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こんなひといたよ 第7話 「人生変えたい冴えない大学生」

私の読んだマンガに登場するキャラと印象的なシーンについて書くシリーズ「こんなひといたよ」。

今回は「全員くたばれ大学生第2巻」から。冴えない大学生である主人公がウェイウェイやっている大学生を憎み嫉妬しながらもがく大学生活を描いたギャグ漫画。今回の登場人物は、その主人公の冴えない大学生哲太とその友人高野の2人。彼らがウェイウェイやっている同じ大学生を眺めながら交わす会話のシーンを取り上げる。

まずはそのシーンを紹介する(原作のセリフを引用しながらテキストで再現)

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哲太と高野はあるオフィスビルの1階にいる。このオフィスビルはガラス張りで、ビルの外ではイケてる大学生たちがガラスに自分たちを映しダンスの練習をしている。2人はビルの中。こちらから外は見えるが、外からは中が見えない。2人は時々ここで、彼らを眺めながら文句を言い、酒を飲んでいるのである。

既に顔が赤くなっている哲太がちょっと遠くを見ながら、高野に言った「今年の夏こそ何か起きないかな。人生の方向性を決定づけるやつ。高野くんそういうの無いの?そういう経験」と、あたかも自分はそういう経験あるし(本当はない)という態度で言った。

それに対し高野は、座ったまま後ろに手をつき顔を上げちょっと遠くを見ながら「中 2の時に初めてチャップリン観て、人生がひっくり返ったかな。特に『街の灯』ね、震えたなぁあの残酷さ」とちょっときどった感じで答えた。

哲太は高野の肩をたたき哀れんだ顔で言った。「それ、そのつもりで観たでしょ。ハナからチャップリンを『人生を変えた一本』にしようと思って、準備して観たでしょ」哲太は言いながら高野に詰め寄り、高野は状態を反らした。高野はちょっとプルプル震えている。

高野は言葉を一瞬ため、そして一気に吐き出すように「哲太くん、君は心底くだらない、悲しい人間だよ。そんなスタンスじゃ10代最後の夏も何も無いぞ」と激しく言い返した。

形勢を一気に逆転された哲太の顔はひきつり…何も言い返せない。

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このマンガは、私にとって名シーンだらけで、今後も何度か紹介することになるだろう。冴えない大学生がどんな目で、ウェイウェイやっている大学生を見ているのか。この目線や気持ち痛いほどわかるのだ。

今回のシーンは、高野が人生変えた一作としてチャップリンの話をすることは、冴えないやつがやりがちな「自分を大きく見せる」ための嘘もしくは演出だ。それまた冴えないやつ哲太が指摘をするという地獄だ。哲太は、自分もやることだから高野の演出が手に取るようにわかるのだ。しかし、そもそも自分は違うという態度をとりながら話を振ったのは哲太である。その結果最後には哲太も反撃を受けてしまうのだ。

いやーでもいいなこの「チャップリン」というチョイス。「どうせ聞いているやつは知らないだろうから突っ込めないだろう」でも「名前はみんな知っている」かつ「偉人としての評価が固まっている」というポジションだ。けっこう絶妙だ。ぱっと例を出そうと思っても出せない感じがすごいわ。

というわけで、今後も哲太と高野はとりあげると思う。興味ある方はぜひ買って読んでみてほしい。


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