Monkey in Yellow最新作『Tesla Coil Blues』リリース記念インタビュー
Monkey in Yellowが遂に2ndアルバム『Tesla Coil Blues』をリリース!!
これまでと同様に宅録を駆使し、測りしきれないポップセンスを持つMonkey in Yellowこと清水巌(Iwao Shimizu)にインタビューしました!
Interviewed:ヒヌマナオヤ(TESTCARD RECORDS)
■4ヶ月連続配信そしてカセットテープ『Thingumajig and Whatsisname』をリリースし、満を辞して5thアルバム『Tesla Coil Blues』がリリースとなりました。今作やこの一連のリリースにコンセプトはありますか?
清水
「今作はテスラコイルという言葉から想像できる通り電気的(デジタル)なブルース、デジタルおとぎ話を目指しております。
今までは「宅録で、宅録らしからぬサウンドを軸に宅録でしかできないサウンドを載せていくスタイル」でしたが、
今回は発想を逆転させて「宅録で、宅録でしか出せないサウンドを軸に宅録らしからぬサウンドを乗せていくスタイル」を追求しました。
他のアルバムと明らかに毛色が違うので、曲ができた順番はThingumajig and Whatsisnameよりも先だったのですが、ストーリーとして成り立たせるために後にリリースしました。」
■2020年に『Tin Pan Chimpanzee』をリリースした際のインタビューで、”向こう2つくらいのアルバムは具体的にどんなことをやるのか、どの曲を入れるのかが大体決まっている”と仰ってました。
やはり今作は2020年頃から構想が固まっていたのでしょうか?
清水
「初めて宅録をした2014年からここまでの構想はすでに固まっておりました。
もちろん後から足した曲もたくさんあります。(World Shrink Within a Blinkは全曲後付けの曲です。)
ここから先はもう何も考えておりません。出し尽くした状態です。
また新しく何かを考えないといけないですね。」
■今作は、これまでの作品よりもひねくれポップ感が満載で痛快です。
このような作品にしようと狙って制作されたのでしょうか?
清水
「実は…今までひねくれを狙って曲を作ったことはなく、
聴いてくれた人たちがとてもありがたいことに「ひねくれポップ」と評価してくれたので、ずっとそれに乗っかってきました。
そもそも「カッコいい」とか「美しい」というワードが時代遅れな感覚、
もう出尽くした感覚だなと2014年ごろからずっと考えており、
その先に辿り着ける感覚はなんだろうかと熟考に熟考を重ねたところ
「ワクワク」という感覚に行き当たりました。
いつだって新しくて先があるものは「ワクワク」するものなので。
そしてただひたすらにワクワクする音を追求してワクワクしない音を徹底的に排除した結果、
聴いてくれた人たちは「ひねくれ」と捉えてくれたのかもしれません。
今作品はそのワクワク(自分以外の人からするとひねくれ)の集大成と言えると思います。」
■Monkey in Yellowは毎回タイトルが気になるのですが、今作『Tesla Coil Blues』に込められた意味は?
清水
「最初に挙げた、
・電気的ブルース
・デジタルおとぎ話(言い換えをするとデジタル昔話)
・ワクワク
などのワードが並んだ時に、なぜかニコラ・テスラという人物が頭をよぎりました。
そして彼について調べてみると同じ年代を生きたエジソンと並ぶ天才であるという情報と共に、数々の眉唾な逸話が出てきました。世間的にもエジソン対テスラの競争を煽っていくような風潮だったそうです。
ここまでで既に電気的だし、世間が思わず変な噂をするほどワクワクするような天才だったんだなと思ったので、テスラコイルというワードを入れることは決まりました。
続きですが、
その後テスラはエジソンとは対照に商業的にうまくいかず、最期はホテルの一室でほぼ一文なしの状態で亡くなったそうです。功績が大きく取り上げられるようになったのも亡くなったずっと後。しかも最期まで連れ添った唯一の友達は飼っていた鳩だったとか。
おまけに、常に変人呼ばわりされていたようです。
そこで後ろに足すワードはブルースと決めました。(最後の曲Tesla Coil Blues は全くブルース調ではありませんが、同じコード進行を繰り返してその上に即興の演奏をリピートで載せていき、それを物凄く拡大解釈したブルースとして入れました。)」
■先行配信「Ballet Mecanique」はアルバムのキーになると思いますが、どのような事を歌った楽曲でしょうか?
