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#003 時代とともに変わりゆくもの
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旧香川県立体育館
「世界のタンゲ」と呼ばれる名高い建築家・丹下健三氏によって設計された、香川県立体育館。1964年に完成され、その独特な構造とフォルムから「船の体育館」として、親しまれてきた。
何度か耐震工事を試みたものの、特殊構造ゆえに困難を極め、老朽化に抗うことができずに、2014年に閉館。
芸術的価値のある貴重な建物として、保存や再生を望む声が多く寄せられていたが、2023年度の県の予算案に解体準備費用が計上されることとなり、閉館から約10年で解体の方向へ舵を切ることになった。
初めて体育館の前を通ったときのインパクトたるや。「なんだこれは???」と、思わず調べずにはいられなかった。
私の写真では伝わりきらないと思うが、実際にこの場所に立つと、ものすごい迫力がある。
建築物としてのすごさは、正直詳しくないのでよくわからないが、凛とそびえ立つ存在感に、素人の私でも圧倒される。
香川県のシンボルの一つであっただろう、建物。なくなってしまうのは非常に残念に思う。
しかし、建築物としての偉大さを感じる反面、スポーツやその他のイベントを楽しむ場所として、地元の人々に愛されてきたんだろうなという空気や、歴史も伝わってくる。
なんだか、あたたかいのだ。ここは。
閉館されて何年も経ち、立入禁止となって、誰もいないはずなのに、まだ人の声が聞こえてくる気がする。
おそらく、体育館としての役目は、十二分に果たされたのだろう……とも思う。
新たな県立体育館は、2024年の開業を目指して、現在建設中である。単なるスポーツ施設にとどまらず、さまざまなイベントに利用できる多目的アリーナは、最大収容人数1万人で中四国最大級を誇る。
音楽好きな私としては、人気アーティストのアリーナコンサートが香川県で開かれる未来が、楽しみでしかたない。
過去から未来へ。
一つの建物とともに、私たちは時代という道を歩いている。
【あとがき】
香川県内の丹下健三氏の建築物として有名なものに、香川県庁があります。こちらは、バリバリの現役。県庁舎の旧本館と東館は、戦後の庁舎建築として全国初の、国の重要文化財に指定されました。
いつか、県庁もご紹介できればと思っています。
▼香川歴4年の「私」が見た、さまざまな風景をお届けしています。毎週末更新予定。
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