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熟れた果実に少しはなれたのだろうか。

麦の海に沈む果実。

あぁ。本は、別世界に連れて行ってくれる。
やはり、日常だけじゃなく、非日常を取り入れることこそ、日々を豊かに幸せに生きることのコツなのではないか。

お金がなくても、遠くに行けなくても、その人の出来事の追体験ができる。まるで自分がそこにいるかのように。

麦の海に沈む果実を読んだのは、中学生の頃。あんまり覚えてはないけれど、中学生ながらにその、不気味で不思議でファンタジーで心細くてダークな感じの、恩田先生ワールドに引き込まれたものだ。

改めて大人になった今、もう一度読んでみたいと思い、ブックオフで購入。
なんだか、あの頃に戻ったみたいだ。冒頭から読み始めて、これから始まる物語にわくわくを抑えられない。どんな物語が待ち受けているのか、この主人公の少女の身に、これから何が待ち受けているのだろうか。

恩田先生の本は、多分そんなに読んだことは無いのだけれど、この方の言葉選びは、なんというか、秀逸(秀逸という言葉は多分合ってないけど、私の今のレベルの語彙力ではこれが限界💦)だ。引き込まれる。あっという間に現実世界から物語の世界に引き込まれてしまう。
現実逃避したい時には、本の中に入るのが手っ取り早い。

わたしの好きな言葉をここに。

「麦の海に沈む果実

わたしが少女であったころ、
わたしたちは灰色の海に浮かぶ果実だった。」

なんとも秀逸だ。(これしかでてこない)
少年少女のあどけなさや危うさ?を果実に例えているのだろうか。🍋

あぁそうだな。私もそうだったのかも。
人の気持ちに鈍感だったあの頃。
きっとたくさん、友達や家族を傷つけていたに違いない。

苦い思い出は、苦いままだ。
あの頃の私も、まだここにいる。

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