マスクと目

 

前書き

 この記事を投稿したら、参考記事がいくつか出て来た。

その中に、わたしとは真逆の考え方があったので、前書きを付け加え、先ずこの記事の最初に、貼っておきます。

まあ、たいていの人はこっちだと思います。

わたしは自分が正しいと思って自分の記事を書いたわけではありません。
如是我思ってところです。
偏見誤謬かもしれませんが、まあ、考え方は複数あった方がええやろうと思うので、この記事を書きました。


本論


 ヒトは目で相手の心を読み取る
 そして、口のまわりを上げたり下げたりして、自分の気持ちを伝える

 口のまわりはコミュニケーションの道具として思うとおりに動かせるから、その気になれば、自分の心を偽ったり隠したりするためにも使える。

 西洋人は、口のまわりを中心にした表情を動かして他人を騙したり自分を誤魔化したりするのが文化になっている。だから、マスクをするのをひどくいやがってきた。今もいやがる。

 マスクをしてしまうと、顔の中で相手に見えるのは自分の目だけだ。
 目は誤魔化そうとしても、誤魔化せない部分を残している。

 そのように、ヒトの目はできている。
 つまり、白目がある、横に長い構造になっているのである。

 視力があるなしにかかわらず、ヒトの目は心に従って動き、それを見れば相手は自分の心を読み取ってしまう。
 同時に、相手の目を見れば、相手の心もわかる。

 そのようにできているのでどうしようもない。

 サルやチンパンジーも互いに目を見て相手の心を探る。
 「探る」のである。ほとんどキスするのかと思うくらい、互いに顔を寄せて目を覗き込み合っている。
 これは、白目が無いからだ。

 サルやチンパンジーも共感(「感情移入」のほうが実情に近い、  em-中にpatheia感情  相手の心の中に入って相手の感じていることを自分のものとして体験的に感じ取ること)できるが、人間の共感力は、白目のある目を持つことで格段に上がった。
 これによって、ニ三メートル離れていても、目を見れば、互いに目の奥で動く心が見えるようになった。

 目の動きにしろ、目の動きから心を読み取ることにしろ、それらは無意識であり、学習しないでも発揮できる生得的な能力だ。
 だから、ヒトがこういう能力を持っていることを自覚していない人がほとんどである。

 西洋人がサングラスをかけるのは、虹彩のメラニン色素が少ないからだけではない。目の部分を一定の形で覆って、口だけ見せていると安心できるからだ。日本人でも、本心を知られたくない人はサングラスをかけることがあるから、このあたりの心理は理解できるだろう。

 日本人はもともとマスクをする。風邪の季節などは、風邪をひいていようといまいと、たくさんの人がマスクをしていた。

 西洋人や西洋人的であることがエライと思っている人に言わせると「日本人はマスクが好き」なのだそうだ。
 みんながしているから自分もしなければならないと思ってしているのだそうだ。

 わたしは、日本人はマスクをしても平気だから、マスクをするのだと思う。

 目だけ出していても平気な人が多いのは、元々、口元で表情を操ってコミュニケーションする人が少なかったからだ。

 いわゆる表情豊かな人は、日本では今でも「役者みたいな人」「芸能人みたいな人」と捉えられている。
 テレビをつければ、西洋人を真似て百面相の表情をあやつり、腕をふりまわし、手を打ち合わせ、大声で笑ったり早口で唾を飛ばしてしゃべるタレントたちだらけだ。
 けれども、まだ、それらは、一部の若者が街角で人目を意識しながら真似ているくらいで、一般の日本人はあまりやっていない。

 まあ、英語教育も始まったことだし、そのうち、小学校の子供たちが、アメリカ人みたいに、両手を振り回しながら、眉をつりあげたり、口裂け女みたいに大口を開けて笑ったりするのだろうが。

 いまだに、マスクについてあれこれと科学的根拠を示して、日本人の集団主義や同調圧力に対する弱さについて論じている人がいる。
 ごくろーさまです。

 特に子供には悪影響があって、マスクをしているとバカになると言う人もいる。

 バカになるのかどうかは知らないが、わたしも、小学生くらいの子供がマスクをするのはよくないと思う。
 その頃に、互いに表情をつくって意思を伝えあう練習は必要だと思うからだ。

 相手の心は目でわかる。
 これは、いわば、動物としての本能である。
 だから、ムラ社会ならいざしらず、今の日本のように近代社会で都市生活をするためには、自分の本心をいかに隠すかを覚えなければならない。

 怒った顔や怯えた顔をして互いを操作する方法を身に着けなければならない。
 そうすると、相手がどういう本心を隠すために、おそろしい表情したりあなたのせいで傷つきましたという表情をしたりしているかもわかってくる。
 小学校時代でそういうことを身に着けると、後の人生での人間関係が楽である。

 日本では、いまだにマスクをつけている人が多い。
 そうしていてもコミュニケーションには困らないのは、目でわかり合う人が多いからだ。
 顔が半分隠れていると、互いに気持ちが伝わらないというのは正しい。ただし、隠れているのが上半分の時だ。
 口のまわりが隠れていて、目だけ出ている場合、相手に本心が伝わってしまう。それが困る人は困るだろう。
 わたしも接客のときは、マスクを外している。

 本心がわかってしまうのがいやで、西洋人のように表情や言葉でコミュニケーションをごてごてと飾り立てるのが趣味な人は、マスクを外す社会を求めるだろうし、いまだにマスクをしている日本人を、何か理由をつけて批判し続けるだろう。


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