不安、緊張、焦りへの対処と活用法:AWAREモデル
ゆっくりしていってね!
さて。唐突だけど、不安・緊張・焦りに弱いタイプの人っているわよね?
まあ、私の代理人間さん(=本記事の筆者)がまさにそうだから、気持ちはめちゃくちゃ分かるのだわ。
例えば、大学生時代は知らない人・あまり親しくない人と話すのが嫌すぎて、毎週あるグループ実習の化学実験が憂鬱で仕方なかったの。
どれくらい憂鬱だったかというと、3日前から吐き気を催すレベル。冗談じゃなくて本当に。別にいじめられてたとかじゃないんだけど、俗にいえば「コミュ障」ってやつよね。
返事は基本的に「はい」か「いいえ」だけというドラクエ主人公、そして会話が始まった瞬間から「どう早く切り上げるか?」を考え出すという徹底ぶりだったわ。
当然、人前での発表とか、何かの問い合わせのために電話するとかも無理。無理無理の無理。可能なのは、飲食店で「……カツカレーの中をお願いします」とぼそぼそ小さな声で注文するくらいよ。
まあ、今は会社で海外出張に一週間、二週間とか行かされても平気なんだけども……。
いや、それはそれで、「何がどうなったら、そんな大学生がそうなる?」って感じなんだけども……。
大学院の研究室でかなり訓練を積んだからね。
まあ、とはいえ、「訓練」をしていないジャンルへの挑戦、環境の変化やマルチタスクに弱いのは相変わらずよ。いっぺんに色んなタスクを放り込まれるの本当に無理。
すぐパニックに陥る、不安や緊張で頭がいっぱいになる、焦り散らかして「あばばばばばば……!!!」って状態にすぐなっちゃうわ。
こんな人生はふつうにしんどいから、不安・緊張・焦りの類から解放されたくて仕方なかったわ。こういう人は多いんじゃないかしら?
でも、私は「不安、緊張、焦りから開放されたい」という思いから解放されるという変な方法で、問題の解決ではなく解消を図ったわ。
AWAREモデルというのがあって、科学的根拠は若干謎めいているのだけども、私にはぴったり&しっくり来て実用的だったから、今回こちらを私流に少し解釈&アレンジした上でご紹介させて頂くわ。
きっと同じ悩みをお持ちの方の役に立つのだわ!
脳の警報機能に逆らうべきではない
人前でのスピーチでも複数の作業をいっぺんに頼まれた時でも、まあ何でもいいんだけど、とりあえずそういう状況だと、「あ、自分はいま、焦ったり緊張したりしているな……」という自覚は生じるわよね。
自覚したら、私を含めてほとんどの人は、まずは落ち着こうとするわ。深呼吸するとか、一度目を閉じるとか、手のひらに「人」の字を書くとか色々な方法があるわね。
ただ、この「落ち着くための行動・思考」そのものが問題でね。
実はこれ逆効果になることが結構あるのよ。
私の実感でもそうで、なぜかというと、不安・緊張・焦りに支配されている時って、とにかく既に脳のリソースが限界状態なのよね。
その限界状態の中に、「深呼吸を実行する」でも何であっても、そもそも「新しいタスク」を1つ放り込む行為が、根本的に悪手になりがちなの。
しかも、「落ち着こうとする」って、脳の基本機能として標準搭載されている「不安・緊張・焦りの発生回路」に、「逆走」「抵抗」を試みちゃってるのよね。
まあ、ほぼ勝てない勝負よ。
人類が不安や緊張、焦りを覚えやすいのは、生存上のメリットがあるからよ。こうした感情が生じる状況では、ぶっちゃけゆっくりリラックスしている場合じゃないのよ。
不安、緊張、焦りについては、「火災報知器が鳴っている」と考えてみればいいわ。
私たちが第一にやるべきは、「うるさいから」という理由で脳内の火災報知器を止めようとするんじゃなくて、現実で起きている火災を止めることよね。
不安、緊張、焦りを覚えている時、思考力はすべてその対象に注がれていて、「今日は洗濯しなきゃなあ」とか「明日の晩御飯は何にしよう。ラーメンは最近食べ過ぎたわね……」とか考えないわよね。
また、無関係っぽい情報もシャットアウトされるわ。よく「視野が狭くなる」とか「周辺への注意力が下がる」と悪く表現されることが多いわ。
けど、言い換えれば、それだけ集中してるのよ。
更に言えば、この時は記憶力も超絶強化されてるわね。強い感情と結びついた体験はまず忘れない。「黒歴史」なんて言われるけど、これも同じ失敗を繰り返させないための仕組みね。気乗りしないお勉強の暗記とは違って、一撃で長期記憶に叩きこんでくれるのだわ。
つまり、経験値が稼ぎやすい。
次に同じ場面が訪れたら、まず回避できないか考えるでしょうし、どうしても直面せざるを得ないなら、今度はもっと準備してから挑もうと考える――いえ、「考えさせられる」でしょう。
不安・緊張・焦りに支配された状況については、「覚えておく」とか「考えておこう、準備しておこうと決意する」なんていう能動的な意識や努力は不要なのよ。それはもう「標準搭載機能」がやっておいてくれてるから。
「逆走」「抵抗」ではなく「活用」する
要するに、不安・緊張・焦りは、集中力や記憶力等に色んな強化がかかってる状態だから、下手に逆走せずに、対象に集中することにそのまま使えばいいのよ。
大丈夫。あなたが使用している脳は、正常かつ完璧に機能しているわ。余計な情報をいちいち「意識」に渡さず、無駄なことも考えさせず、次の危険に備えて経験をせっせと記憶媒体に移してる。
あなたの生存にとって、基本的に感情は敵じゃなくて味方よ。
感情と理性は「対立しあうもの」として語られやすいけれど、上手くやれば協力関係だって築けるのよ。
「明日は人前でのスピーチしないといけない。すごく不安だ。緊張する」と思った時、どんなに面倒くさがりな人でも、準備時間があるなら、原稿を作って何回か練習してみたりはするでしょう。(そこで「まあいっか~、どうにかなるっしょ!」ってぐっすり寝られるなら、あなたは不安でも何でもないわ。)
一見ネガティブな感情も、そういう意味では人を動かすエネルギーをも与えてくれるのだわ。
こんな風に自動で「頑張らせてくれる」って、考えてみると少し便利な気もしないかしら?
ただし、感情をそのまま爆発させても失敗するわ。焦ってるからって、「ギャアアアアア!!!」と叫んで床をのたうち回っても仕方ないわね。
「不安・緊張・焦りという『強化』作用は受けたとして、では具体的に今はどういう対処をし、将来に向けてどのような準備や努力をするといいか?」を考えるのは理性側のお仕事よ。そこは感情側ではやってくれない――っていうか、そういう機能はないから、ちゃんと分業しましょう。
これも実はやりやすくはなっているわ。「感情が考えさせたいこと」と「理性が考えること」、そして「実行すること」が全部ぴったり一致しているからね。
無理やり落ち着こうとして「逆走」するよりずっと簡単。
ちょっと下品なたとえをすると、性欲マックスのときに自慰をするくらいマジで簡単になってるわ。これは活用する一手よ!
理性側で必要なこと
脳の標準搭載機能はかなり便利にできてるし、また、まず間違いなく作動してくれるわ。なにしろ多分赤ちゃんの頃からインストールされてるからね。
だけど、理性側は人によって性能がまちまちよ。
不安・緊張・焦りで失敗しつづける人は、感情が悪いんじゃなくて、その感情の作用を受けたあとの理性側の対処がまずいのよ。
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