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文庫本の改装『校本 智恵子抄』角川文庫

古典文学は、さまざまな出版社から、編集等を工夫して文庫化されて出版されています。また「文庫本」とは言っても仕様も各社で違いますね。表紙はもちろん、書体、文字組など。どれが好みでしょう?

新潮社の文庫本を使っての改装では、本体の元のベージュの表紙を切り抜いて布の上に貼るデザインというものが、シンプルで収まりよくできますが、新潮社以外では本体の表紙は、色や柄の個性が強いものも多いです。

同じ出版社でも、版によって、カバーデザインが変わっていたりします。キャンペーンでの特別版の時があったり。

元の表紙やカバーを、自作改装の新たな表紙に貼り込んだりせず、元のデザインから離れて自分の好みでデザインを考えるのが手製本での「改装」のさらなる楽しみです。
好みの布を選んで、本のタイトルをパソコンで作ってプリントしたものを貼り込むデザインのサンプルとして作ったものをご紹介します。

角川文庫からの『校本 智恵子抄』(中村稔 編)を、着物の古布を表紙に使って仕立てました。

本をばらします。角川文庫の表紙はオレンジ、赤系。

着物地の絵柄の、どの部分を使うかを考えます。
トレーシングペーパーに型紙を描いておいて、どの辺りを表紙にしよう、タイトルはどの位置に、背表紙にはどの辺りを…とトリミング位置を決めます。

アンシンメトリーな柄、大きな柄、絵のような柄の布は、
どの部分を使うかで表情がとても違ってきます。

タイトルを入れる位置は、凹ませました。
タイトルはパソコンで作ってプリントアウト。
タイトルを書いた短冊状の紙を、和本では「題簽(だいせん)」といいますね。

仕上がり。背表紙タイトルもPCで作ってプリントアウトのも。

見返しは、白系にしました。友禅紙で、雲母刷り?銀色?などで雪輪と花の文様。

カバーは表紙も裏表紙もともに綴じ込みました。

背表紙だけを見たところ、表紙だけを見たところ、それぞれ印象がちがう仕上がりです。

背表紙
表紙

ちなみに、友禅紙は、私は「紙の温度」で買いました。

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