【短編怖い話】山で出会った少女
【短編怖い話】山で出会った少女
先月、会社の同僚であるBさんが、休暇を取って山へ行ったときのこと。
Bさんはアウトドア好きで、何度も山やキャンプに行っている。
その日も一人で新しい山へのトレッキングに挑戦していたらしい。
私たちがランチを共にしていたとき、「山で変なことがあったんだ」と彼女は語り始めた。
「山の途中で、道を失ってしまってね。そしたら、小さな少女が現れたの。」
「え、一人で?」と私。
「うん。不思議と彼女は怖くなかったんだけど、なんだか寂しそうだったの。」
彼女は、少女が以前に事故でこの山で亡くなったと言っていたと言った。
「それで、彼女が案内してくれるからと、ついていったの。」
次第に彼女の表情が曇ってきた。
「途中で、その少女の姿が暗く、何か獰猛なものに変わってきて。」
私は驚きのあまり、言葉を失った。
「その少女が私を連れて行った場所は、どうやら彼女が事故で亡くなった現場らしくて…」
Bさんの声は震えていた。
「何もないと思ったら、次の瞬間、私は崖の縁に立っていて。後ろから彼女の冷たい手が私を押し…」
Bさんは、続きを話すのが辛そうだった。
彼女がその場所からどう逃げ出したのか、詳しいことは話してくれなかった。
しかし、その日以降、彼女は山へ行くことをやめたと言っていた。
私も、しばらくその恐ろしい話から立ち直れなかった。