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好き嫌いが激しくても、人生は損していない

 この世で一番嫌いなものは、鳥。

 子どもの頃に、ニワトリを絞めている現場を目撃して、トラウマになっちゃったのよね。それ以来、鳥の姿を見ることすら嫌になって、その勢いで動物園も嫌いになった。

 ましてやその肉を食べるなんて……き゛もち゛わるすき゛る!!

 鶏肉本体はもちろん、エキスが含まれているものも食べない。あのおぞましい鶏の一部分が入っていると思うと気持ち悪くて、寒気がする。だから、コンソメや中華スープの素は買ったことがないし、カレールウ等調味料は必ず原材料表示を確認する。チキンエキスが使われている食材は意外に多いのだよ、こんちくしょー。

 外食は、和食オンリー。だけど、かなりの確率で「日替わり定食」は食べられない。お得な価格で提供している=安い鶏肉が使われている場合が多いからね。(余談だが、豚肉も嫌いでお肉は牛しか食べられない)

 定食についてくる「茶碗蒸し」も曲者。これも高確率で、鶏肉が入っている。茶碗蒸しのついた定食を注文するとき、「鶏肉は入ってますか?」と確認するのがマスト。入っていないと言われた日にゃあ、宝くじに当たった気分!このお店は鶏肉の旨味がなくても、おいしい茶碗蒸しが作れるんだねぇ〜と、(上から目線で)思わずにはいられない。

 鳥は見るのすら嫌なので、当然触ることも無理!生まれてこの方、鶏肉料理は作ったことがない。いつだったか娘が、「鶏の唐揚げって家で作れるんだね」と言っていた。私のせいで、あやうく無知な人間に育ててしまうところだった。それは本当に申し訳ない。唐揚げもクリームシチューも親子丼も、我が家では一切登場しないが全部おうちで作れるんだよ。

「アレもコレも食べられへんなんて、人生の半分損してるで!」と、家族によく言われるが、好きなものをおいしくいただいているので、全然損していない。逆に、何が損なのか、さっぱりわからない。


あー、この世から鳥なんていなくなればいいのに。


 鳥について話していたら、だんだん気持ち悪くなってきたから、もうやめるね。

 そろそろ晩ごはんの準備しなくちゃ。今日はシンプル。ごはんに大根のお味噌汁、鮭の塩焼き、ほうれん草のおひたしと卵焼き

 ね?鶏肉が食べられなくても、じゅうぶんおいしそうでしょ?

(おわり)


#青ブラ文学部
#実食してみた


【あとがき】
本文中に出てくる「私」は母のことです。母は鶏肉が一切食べられず、触ることもできません。でも、卵は食べるんです。「あなたの大嫌いな鶏が産んだものですよ?」といつも思っていましたが、本人曰く、卵は平気なんだそうで。いつ、何を思って、卵を実食してみたのか?母が生きていたら聞いてみたかったです。



▼山根あきらさんの「青ブラ文学部」に久々投稿!楽しかった!


▼以前「青ブラ文学部」に投稿したショートショート。


ではでは、また。




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テシマ ユリコ
最後までお読みいただき、ありがとうございます! いただいたサポートでコメダ珈琲へ行き、執筆をがんばります! (なぜか、コメダってめちゃくちゃ集中できる)