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【メイレビュー】11/18(Mon)「バロンドーラーと王国を育んだスペインの“土壌”を考える」佐伯夕利子(ビジャレアルCF) #ハフコミ 隔週報 vol.87

 みなさん、こんにちは! 毎月ハフコミウェビナーのレビューを担当している、ライターの五十嵐メイです。

 月に1回、Zoomを利用して開催されるハフコミウェビナー、今回のテーマは「バロンドーラーと王国を育んだスペインの“土壌”を考える」です。特別講師には、元Jリーグ理事でビジャレアルCFの佐伯夕利子さんをお招きしました。
 
 佐伯さんは、お父様のお仕事の都合で18歳の時にスペインに渡り、指導者としての道を歩み始めました。そこから30年以上にわたって、スペインサッカーの成長を見届けてきている佐伯さん。果たして、どのような話が聞けたのでしょうか? 
 
 それでは今月のメイレビュー、スタートです!

■スペインサッカーの成長に大きく影響した「解放」とは?


 第1部では約1時間をかけて、佐伯さんのこれまでの歩みや、現場を通して感じているスペイン・サッカーの成長についてお話を伺いました。なかでも、佐伯さんが実際に目の当たりにしてきた30年間のスペインの成長の話は、とても興味深いものでした。
 
 佐伯さんによれば、EU加盟国の中で国境が取り払われたことが、大きく影響しているとのこと。それ以前のスペインは、選手も指導者も国外で活動している人がほとんどいなかったそうです。1986年のEU加盟を受けて、国内での外国人枠が取り払われたことが、非常に大きく影響しているのではないか、というのが佐伯さんの見立てです。
 
 これまで狭き門だったマーケットが大きく開かれ、活性化されたことが、スペイン・サッカー界の成長につながっていきます。クローズドな状態を継続していたら、もしかするとスペインはここまでタイトルを取ることができなかったのではないか。そう、佐伯さんは続けます。 外に出て成長する人が後を絶たない状態は、その国の発展に必要不可欠な要素なんですね。
 
 ところで最近の日本代表では、海外クラブで活躍している選手が大半を占め、国内のクラブから招集される選手は非常に限られています。そのため、Jリーグのファンの中からは「つまらない」「寂しい」というような声が聞こえてきたりもします。
 
 かくいう私もそのひとりだったのですが、スペイン・サッカーの30年の進化の過程を知って、もう少しポジティブに考えを改めようと思いました。

■資本的な意味でも過渡期を迎えるスペイン・サッカー

 ハフコミの第2部は、ハフコミ会員の質問に佐伯さんが直接答えていただく、いつものスタイルです。普段、なかなかお話することができないような特別講師と、直接やりとりができるのもハフコミの魅力です。
 
 今回、個人的に気になったのが「ラ・リーガで行われている資本主義的な改革において、Jリーグに活かせるとしたら、どのような部分なのか?」という質問に対する、佐伯さんの答えでした。
 
 佐伯さんがまず語ったのが、130年という長い年月をかけて築いてきた、スペインにおけるフットボールの位置づけ。フットボールは資本主義を越えて、民衆の中で確立してはいるものの、とはいえマーケティングも重要。そのため、競技とビジネスのバランスが非常に難しいとのことでした。
 
 ラ・リーガは、コロナ禍で収益に大打撃を負ってしまったため、アメリカのCVCファンドからの融資を受けることになったそうです。その流れからラ・リーガでは、アメリカのスポーツビジネスの香りが漂うようになったと、佐伯さんは感じているそうです。
 
 経済的に厳しい状況が続いているとはいえ、それをファンがすんなりと受け入れられるのかというと、そういうわけではなさそう。「ドルは要らない!」といったメッセージが、ゴール裏で掲げられるような出来事もあったそうです。
 
 日本でも大宮アルディージャが、レッドブルに買収されたことによって、ネットで毎日のように期待と戸惑い、両方の声を見かけるようになりました。自分が応援しているクラブではないとはいえ、サッカーファンとして大宮がどのように生まれ変わるのか、非常に気になるところではあります。
 
■次回のハフコミウェビナーは「地域CL」がテーマ!

 130年という雄大な歴史があるリーグが、どのような形で新しいスタイルを受け入れていくのか。そして、さまざまな国の資本が入ることで起きるサポーターとのハレーション。いずれのお話も、とても参考になりました。
 
 どのような話が展開されたのか、気になる方はぜひ今からハフコミへの会員登録をして、アーカイブをご覧くださいね。そして佐伯さん、お忙しい中、貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。

 ハフコミでは、こうしたウェビナーを月イチで開催。毎回、サッカーに関わるさまざまなテーマについて、素敵な特別講師をお招きしています。これまでのウェビナーについては、こちらをご参照ください。

 次回のハフコミウェビナーは、12月16日。先月に行われた地域CLの「当事者」の方に、特別講師をお願いする予定です。詳細につきましては、noteXで告知させていただきますので、ぜひハフコミのアカウントをフォローしてくださいね。

 それでは来月の「メイレビュー」も、お楽しみに!

<この稿、了>


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宇都宮徹壱
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