清水
「キーと言えばキーなのですが、歌詞はたいして考えておらず、一番キャッチーだったので先行配信にしました。どちらかというと歌の内容でキーになるのはNikola Teslaという曲かと思います。歌詞もそれなりに考えました。
話を戻します。Ballet Mecaniqueは元々、大昔に見たアニメの一番好きな回のタイトルなのですが、元を辿ると坂本龍一の曲のタイトルで、さらに元を辿るとそのタイトルは昔のフランスの無声映画のタイトルです。『踊る機械』という意味らしいです。
そのアニメに出てくる敵に人間もどきもどき(人間もどきのコピー)がいるのですが、そのキャラクターは最後まで周りの人はおろか父親のように慕っている敵の親玉にすら人間扱いしてもらえない、しかも自分のコピー元である人間もどき(主人公側)はいつも人間として扱ってもらえているのを闘うたびに見せつけられるというなかなかにかわいそうな人もどきもどきです。それを前述した「踊る機械」と表現して、その回の主役にするというのはかなり酷な話だなと10年近く頭の片隅に残っていました。(最後はちゃんとハッピーになってくれます。安心してください。)
時を作曲した2019年に進めると、トラックを作り終わった後SNSを見ていた時に「自分のことをハスキーだと勘違いしている猫」という動画が回ってきました。そこで『仮に「自分のことを人間だと勘違いしている何かがいて、周りはみんなそれに気づいているけど黙っている。」その事実に気づいてしまった“ソレ”がいたら…』と思い、Ballet Mecaniqueというタイトルがつき、それにちなんだ内容になりました。ただし、大した歌詞ではありません。」
■少し話しがそれますが、最近コーヒー豆をご自身で焙煎して販売してますよね。
始められたきっかけはどのような経緯だったのでしょうか?
清水
「Monkey in Yellow を始めた当初から作りたいと思っていた曲を全て作り終え、ひと通りのワクワクを使い果たした後、実は体調を著しく崩して社会生活が一切送れなくなりました。多分ワクワクするものがなくなったにも関わらず、その後も1年近くエンジンを稼働率160%くらいでふかし続けていたせいだと思います。
そのタイミングに近所に新しくできた焙煎屋さんに入り浸るようになったのですが、1年くらい通っているうちに焙煎に興味を持ち、焙煎をしてみようと思いました。
最初はその店から生豆を少量買って自宅で手編み焙煎をしていたのですが、しばらくすると機械にも触らせてもらえるようになり扱う量が10〜20倍近く増え自分では捌ききれなくなり、指導もあったおかげで豆の焙煎のクオリティも飛躍的に上がったので販売しようと考え始めました。
今では具体的にどう技術を身につけ、どう販売を伸ばし、どう経費を管理して、どうお客さんにもワクワクしてもらえるかと考えることがたくさんあり(しかもちゃんと地に足がついている‼︎)、僕のワクワクの源泉になっています。おかげさまで今までの人生で一番体調が良いです。」
■リスナーへメッセージお願いします!
清水「コーヒー買ってください!!!!
普段は飲めない「ちょっと良いコーヒー」を扱っております!」
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Monkey in Yellow『Tesla Coil Blues』
TCRD-030
Release: 2023.3.15
Format: CD / Digital
Price:¥2,200(税込)
Label: TESTCARD RECORDS
Track List:
1. Happiness Factory
2. Sleep Party
3. Ballet Mecanique
4. Monkey in Black
5. Nothings going on me mind
6.Fly By Wire
7.Nikola Tesla
8.That Old Feeling
9.Ghost in the Shell
10.Tesla Coil Blues