世の中には色んな人がいるって話


無事に小学校を卒業し、私はみんなと同じ市内の公立中学校普通級へ進学した。

酸素ボンベを引き連れてバスに乗る以外は他の生徒と特に変わりはなかったし、登下校も1人でできるようになった。

私の担任は結論から言うと3年間同じ先生だった。
どの学年の担任の先生も私にとって支えてくれた人で感謝している。
ただ、中学校3年間の担任だけは私の人生に必要なことを教えてくれた。

先生と初めて会ったのは入学式だった。
母は入学前から会っていたけれど私が会うことは許されなかった。


サッカー部顧問で、英語の先生
私と同じくらい色黒な男の先生だった。
(以下、ティー先生)


ティー先生は教師歴が長くてベテランらしい
今までも障がいのある生徒を何度も担任してきたと聞いて少し安心した事を覚えている。


後から聞いた話だけど、医療機器を身につけて医療的ケアを要する生徒は私が初でティー先生自身も不安はあったらしい。


私が通っていた小学校は全校生徒が100人弱の小規模小学校だった。
進学した中学校は小学校3つが合体した市内でも有数の超マンモス校全校生徒は脅威の1500人超え


クラスに同じ小学校の子は1人いるかいないか
私は仲良しのバビちゃんと同じクラスで本当に安心した。


入学後、新入生オリエンテーションの前日にティー先生は私を呼び出して告げた
『明日の新入生オリエンテーションで君のことを話そうと思う。自分たちの学年に君がいるということを知ってて欲しい。』とのことだった。


もちろん、許可した。
母曰く、入学時に条件がいくつかあった
①教室に酸素濃縮器を設置すること
②移動教室で使う3階と1階には万一のために酸素ボンベを置いておくこと
③自分の携帯電話を持ってくること


だった。
①と②は他の生徒でも理解出来る。
問題は③


基本的に、携帯電話の持ち込みはNG
そもそも中学生の時点で持ってる子が私の時代はまだそんなにいなかった


ただ、私の場合は登下校中に何かあった時誰も助けられないことがあることを考慮して持ち込みを学校側から提案された。


この3つの条件を他のクラスの生徒にも伝えること
常識だけども、廊下を走らないこと
校内で私に異変があれば他学年の先生でもいいから直ぐに誰かに報告すること


7クラス約300人の同学年の生徒に分かるようにティー先生は伝えてくれた。


ティー先生は、万全を期し他の先生と話し合ってくれた結果学期初めの各学年のオリエンテーションでも自ら出向いて新入生にこんな子がいるよということを周知した。


有難かった。
おかげで安心して学校生活が送れた。


そして、訪れた新入生最初のイベント
オリエンテーション合宿


県内の山奥に1泊してクラスの親睦を深めるという目的で毎年やっている行事らしい


さすがに、中学校入ったしもう1人で宿泊行事も行けるだろうと思っていたが、そんなに甘くはなかった。


学校としては、母同伴でないと何かあっても責任が取れないと言われオリエンテーション合宿も母が同行した。


初日の山登り以外はみんなと同じプログラムで過ごして、あっという間に友達が出来て最高に楽しい時間だった


初めてみんなとお風呂に入った
初めて同い年の子の前で服を脱いだ


傷だらけの身体に最初はみんな驚いていた
右胸から垂れ下がった太いチューブを凝視していた
私が防水テープを貼る姿を固唾を飲んで見守った


小学生の時は絶対にみんなに見られるのはイヤだった。でも、そんな気持ちはどこかへ消えてしまい
むしろ、世の中には色んな人がいるんだということ
外から見ても分からない障がいがあることを
知って欲しかった。

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