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【短編怖い話】とある少女

【短編怖い話】とある少女
昔ね、とある女性が見知らぬ少女の霊に出会った話があるんだ。
彼女はその日、会社帰りに暗くなった公園の中を歩いていたんだけど、公園の奥にあるベンチに座っている不思議な少女を見つけたんだ。
その少女は見上げると彼女に向かって「ここは私が死んだ場所なの」と静かに言ったんだ。

最初はその少女の言葉の真偽を疑っていた女性も、彼女の淡白な表情や、死後の冷たさを感じる体温に、その言葉の真実を確信するようになった。
彼女との会話が続く中で、少女の霊は徐々に暗く獰猛な姿へと変わっていく。最初の無邪気な少女の姿はどこへやら、彼女の目は深い闇に覆われ、唇は紫黒くなっていた。

そして、その少女の霊は彼女に手を伸ばし、「一緒にここで遊ぼう」と囁いた。彼女は恐怖に震えながらも、少女の霊に導かれるようにその事故現場へと足を運んだ。
その場所には、深い井戸があった。彼女はその井戸の淵で、突如として強く押される力を感じ、絶望の中でその深みへと落ちていった。

空気が薄くなり、彼女の心臓が激しく鳴り響く中、彼女はその少女の霊が笑いながら自分を見下ろしているのを感じた。彼女の絶望感は、一瞬の出来事の中で最高潮に達した。

後にこの話は近所で都市伝説として語り継がれるようになった。公園は夜間通行禁止となり、あの深い井戸も埋め立てられた。しかし、今でも夜の公園には不思議な笑い声が聞こえると言う人もいるらしい。

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