては地域差や農家間差がありますので、この価格は例として見てください。これはある配合飼料との比較です。

 上記のように配合飼料を安い飼料に置き換えて飼料設計し、1日の飼料代を低減します。配合飼料、澱粉+酒粕、ラムネ+酒粕の3区で比較しています。
 配合飼料区は138.1円/頭/日、澱粉区は121.8円/頭/日、ラムネ区は125.8円/頭/日となりました。
 澱粉区は16.3円、ラムネ区は12.3円の飼料コストが削減出来る計算です。この差は決して安くはないと思います。例えば500頭×16.3円×365日=2,974,750円です。
 この価格よりも配合飼料が高ければ当然これ以上のコスト削減が可能になります。逆に配合飼料が安かったり、澱粉やラムネ、酒粕が高ければ使用しないほうが良いかもしれません。

 配合飼料区と澱粉区とではほぼ問題なく変更出来ると思います。栄養内容もほぼ変わりませんので、同じ成績が出るのではないでしょうか。脂肪からのエネルギーではなく、澱粉からのエネルギーが増えるので脂質は向上すると思います。まだまだ澱粉割合を増やしても大丈夫ですので、更にコスト削減が可能です。ひとつ気になる点があるとすれば、酒粕のアルコールの影響ではないでしょうか?しかし、私の経験上これくらいの量であればアルコールが何か悪さをすることはないと思います。

 ラムネ区でも問題ないと思いますが、栄養内容が違ってくるので気になる方もいるのかもしれません。一般的なエネルギー源の澱粉が低くなっていますが、糖分が増えてNSCとしては確保されています。逆に糖分の嗜好性によって乾物摂取量が増える可能性があります。乾物摂取量が増えた場合には実際の乾物摂取量に見合った飼料設計に変更することをおすすめします。飼料設計ソフトの乾物摂取量はあくまでも目安であって、実際の乾物摂取量が正解です。現場の乾物摂取量に合わせて飼料設計をすることが大切です。数値よりも現場が正解です!

 配合飼料区の乾物摂取量が3.0kg/日で澱粉区とラムネ区の乾物摂取量は2.9kg/日です。乾物摂取量が若干違うのは、日本飼養標準でも採用されていますが、摂取飼料のエネルギーにより乾物摂取量が変化するという考えからきています。高エネルギーなら乾物摂取量は下がり、低エネルギーなら乾物摂取量は増えるという考え方です。これから言えることは、低エネルギーだから悪いではなく、ある一定範囲内での低エネルギー飼料であっても摂取量によってフォロー出来ます。よって乾物摂取量が増えても、トータルの飼料代が下がるくらいの低コストの飼料であれば十分使うメリットはあります。

 このように適切に飼料設計を行えば、どのような飼料でも使えます。ただ、その飼料の善し悪しは価格であったり、現在の飼料の状況だったり、手間や納品条件だったりと総合的に判断しなければいけません。

 たまに耳にする話ですが、このメーカーの配合飼料は良いけどこっちのメーカーはあまり・・・安かろう悪かろうの飼料・・・など。これは配合飼料の栄養価がメーカーによって違うためであったり、飼料の正確な情報をもらってなかったりすることが原因であることが多いです。その飼料が良い悪いではなく適正に飼料設計をして使えるようにしたかどうかだと思います。飼料の栄養価を把握していれば何も問題はないと思います(嗜好性の悪い飼料は別問題です)。配合飼料のみでいくのであれば、合う合わないはありますので、豚の系統や品種によって選ぶべきだと思います。正直、配合飼料のみというのは無理がある可能性があることは理解しておかなければいけません(繰り返しますが、これはどの配合飼料が良いとか悪いとかという話ではありません)。

 上記の飼料を単純に置き換えただけという例をあげます。文章が長くなってしっまたので細かい説明はしませんが、違いは一目瞭然だと思います。飼料変更する際は、飼料名が変わらないことが大切ではなく、栄養成分が変わらないことが大切です。

 これで同じ成績がでるわけがありません。再三言いますが、これはその飼料が良い悪いではなく飼料の使い方です。より良い栄養バランスで一番飼料コストが低いものを活用出来るかだと思います。

 こんな話が養豚農家の方のコスト削減や飼料設計に対して良い情報源になることがあれば幸いです。
 当たり前の内容ではありますが、どこかの誰かに少しでも貢献することが出来る情報源になれたらと思います!

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