くるくるカンカンの焙煎缶6種類、何が違うの?
誰でも手軽にコーヒー豆の焙煎ができる手回し式焙煎器「くるくるカンカン」。商品名に“カンカン”と付いているのは、スタンドと焙煎缶詰のセットの商品だから。缶詰の中にはこだわりの生豆がぎっしり! 今回はその豆にクローズアップ。開発担当者である富士珈機の福島達男社長に聞いた。
保存容器を兼ねた焙煎器
これまでコーヒー専門店向けの機器を作っていた富士珈機だが「誰でも焙煎を楽しむきっかけにしてほしい」という福島社長の思いから、一般向け商品の開発にいたった。コーヒー豆を扱う会社ではないのに生豆をセットにしたのは、どこで生豆を買えば良いか悩む人にも、焙煎に挑戦して欲しいから。しかしそれだけではない。富士珈機のものづくりは「使い捨てではない、百年使える焙煎道具」というコンセプト。生豆を入れている缶だって、焙煎器として50回は使って欲しいという。
6種類の缶詰の違いは?
現在発売されているくるくるカンカンの焙煎缶シリーズには9種類の豆がセレクトされており、レッド/オレンジ/グリーン/パープル/ブルーグリーン/ブルーで色分けされた6種類の缶に、3種類ずつ生豆が入っている。
ブラジル/マダガスカル/インドネシア/コロンビアなど世界有数のコーヒー豆産地がずらり。同封されているカードには産地や豆の情報が一目で分かるよう、地図入りで概要が簡潔にまとまっている。
なお、6種類の缶に同梱されている3種類の豆の内訳と、6種類の缶の味の傾向を、取材をもとに独断でまとめると以下の様になる。
レッド:アフリカ産を集めたコーヒー上級者向け
他の缶の中でも特に珍しい産地から取り寄せているそうで、すなわち違いのわかるコーヒー上級者向け。
オレンジ:風味違いを集めたコーヒー入門
独特の香りとすっきりとした果実味が楽しめる、コーヒーは好きだが豆の違いがイマイチ分からない初心者向け。
グリーン:生豆の精選違いを集めた中級者向け
生豆を作るときに、コーヒーの実から豆を取り出すことを精選という。精選方法は大きく二つ「ナチュラル」と「ウォッシュド」。これに「スマトラ式」を加えたセット。精選の違いを感じたいコーヒー中級者向け。
パープル:精選方法ナチュラル(チェリー)のセット
コーヒーの果実を残したまま精選するナチュラルな生豆のセット。フルーティーな味わいが特徴で、酸味を楽しみたい浅煎り好きな人向け。
ブルーグリーン:精選方法ウォッシュド(水洗式)のセット1
コーヒーチェリーを水洗いし、豆だけを取り出す精選方法の生豆を集めたセット。しっかりとした苦みと酸味を感じたい、深煎り好きな人向け。
ブルー:精選方法ウォッシュド(水洗式)のセット2
ブルーグリーン同様に、ウォッシュド方式で精選された生豆のセット。こちらも深煎り好きな人向け
ざっとまとめるとこんなところだろうか。ただし、あくまでも目安。迷ったら自分の好きな色で決めてしまって問題ないし、失敗も楽しみの一つだ。
なぜ焙煎機器メーカーがここまで豆にこだわる?
それにしても、ただの体験用ならここまで豆のセレクトにこだわる必要はないのではないか。富士珈機はコーヒー焙煎機器のメーカーであって、コーヒー豆を販売する会社ではないからだ。その理由を福島社長に聞いてみると……。
「コーヒー豆の味の違いを楽しむ入口として、くるくるカンカンを使ってほしい」(福島社長)
コーヒーを毎日飲むほど習慣づいている人は多い。なのに、焙煎まで実際にやっている人は一握りだ。自分でドリップコーヒーを淹れるような人にとっても、自家焙煎は敷居が高く、関心があっても挑戦する機会はあまりないだろう。
「自分で手間をかけて生豆から焙煎したコーヒーを口にすれば、おのずと味や産地の違いなどにも気がつくかも知れません。そのうち、こだわりが出てきて、よりコーヒーを好きになってくれるかもしれない。そんな思いから、プロ向けのコーヒー機械を作ってきた私たちが、コーヒー道の入り口に立つ人たちへ、コーヒーの幅広い選択肢を知って欲しいという気持ちで選びました」
焙煎缶に選んだ生豆は、世界の珍しい産地の品質の良い生豆を特注し、3種類ずつのセットにしたという。
この6種類の缶と9種類の豆について、数々のコーヒー関連本を上梓しているコーヒーライターの小坂章子さんにも感想を聞いてみた。
「機械メーカーがここまで生豆にこだわるってすごいですよね。富士珈機が長年コーヒー店とのつながりを大事にしているからこそできるチョイス」(小坂さん)
さらに小坂さんによれば、本来コーヒー豆の種類によって適した焙煎の仕方も、火入れの度合いも変わってくるそう。そう考えると、くるくるカンカンのような誰でも簡単にできるというコンセプトの焙煎機に合う豆を、しかも珍しい産地から選ぶのは骨が折れる作業だったに違いないと、素人でも想像できる。
「自家焙煎は難しいというイメージがありますが、これなら遊び感覚で初めの一歩を踏み出すことができます。コーヒー愛好家と焙煎の距離を縮めてくれる画期的な商品だと思います」(小坂さん)
次回はいよいよお待ちかねの焙煎へ!果たして上手くいくのか!?
(次回に続く)
クレジット
ライター:FM中西
編集:いからしひろき(きいてかく合同会社)
カメラ:橋口健志(合同会社ピノグリ)
取材協力:Mt.TAKAO BASE CAMP
制作協力:富士珈機
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